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Prometheus アーキテクチャ と Time series Database

Last updated at Posted at 2024-02-05

Prometheusのアーキテクチャ

Prometheusはクラウドネイティブな監視システムであり、多くのオープンソースプロジェクトで利用されています。以下では、Prometheusのアーキテクチャについて説明します。

概要

Prometheusは時系列データを収集し、処理、可視化、アラートのために使用されます。主な特徴は以下の通りです。

  • マルチディメンショナルなデータモデルを使用し、柔軟なクエリ言語(PromQL)を提供します。
  • Pull型のアプローチで動作し、サーバー間でメトリクスを取得します。
  • データの抽出、変換、ロギング、メトリクスエクスポートに利用できる豊富なエコシステムを提供します。

Prometheusの機能

Prometheusは以下の主な機能を提供します。

  1. メトリクス収集: Prometheusはエージェントレスの形式でアプリケーションやサービスからメトリクスを収集します。HTTPや特定のエクスポーターを介して、メトリクスをエクスポートできるようにします。

  2. データモデル: Prometheusはユーザーが作成したメトリクスデータを、キー/バリューの形式で格納します。このデータモデルは柔軟であり、タグ付けやレーベル付けなどを含めることができます。

  3. データ保存: Prometheusは収集したメトリクスデータを時間の経過とともに永続的に保存します。デフォルトでは、ローカルのディスク上に保存されます。

  4. クエリ言語: Prometheusは独自のクエリ言語(PromQL)を提供し、収集したメトリクスデータに対して強力なクエリと集計操作を実行できます。これにより、データの可視化やトレンドの分析が容易になります。

  5. アラート: Prometheusはメトリクスデータに基づいてアラートを生成し、ユーザーへ通知する機能を提供します。この機能により、システムの異常や問題を早期に検知することができます。

コンポーネント

Prometheusは以下の主要なコンポーネントで構成されます。

  1. Prometheus Server: メトリクスの収集、保存、クエリ処理を行う中央のコンポーネントです。PromQL言語を使用してメトリクスデータに対するクエリを実行します。

  2. Exporters: Prometheusにメトリクスをエクスポートするためのエージェントです。アプリケーションやサービスに組み込んで使用され、メトリクスデータを収集してPrometheus Serverに送信します。

  3. Push Gateway: Push型のジョブのメトリクスを受け取り、クライアントアプリケーションからの全メトリクスデータを一時的に格納しておくことができます。これにより、非常に短い期間で別のプロセスからのメトリクスデータを受け付けることができます。

  4. Alertmanager: Prometheusから受け取ったアラートを管理し、通知を制御するコンポーネントです。アラートのルーティング、サイレンシング、通知のグルーピングなどを行います。

  5. Grafana: データの可視化とダッシュボードの作成に利用されます。Prometheusから取得したメトリクスデータをグラフやチャートで表示することができます。

以上がPrometheusのアーキテクチャの概要と、その機能およびコンポーネントについての詳細な説明です。

Prometheusを利用したユースケース

Prometheusは、大規模なシステムやクラウドインフラストラクチャの監視に広く利用されています。以下にいくつかの具体的なユースケースを挙げます。

  1. サービスの可用性とパフォーマンスの監視:Prometheusは一般的に、システムのリソース使用状況、レイテンシ、エラーレートなどのメトリクスを収集し、リアルタイムで可視化するために使用されます。これにより、問題の早期発見やトラブルシューティングが可能となります。

  2. インフラストラクチャの監視:Prometheusは、クラウドインフラストラクチャのコンポーネント(サーバ、ネットワーク、ロードバランサ、ストレージなど)のメトリクスを収集し、インフラストラクチャの状態を監視するために使用されます。これにより、リソースの使用状況や障害の早期検出が可能となります。

  3. アラートとトリガーの作成:Prometheusは、設定した条件に基づいてアラートを生成し、外部ツール(例:Slack、PagerDuty)への通知や自動的なアクションのトリガーを行うことができます。これにより、異常な状態やパフォーマンスの低下などの問題に対して即座に対処することができます。

タイムシリーズデータベースの特徴

タイムシリーズデータベース(TSDB)は、時系列データ(タイムスタンプと値のペア)を効率的に格納し、クエリや分析を行うための特化したデータベースです。以下に、TSDBの特徴をいくつか挙げます。

  1. 高速で効率的なデータ書き込みと読み取り:TSDBは、時系列データの高速な書き込みと読み取りに特化しています。大量のデータを効率的に処理することができます。

  2. データ圧縮と保持期間:TSDBは、データの圧縮と効率的なディスク使用により、大量の時系列データを格納することができます。また、データの保持期間を柔軟に設定することも可能です。

  3. クエリと集計のサポート:TSDBは、時系列データによく使用される特定のクエリパターンと集計操作をサポートしています。時間範囲に基づく集計やスライド窓関数などの機能を提供します。

Prometheusとタイムシリーズデータベースの関係

Prometheusは、内部的に自身のタイムシリーズデータベース(Prometheus TSDB)を使用しています。Prometheus TSDBは、Prometheusが収集したすべてのメトリクスを格納するために使用されます。

Prometheus TSDBは、高いスケーラビリティと効率性を備えており、Prometheusの柔軟な監視システムを支えています。Prometheusは、メトリクスデータを収集し、Prometheusクエリ言語(PromQL)を使用してデータを抽出、処理、視覚化することができます。

ただし、Prometheusはタイムシリーズデータベースとしての機能が限定されており、特に大規模なデータセットや長期間のデータ保持には制限があります。そのため、Prometheusを拡張し、長期間データの保持や高度なクエリ・分析機能を備えた専用のTSDBとの組み合わせが一般的です。さまざまなタイムシリーズデータベース(例:InfluxDB、OpenTSDB)がPrometheusと統合され、将来的なデータの需要に応えるためのソリューションとなっています。

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