本記事は2026年8月18日時点の検証結果です。DeepSeek HarnessはDeveloper Previewのため、今後UIや設定方法が変更される可能性があります。
はじめに
DeepSeek Harness(dsh)は、DeepSeek AIが公開したオープンソースのAgent Harnessです。新しい基盤モデルではなく、モデル、ツール、スキル、セッション、サンドボックス、Agent Loop、UIなどをプラグインとして組み合わせるAgent実行基盤です。
今回は、Tencent Cloudの大規模言語モデルサービスTokenHubをモデルプロバイダーとして登録し、実際にブラウザゲームを作成させました。
1. DeepSeek Harnessを起動する
Node.jsを準備し、次のコマンドを実行します。
npx @deepseek-ai/dsh web
起動後、ブラウザで次のURLを開きます。
http://127.0.0.1:3080
DeepSeek HarnessはDeveloper Previewです。検証環境を安定させたい場合は、動作確認済みのバージョンを明示して起動する方法もあります。
npx @deepseek-ai/dsh@0.1.0-rc.7 web
2. TokenHubをCustom Providerとして登録する
あらかじめTokenHubコンソールでAPI Keyを作成し、利用するモデルへのアクセス権限を付与しておきます。
DeepSeek HarnessのWeb UIで、Settings → Modelsを開き、Custom Providerに次の内容を設定します。
| 項目 | 設定値 |
|---|---|
| Display name | Tencent TokenHub |
| Base URL | https://tokenhub-intl.tencentcloudmaas.com/v1 |
| API protocol | openai-completions |
| API key | TokenHubで発行したAPI Key |
| Models | 利用するModel IDを追加 |
ポイントは、Base URLには /chat/completions を付けず、API protocolで openai-completions を選択することです。
今回の設定では、次のようなモデルを登録しました。
hy3
glm-5.3
deepseek-v4-flash
deepseek-v4-flash-202605
kimi-k3
kimi-k2.7-code-highspeed
glm-5.2
利用可能なモデルは更新されるため、正確なModel IDはTokenHubコンソールまたは公式モデル一覧で確認してください。
API Keyは記事、スクリーンショット、Gitリポジトリへ含めないでください。DeepSeek Harnessに保存したAPI Keyはwrite-onlyとして扱われ、Web UIには平文で再表示されません。
3. ブラウザゲームを作らせてみる
今回はGLM-5.2を選択し、HTML、CSS、JavaScriptだけで動作する簡単なブラウザゲームの作成を依頼しました。
Agentはタスクを分解し、コード生成だけでなく、次の作業まで自律的に進めました。
- レスポンシブ対応
- キーボード操作とタッチ操作の実装
-
requestAnimationFrameを使ったゲームループ - エラーの検出と修正
- Python HTTP Serverの起動
- HTTP 200の確認
実行結果は以下のとおりです。
最終的に、単一のindex.htmlとしてゲームが生成され、ローカルWebサーバー上で正常に動作するところまで確認できました。
4. 実測結果:Cache hit 92%
今回のセッションでは、画面下部に次の実測値が表示されました。
| 指標 | 実測値 |
|---|---|
| Turns | 9 |
| Steps | 27 |
| TTFT平均 | 1.7秒 |
| 生成速度 | 125 tokens/s |
| Cache hit | 92% |
特に印象的だったのが、92%という高いキャッシュヒット率です。
Agent開発では、システムプロンプト、ツール定義、作業履歴、生成したコードなど、長いコンテキストを複数ターンにわたって繰り返し利用します。今回のようにキャッシュが高い割合で効くと、重複するコンテキスト処理を抑えやすく、長時間のAgentタスクにおける応答速度とToken利用効率の改善が期待できます。
もちろん、92%は今回の1セッションにおける実測値であり、すべてのタスクで同じ結果になるわけではありません。それでも、27ステップを伴うゲーム開発でこの数値が確認できたことから、TokenHubとDeepSeek Harnessの組み合わせは、コンテキストを継続的に利用するAgentワークロードと相性がよいと感じました。
トラブルシューティング
MISSING_CREDENTIAL
Models画面でAPI Keyを再保存します。
UNKNOWN_MODEL
Custom ProviderのModelsに、TokenHubで利用可能な正確なModel IDを追加します。
モデルへのアクセス権限がない
TokenHubコンソールで、API Keyに対象モデルのアクセス権限が付与されているか確認します。
Fetch available modelsが失敗する
モデル一覧の自動取得に失敗しても、Chat Completions自体は利用できる場合があります。その場合は、公式モデル一覧で確認したModel IDを手動で追加します。
まとめ
TokenHubはOpenAI互換APIを提供しているため、DeepSeek HarnessのCustom Providerとしてシンプルに登録できます。
設定の要点は次の3点です。
- Base URL:
https://tokenhub-intl.tencentcloudmaas.com/v1 - API protocol:
openai-completions - 利用するModel IDを登録し、API Keyにモデル権限を付与する
実際のブラウザゲーム開発では、Agentが計画、実装、修正、ローカルサーバー起動、動作確認まで自律的に完了しました。さらに、27ステップのセッションで Cache hit 92% を記録しており、長いコンテキストを繰り返し扱うAgentタスクでTokenHubのキャッシュ効果を確認できました。

