OCIのOracle Base Database Service(BaseDB)で、最小限の入力からDBシステムを作成できる「Easy Create」という新機能が追加されました。
Easy Createは、コンピュート、ストレージ、ライセンス、データベース設定に標準構成(つまり、事前に決められたテンプレ)を適用し、DBシステム作成時の入力を減らす機能です。
Easy Create a DB System
本記事では、Easy Createで指定できる項目、通常作成との違い、および作成後のOS・データベース構成を確認します。
結論
Easy Createは、開発、検証、PoCなどで標準構成のDB Systemを迅速に準備したい場合に適しています。
一方で、シェイプ、CPU数、ストレージ管理方式、ノード数、DBイメージ、ネットワーク詳細、バックアップ、暗号化鍵などを要件に応じて設計したい場合は、通常のDBシステム作成の方が向いています。
今回の検証環境では、DBシステムは約15分で作成完了しました。
Easy Createで指定する主な項目
Easy Createでは、主に次の情報を入力・選択します。
- データベース名(
DB_NAME) - Oracle Database Software Edition
-
SYSユーザーのパスワード - VCNおよびクライアント・サブネット
- 必要に応じてTDE Wallet用パスワード
OCIコンソールに表示されるDBシステム名、シェイプ、ストレージ、DBイメージなどには標準構成が適用されます。
通常作成とEasy Createの比較
通常のDBシステム作成では、要件に応じて構成要素を選択できますが、Easy Createでは選択肢を最小限にし、標準構成を適用します。
| 分類 | 通常のDBシステムの作成 | Easy Create |
|---|---|---|
| DB System名 | 指定可能 | 自動生成 |
| DBエディション | 指定可能 | 指定可能 |
| ライセンス・タイプ | License includedまたはBYOLを選択可能 | License included |
| DBイメージ | Oracle提供イメージまたはカスタム・イメージを選択可能 | 事前定義されたOracle提供イメージ |
| DBバージョン | 19c/26ai指定可能 | 19c |
| シェイプ | プロセッサ、シェイプ、ECPU数を選択可能 | VM.Standard.E5.Flex |
| メモリ、ネットワーク帯域、理論IOPS | シェイプとECPU数に応じて選択 | 4コアOCPU, 64 GBのメモリー, 4 Gbpsのネットワーク帯域幅, 64K IOPS |
| ストレージ管理 | LVM | LVM |
| ストレージ性能 | BalancedまたはHigh Performanceを選択可能 | High Performance |
| VCN/クライアント・サブネット | 指定可能 | 指定可能。簡易VCNの作成も可能 |
| NSG、ホスト名、ドメイン名、固定IP | 指定可能 | 最小入力画面では省略 |
| SSH鍵 | 作成時に追加可能 | 作成後に追加可能 |
| DB一意名サフィックス、PDB名 | 指定可能 | 標準構成 |
| 文字セット | 指定可能 |
AL32UTF8/AL16UTF16
|
| Unified Auditing | 作成時に有効化可能 | 純粋なUnified Auditingモードは未有効化 |
通常作成で設定できる項目の詳細は、公式ドキュメントを参照してください。
Create a DB System
作成されたOSとDBの構成を確認
今回の検証では、Enterprise Edition - High Performanceを選択しました。
OSとコンピュート
Operating System: Oracle Linux Server 8.10
Architecture: x86-64
nproc: 8
Memory: 63 GiB
Easy Createの標準構成はVM.Standard.E5.Flex、4 OCPU、64 GBメモリです。
ストレージ
ストレージ管理方式はLVMでした。主なマウントポイントは以下のとおりです。
| 領域 | マウントポイント | 検証時の容量 |
|---|---|---|
| DBデータ | /u02 |
約256 GB |
| リカバリ領域 | /u03 |
約256 GB |
| DBソフトウェアなど | /u01 |
約200 GB |
DBデータ、リカバリ領域、バイナリ領域が論理ボリュームとして分離されていることを確認できました。
データベース
SQL*Plusで確認した主な結果は次のとおりです。
| 項目 | 検証結果 |
|---|---|
| DBバージョン | Oracle Database 19c |
| 実際のRU | 19.32.0.0.260721 |
| DB構成 | CDB |
| PDB | xxx_PDB1 |
| ログモード | ARCHIVELOG |
| FORCE LOGGING | 有効 |
| 文字セット | AL32UTF8 |
| 各国語文字セット | AL16UTF16 |
画面上では19cのDBイメージとして表示されますが、今回作成した環境では19.32 RUが適用済みでした。利用可能なDBイメージやRUは、作成時期やリージョンによって変わるため、各環境で確認することを推奨します。
/u01/app/oracle/product/19.0.0/dbhome_1/OPatch/opatch lspatches
Unified Auditingの確認
V$OPTION では、Unified AuditingはFALSEでした。
SELECT value
FROM v$option
WHERE parameter = 'Unified Auditing';
一方で、UNIFIED_AUDIT_TRAILにはDB作成時のSYS操作が記録されており、ORA_SECURECONFIGおよびORA_LOGON_FAILURESのポリシーも確認できました。
このため、Easy Createでは純粋なUnified Auditingモードは有効化されていないものの、19cの混在モードにおける監査関連の記録・ポリシーは確認できる、という結果になりました。
初期パラメータの確認
作成後のDBでV$PARAMETERを確認したところ、メモリ、プロセス数、Large Pages、DBブロックサイズなどが初期構成として設定されていました。
| パラメータ | 検証値 |
|---|---|
sga_target |
31,232 MiB |
pga_aggregate_target |
7,808 MiB |
pga_aggregate_limit |
15,616 MiB |
processes |
800 |
use_large_pages |
ONLY |
db_block_size |
8 KB |
これらは検証時点の観測値であり、Easy Createの固定仕様ではありません。実際の設定値は、環境ごとにV$PARAMETERで確認できます。
OSへのSSH接続
Easy Createで指定するSYSパスワードは、Oracle Databaseへの接続に使うパスワードです。OSユーザーopcのSSHログイン用パスワードではありません。
OSへ接続するには、SSH公開鍵をDB Systemへ追加し、対応する秘密鍵を指定します。
ssh -i ~/.ssh/<private-key> opc@<public-ip-address>
SSH公開鍵は、DB System詳細画面の Actions → Add SSH keys から作成後にも追加できます。
まとめ
Easy Createは、標準構成のDB Systemを迅速に作成するための選択肢です。今回の検証では、OS、メモリ、LVMストレージ、DBパラメータ、DBバージョン、監査関連設定まで、標準構成が適用されていることを確認できました。
開発・検証・PoCで素早く利用開始したい場合はEasy Create、詳細な設計要件がある場合は通常作成、という使い分けがよさそうです。

