はじめに
人手不足の昨今、『業務負荷の見える化』を求められてはいませんか。
だのに職場が古風で、プロジェクト管理ツールなど導入されてはいない。
あるいは導入されたプロジェクト管理ツールがイケてなくて、ぜんぜん定着していない。
そんな時、あなたならどうしますか?
私「うーん、予定はOutlookで管理してるから、そのデータを負荷の見える化にも使えないものか…」
私「…せや!MATLABで解決したらええんや!」
私「テキストディープラーニング使えば何か出来るやろ、Advent Calendarにそういうのあったし。」
ということで、MATLABで解決していきます。
本稿では、Outlookから予定表をぶっこ抜くMATLABに持ってくるまでを示します。
なおコードの大半は下記URLを参考に作成しています。そのままだと動かなかったので加筆修正しました。
https://stackoverflow.com/questions/40429116/retrieving-outlook-calendar-items-using-matlab
またこの記事は@eigsさんのlivescript2markdownを使って作成しています、便利!
https://github.com/minoue-xx/livescript2markdown
1. Outlook APIに接続
下記コマンドを実行することで、MATLABからOutlook APIに接続します。
outlook = actxserver('Outlook.Application');
mapi = outlook.GetNamespace('mapi');
次に、GetDefaultFolderメソッドを叩いてOutlookの所定フォルダにアクセスします。メソッドの引数とフォルダの対応表は下記URLを参考、予定表フォルダは「9」にあります。
Baccho Log [WSH]Outlookの操作
explorer = mapi.GetDefaultFolder(9).GetExplorer;
さらに掘り下げていくことで、個人用や共用の予定表を取得することが出来ます。今回は個人用の予定表を取得してみましょう。
NavModule = explorer.NavigationPane.Modules.GetNavigationModule(1); %予定表を取得
NavGroup = NavModule.NavigationGroups.GetDefaultNavigationGroup(1);% 個人用の予定表を取得
%NavGroup = NavModule.NavigationGroups.GetDefaultNavigationGroup(2);% 共用の予定表を取得
2.特定の日時でフィルタする
『yyyy/MM/dd HH:mm』または『MM/dd/yyyy HH:mm』のフォーマットで日付を指定します。HH:mmは省略可能ですが(その場合AM8:00ぐらいに指定?)変な結果が出ないよう省略しないのが吉です。
フィルタは予定の開始時間あるいは終了時間で設定できます。開始時間でフィルタする場合は下記。
StartDate_MIN = '2020/02/05 00:00';
StartDate_MAX = '2020/02/06 23:00';
%[Start]は開始時間、[End]は終了時間をフィルタ条件として使用
filter = {['[Start] >= ''',StartDate_MIN,''' AND [Start] <= ''', StartDate_MAX, '''']};
3.予定を取得、MATLABのテーブルに成型する
フィルタ条件を2/5~2/6に指定したので、「家族と朝ごはん」以降6件の予定が取れれば成功です。
取得およびテーブルの成型は下記。テーブル成型は色々なやり方があるとは思いますが、今回の場合はこれが一番可読性が高いかなと。
for i=1:NavGroup.NavigationFolders.Count
NavFolder = NavGroup.NavigationFolders.Item(i);
LST = NavFolder.Folder.Items;
%LST.IncludeRecurrences = -1;
LST.Sort('[Start]');
LST_Restrict = LST.Restrict(filter{1});
Cnt = LST_Restrict.Count;
sz = [Cnt 4];
varNames = {'Subject','Location','Start','End'};
varTypes = {'string','string','datetime','datetime'};
Calendar_Table = table('Size',sz,'VariableTypes',varTypes,'VariableNames',varNames);
for j = 1:Cnt
Calendar_Table.Subject(j) = LST_Restrict.Item(j).Subject;
Calendar_Table.Location(j) = LST_Restrict.Item(j).Location;
Calendar_Table.Start(j) = LST_Restrict.Item(j).Start;
Calendar_Table.End(j) = LST_Restrict.Item(j).End;
end
end
Calendar_Table
Subject | Location | Start | End | |
---|---|---|---|---|
1 | "家族と朝ごはん" | "自宅" | 2020/02/05 08:00:00 | 2020/02/05 09:00:00 |
2 | "通勤" | "移動" | 2020/02/05 09:00:00 | 2020/02/05 10:00:00 |
3 | "朝礼" | "会社、部長机前" | 2020/02/05 10:00:00 | 2020/02/05 11:00:00 |
4 | "家族会議" | "自宅、リビング" | 2020/02/06 08:00:00 | 2020/02/06 09:30:00 |
5 | "通勤" | "移動" | 2020/02/06 09:30:00 | 2020/02/06 10:30:00 |
6 | "労使交渉" | "会社、ホール" | 2020/02/06 10:30:00 | 2020/02/06 12:00:00 |
やったぜ。
4.予定の長さを計算する
最終ゴールが「業務負荷の見える化」なので、それぞれの予定の長さが知りたいですね。
予定の長さは、forループ中において LST_Restrict.Item(j).Duration
で取り出せますが、MATLABのテーブル型の便利さを示すためにあえてテーブル内で計算させます。コードは下記。
Calendar_Table.Duration = Calendar_Table.End - Calendar_Table.Start
Subject | Location | Start | End | Duration | |
---|---|---|---|---|---|
1 | "家族と朝ごはん" | "自宅" | 2020/02/05 08:00:00 | 2020/02/05 09:00:00 | 01:00:00 |
2 | "通勤" | "移動" | 2020/02/05 09:00:00 | 2020/02/05 10:00:00 | 01:00:00 |
3 | "朝礼" | "会社、部長机前" | 2020/02/05 10:00:00 | 2020/02/05 11:00:00 | 01:00:00 |
4 | "家族会議" | "自宅、リビング" | 2020/02/06 08:00:00 | 2020/02/06 09:30:00 | 01:30:00 |
5 | "通勤" | "移動" | 2020/02/06 09:30:00 | 2020/02/06 10:30:00 | 01:00:00 |
6 | "労使交渉" | "会社、ホール" | 2020/02/06 10:30:00 | 2020/02/06 12:00:00 | 01:30:00 |
便利だなぁ(恍惚)
おまけ 負荷を見える化する
最終ゴールはSubjectからテキストディープラーニングで業務内容を類推、業務負荷を見える化することです。が、今回はLocationを用いてどこにどれだけいたのかを見える化するに留めます。テキストディープラーニング色々大変そうなので。
Locationにはあらかじめ自宅、会社、移動のいずれかを含むようにしておいたので、contains関数を使ってデータ整理して行きます。
Location_Name = ["自宅";"会社";"移動"];
Result_Table = table(Location_Name);
Duration_sum = [];
for k = 1:length(Result_Table.Location_Name)
tmp = contains(Calendar_Table.Location , Result_Table.Location_Name(k)) .* Calendar_Table.Duration;
Duration_sum = [Duration_sum; sum(tmp)];
end
Result_Table = table(Location_Name, Duration_sum)
Location_Name | Duration_sum | |
---|---|---|
1 | "自宅" | 02:30:00 |
2 | "会社" | 02:30:00 |
3 | "移動" | 02:00:00 |
pie(hours(Result_Table.Duration_sum), Result_Table.Location_Name);
これは…あんまり働かない人ですね。
おわりに
業務効率化ツール、世に出回っているもので十分目的は果たせると思います。が、自分で作ればピンポイントで効果のあるものができてよろしいかと。そして何より楽しいです。