はじめに
Flaskのサーバーを立てて何でもかんでもPythonでおこなうのでなく、PythonとJavaScriptを併用したプロジェクトを作っている。
JavaScriptで自由に時間を扱おうとして回り道した話をこちらに書いた。さっそくコメントをいただきありがたいことである。プロジェクトが終わったらこれについての追加の勉強をしよう。
本記事はPython側の知見である。
【追記】
いただいたコメントをもとにいくつかの知見を追加。
shiracamusさんどうもありがとうございます。
Pythonで動的に関数を指定する
これは以前、この記事を書く途中で知った。eval()
を使うのだ。
前回の記事との対比で一応書いておくが、実際は使わない。
eval()
eval(expression, globals=None, locals=None)
文字列expression
をPythonの式として解釈する。globals
とlocals
については割愛。より詳しい記事はこちら。
hensu = "1+1" # 文字列
print (eval(hensu)) # 基本的なかたち 文字列を式として解釈する
# 結果 2
def funcA(x=0):
print ("Aが実行された:引数は", x)
def funcB(x=0):
print ("Bが実行された:引数は", x)
func_name1 = "funcA" # 関数名の文字列
eval(func_name1)(1) # 関数名を指定して関数を実行する カッコが必要
# 結果 Aが実行された:引数は 1
func_name2 = "funcB(2)" # カッコで引数まで付いた関数の文字列
eval(func_name2) # こっちはカッコはいらない
# 結果 Bが実行された:引数は 2
datetimeの時間要素を動的に扱う
JavaScriptでは Moment.js や Day.js を知らなかったこともあり動的に関数を指定するだけで一本の記事としてしまったが、本来の目的は時間要素を動的に扱うことだった。
PythonのdatetimeオブジェクトはJavaScriptのDateオブジェクトよりは高性能なので、複数の関数を用意してそれをeval()
で呼び分けることなく目的を達成できそうだ。
JavaScriptの Moment.js や Day.js に相当する、Pythonでdatetimeをさらに便利に扱うことができるようになるライブラリは探してみたが見つけることができなかった。
【旧】任意の単位の時間要素を取得する(この段、不適切)
datetimeから「時」や「分」といった要素を自由に得られるようにする。
datetimeでは時を取得するのはdatetime.hour
、分はdatetime.minute
…となっておりJavaScriptのDateオブジェクトと同様やや使いづらいが、datetime.strftime()
で自由にフォーマットを定めることができるのでこれを活用した。もっとエレガントな方法があったら教えてください。
import datetime
def get_time_element(dt, unit):
return int(dt.strftime(unit))
dt = datetime.datetime.now() # 現在日時 例 2021-12-03 12:34:56.123456
unit = "%M" # 取得する単位 datetime.strftime()のフォーマット
value = get_time_element(dt, unit) # 時間要素を取得する
print (value) # 結果 34
【追記】オブジェクトから特定要素を取得する
datetime.datetime
datetimeはdatetime.datetime.now()
という使い方しかしたことがないが、datetimeオブジェクトは具体的には次のようになっている(一部省略)。
datetime.datetime(year, month, day, hour=0, minute=0, second=0, microsecond=0, tzinfo=None)
多くの解説サイトで
import datetime
dt = datetime.datetime (2021, 12, 31, 12, 34, 56, 123456)
と紹介されているアレだ。こんな定義の仕方しねーよとしか思わないが、使う使わないは別としてdatetimeオブジェクトはこのようなかたちになっている。
そして、このdatetimeオブジェクトから各時間要素を取り出すのは、datetimeモジュールの特別な関数ではなくPythonの標準的な関数で可能だった。
オブジェクトの属性の値を取得する getattr()
getattr(object, name[, default])
object
の指名された属性name
の値を返す。指名された属性が存在しない場合default
が与えられていればそれを返し無ければエラーとなる。
つまり、私が目指していたものは
import datetime
def get_time_element(dt, unit):
return getattr(dt, unit)
dt = datetime.datetime.now() # 現在日時 例 2021-12-03 12:34:56.123456
unit = "minute" # 取得する単位 datetimeの属性の名前
value = get_time_element(dt, unit) # 時間要素を取得する
print (value) # 結果 34
という、個別の関数として外に出すまでもないものだったのだ。これは恥ずかしいー!
