0
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

[統計検定2級] 6つの抽出法について

Last updated at Posted at 2025-11-07

統計検定2級試験対策に際して,抽出法の問題は頻出かつ,覚えていないと得点できない.
つまり,覚えてさえいれば楽に得点が出来る箇所である.

暗記ではなく、「どのような場面で使われるか」を意識して理解するのが重要.


1. 単純無作為抽出法(Simple Random Sampling)

母集団の全員が等しい確率で選ばれる抽出方法である。
乱数表やくじ引きなどを使い、完全に無作為に標本を選ぶ。
手順:
母集団全体の名簿を作成し、乱数表またはコンピュータで対象をランダムに選ぶ。
例:
1000人の中から100人を乱数で選ぶ。
特徴・Tips:
最も基本的な方法である。
母集団が均質な場合に有効である。
名簿が必要なので大規模調査では非効率である。
「すべての個体に同じ抽出確率」という文言が出たらこの方法である。

2. 層化抽出法(Stratified Sampling)

母集団をいくつかの層(グループ)に分けて、各層から無作為抽出する方法である。
母集団の構成比を反映させたいときに使う。
手順:

  1. 母集団を性別・年齢・地域などの層に分ける。
  2. 各層ごとに層の大きさに比例して標本数を割り当て、無作為抽出する。
    例:
    男女比7:3の高校で10人を調査する場合、男子7人・女子3人をそれぞれ無作為に選ぶ。
    特徴・Tips:
    各層の構成を保った標本が得られるため、精度が高い。
    事前に母集団の層構成を知っておく必要がある。
    層ごとに抽出することから「代表性の確保」がキーワードである。
    出題では「男女別・地域別・学年別」などが層の例として登場する。

3. クラスター抽出法(Cluster Sampling)

母集団をクラスター(集落、小集団)に分け、その中からいくつかのクラスターを無作為に選び、選ばれたクラスター内の全員を調査する方法である。
手順:

  1. 母集団をクラスター(学校・企業・地域など)に分ける。
  2. いくつかのクラスターをランダムに選ぶ。
  3. 選ばれたクラスター内の全員を調査する。
    例:
    全国の高校をクラスターとし、ランダムに10校を選び、その10校の全生徒を調査する。
    特徴・Tips:
    調査コストを下げられる。
    クラスター間の差が大きいと精度が低下する。
    層化抽出との違いに注意する。
    層化抽出は各層から一部を選ぶが、クラスター抽出は選んだグループ内の全員を調べる。
    「クラスター全体を調査」がキーワードである。

4. 多段抽出法(Multistage Sampling)

クラスター抽出をさらに段階的に行う方法である。
広い範囲の調査を段階的に絞っていくイメージである。
手順:

  1. 第1段階:母集団をいくつかの大グループに分けて抽出する。
  2. 第2段階:抽出されたグループをさらに分け、再び無作為抽出する。
  3. 第3段階:最終的に個人単位で抽出する。
    例:
    ①全国から30市区町村を無作為抽出する。
    ②それぞれから5地区を抽出する。
    ③各地区から20人を抽出する。
    特徴・Tips:
    段階的に抽出することでコストを削減できる。
    調査対象が広い場合(全国調査など)に有効である。
    「段階的に→多段」「市町村→地区→個人」というキーワードが出たらこの方法である。

5. 系統抽出法(Systematic Sampling)

一定の間隔で標本を抽出する方法である。
名簿に番号をつけて、等間隔に選ぶのが基本である。
手順:

  1. 母集団に通し番号をつける。
  2. 最初の1人をランダムに決める。
  3. 以降、一定の間隔で選んでいく。
    例:
    4000人に番号をつけ、最初をランダムに選び、3人おきに選んで1000人を抽出する。
    特徴・Tips:
    実施が容易で、単純無作為抽出に近い精度を得られる。
    母集団に周期的パターンがあると偏りが出る。
    「等間隔」「通し番号」という語句が出たらこの方法である。
    試験では「周期性があると誤差が出る」という注意点を問われる。

6. 二相抽出法(Two-phase Sampling)

層化抽出を行いたいが、母集団の情報が不足しているときに使う方法である。
まず母集団の情報を得るために一度抽出(第1相)し、その結果をもとに本抽出(第2相)を行う。
手順:

  1. 第1相:母集団から一部を抽出して、構成比などの情報を調べる。
  2. 第2相:得られた情報を使って層化抽出などを実施する。
    例:
    男女比が不明な都市で、まず1万人を調査して男女比(6:4)を把握する。
    その後、男性60名・女性40名をそれぞれ無作為に選ぶ。
    特徴・Tips:
    「層化したいが、層の情報がない」という場面で使用する。
    二段抽出(multi-stage)と混同しやすいが別物である。
    二相抽出は同じ母集団を2回抽出する。
    多段抽出は異なる階層(地域→地区→個人)を順に抽出する。
    「第1相」「第2相」という表現が出たらこの方法である。

出題対策まとめ(Tips)

よく出る比較ポイント 見分けのキーワード
単純無作為 vs 層化抽出 「層(男女・地域など)」の有無
層化抽出 vs クラスター抽出 「層ごとに一部」か「グループごとに全員」か
クラスター vs 多段抽出 「1段階」か「複数段階」か
系統抽出 「等間隔」「通し番号」
二相抽出 「第1相」「第2相」「母集団情報がない」

まとめの覚え方

単純無作為:基本中の基本である。
層化:精度を高めたい。
クラスター:コストを下げたい。
多段:段階的に調査したい。
系統:名簿があるときに効率よく。
二相:母集団情報がないときにまず調べる。

この6種類の抽出法は、統計検定2級の頻出テーマ(母集団・標本推定)である。
試験では「文章からどの抽出法かを判定」する形式で出題されるため、キーワード(層・クラスター・間隔・二相)を見逃さないようにする。

0
0
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
0
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?