さて、多くの解説サイトでは自作のクラスを使ってgetattr()
を説明しているので、ここではdatetimeと同様、既存のオブジェクトを触ってみよう。
こちらの記事に書いたように、PILのImageオブジェクトはさまざまな情報を持っている。ここで**「時と場合によって幅と高さのどちらかを取得したいんじゃ、両方取得して片方は使わないなんて勿体ない真似は出来んのじゃ」**というコードを書く必要がある場合はgetattr()
が役に立つ。
from PIL import Image
filename = "hoge.png"
imgPIL = Image.open(filename)
# imgPIL.show()
print (imgPIL.width) # 普通の取得方法
print (getattr(imgPIL, "width")) # getattr()で取得
attr_name = "width"
print (getattr(imgPIL, attr_name)) # getattr()ならば属性名を変数にできる
任意の単位の時間要素を変更する
時間要素を変更するにはdatetime.replace()
を使う。この関数は具体的には**datetime.replace(year=self.year, month=self.month, day=self.day, 以下略)**となっており各引数には元の時間要素がデフォルト値として入っている。だから変更したい要素のみ指定すればよい。
今回は、関数の引数だけでなくそのキーワードも動的に変更すればよいわけだ。
いろいろググって試していたら偶然できてしまった。単位の表記が要素取得時と異なるのがイマイチだが、先に結果を書くとこうなる。
import datetime
def set_time_element(dt, unit, value):
return dt.replace(**{unit: value})
dt = datetime.datetime.now() # 現在日時 例 2021-12-03 12:34:56.123456
value = 0 # 変更する値
unit = "minute" # 変更する単位 datetime.replace()のキーワード
dt1 = set_time_element(dt, unit, value) # 時間要素を変更する
print (dt1) # 結果 2021-12-03 12:00:56.123456
もちろん偶然できたで終わりにしてはいけない。どのような挙動になっているのか詳しく調べねば。
**kwargs
関数の引数に**kwargs
を指定すると可変長のキーワード引数を辞書として受け取る/渡すことができる。kwargs
は慣例的な変数名でこうでなくてはならないわけではない。重要なのは**
だ。
datetime.replace(**kwargs)
は以下のfunc2()
に相当する使い方だ。
受け取る使い方は多くの解説サイトで見ることができたが渡す使い方の解説はなかなか見つけることができなかった。渡す使い方ではkwargs
という用語を用いないため検索しづらいのだ。
# 可変数の辞書を受け取る例
def func1(**kwargs):
print (kwargs)
func1() # 結果 {}
func1(hoge=1) # 結果 {'hoge': 1}
func1(fuga=2, piyo=3) # 結果 {'fuga': 2, 'piyo': 3}
# 可変数のキーワード引数を**辞書で渡す例
def func2(hoge=0, fuga=0): # デフォ値 0 0
print (hoge, fuga)
func2(fuga=1) # 普通の使い方 結果 0 1
func2({"fuga": 1}) # 失敗 {'fuga': 1} 0 最初の値が変更され2番目以降はデフォ値のまま
# 関数にデフォ値が設定されてなかったらエラー
func2(**{"fuga": 1}) # 成功 0 1 辞書のかたちでキーワード引数を変更するにはこうする
key, value = "fuga", 1
func2(**{key: value}) # 成功 0 1 この記載方法ならキーワードを変数で指定できる
# func2(key=value) # 失敗 'key'というキーワードはないのでエラーになる
*args
今回は使っていないが、ついでに。
関数の引数に*args
を指定すると可変数の値をタプルとして受け取る/渡すことができる。args
は慣例的な変数名でこうでなくてはならないわけではない。重要なのは*
だ。
*args
や**kwargs
は引数付きのPythonスクリプトをコマンドラインから実行させるときによく使う。
# 可変数の値を受け取る例
def func1(*args):
print (args)
func1() # 結果 ()
func1(1) # 結果 (1,)
func1(2, 3) # 結果 (2, 3)
# 可変数の値を*タプルで渡す例
def func2(hoge=0, fuga=0): # デフォ値 0 0
print (hoge, fuga)
func2(hoge=1, fuga=2) # 普通の使い方 結果 1 2
func2(1, 2) # 普通の使い方 結果 1 2
func2((1, 2)) # 失敗 (1, 2) 0 最初の値が変更され2番目以降はデフォ値のまま
# 関数にデフォ値が設定されてなかったらエラー
func2(*(1, 2)) # 成功 1 2
func2(*(1,)) # 結果 1 0 数が足りないときは残りはデフォ値になる
# 関数にデフォ値が設定されてなかったらエラー
【追記】オブジェクトの属性の値を変更する setattr()
setattr(object, name, value)
getattr()
の相方。…って、公式の説明がそれでいいのかよ!
datetimeは便利な関数なので(先日使いづらいって書いたくせに…)datetime.replace()
という関数を用意してくれているが、それがなくてもPythonが最初から持っている関数で変更できるというわけですね。
import datetime
def set_time_element2(dt, unit, value):
setattr(dt, unit, value)
return dt
dt = datetime.datetime.now() # 現在日時 例 2021-12-03 12:34:56.123456
value = 0 # 変更する値
unit = "minute" # 変更する単位 datetime.replace()のキーワード
dt2 = set_time_element2(dt, unit, value) # 時間要素を変更する
print (dt2) # 結果??
AttributeError: attribute 'minute' of 'datetime.datetime' objects is not writable
…ダメでした。素直にdatetime.replace()
を使えということですね。
これらを使いやすくする関数
分を扱うのにget_time_element()
では%M
を指定しset_time_element()
ではminute
を指定するというのは使い勝手が悪い。
人間様にとってわかりやすいminute
をキー、%M
をその値とする辞書を作る。それでget
/set
と単位minute
を指定すると適切な処理をしてくれる関数を作れば使いやすくなるんじゃないかな。
私は作らないけど。
終わりに
ものすごく中途半端だが、今回の目的は便利な関数を作ることではないのでこれで良しとする。
限定された機能でもかまわないから、とにかく手掛けているプロジェクトを最後まで完成させよう。