はじめに
はじめまして、大手企業でエンジニアリングマネージャーを務めており、新卒採用の実践経験が6年ほどあります。この記事では、良いエンジニアを採用したいと考えている採用担当者や人事部門の方を対象に、採用の成功に繋がる具体的な方法と戦略を解説します。
良いエンジニアとは
良いエンジニアは、単に技術力が高いだけではなく、不確定要素に対応できる能力や、チームでの合わせを考えた気配り、問題解決力を持った人材を指します。例えば、あるプロジェクトで納期直前に大規模な仕様変更が発生した際、迅速に影響範囲を分析し、チーム全体のリソースを再配置して無事納期を守ったエンジニアがいました。このように、予期しない問題にも柔軟に対応できる能力が重要です。
さらに、継続的に学び成長し続ける姿勢が重要であり、これが会社の競争力を高める源泉となります。例えば、最新技術を積極的にキャッチアップし、チーム内で共有することで組織全体の技術力向上に貢献したケースもあります。これには、会社のビジョンやカルチャーに合致した人材の招致も含まれます。
採用成功のためのステップ
採用の判断軸
採用時には以下のポイントを軸に判断することが効果的です:
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技術力:職務に必要な専門知識やスキルのレベル。
- 例えば、過去のプロジェクトでどのように技術的な課題を克服したか、具体的なエピソードを確認します。
- 企業によって技術レベルが異なるので、高ければ高い方が良いですが、最低限の技術力の目線は部門ごとに合わせておくことが重要です。
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問題解決力:未知の課題に直面した際の対応力。
- 候補者が直面した難題にどのように対応し、どのような結果を出したかの実例を掘り下げます。
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コミュニケーション能力:チーム内での情報共有や協調性。
- 個人的に重要視しています。エンジニアも一人で仕事をするわけではないため、他者とのコミュニケーションの取り方については、面接時の応対を通じて確認します。
- また、過去のチーム内での連携方法や意見の対立をどのように解決したかを聞きます。
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文化的適合性:会社のビジョンやカルチャーへの共感度。
- 志望動機につながります。中途採用では即戦力になるかを重視しますが、新卒の場合は、会社に入って何をやりたいか、どういう未来を実現したいかを面接で確認します。
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成長意欲:学習や自己改善への積極性。
- 面接時に重要視します。入社後に仕事を通じて成長するのは当然ですが、自ら動けるかどうかで成長曲線の角度が変わります。そのため、入社前に自ら実践している行動を確認します。
採用の判断軸に基づく面接の質問リスト
採用時には以下の質問を通じて、候補者の能力や適性を確認することができます:
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全般
- 前の会社で何をやってきましたか。
- 行動面接に繋げるための布石。過去のプロジェクトからそのときどんな問題が発生したか、それに対してどうやって対応してきたかを掘り下げます。
- 転職理由はなんでしょうか。
- 入社後の転職リスクや、候補者が会社に対して求めていることを理解するために確認します。
- 将来はどういう道に進みたいでしょうか。
- 入社後の志向性や、組織にフィットするかを見極めます。また、その道に向かって努力をしているかどうかも深掘りします。
- 会社に求めるものはなんでしょうか。
- 組織に合うかどうかを判断します。
- どういったタイプの人と仕事をしたいと思っていますか。
- チームでの相性や人間関係のトラブルが起きにくい環境を作るための参考にします。
- 仕事で気をつけている点はなんでしょうか。
- 候補者の個性が表れる質問です。
- 前の会社で何をやってきましたか。
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技術力
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あなたがこれまでに取り組んだプロジェクトの中で、最も技術的に挑戦的だったものについて教えてください。
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使用している技術スタックの中で、特に得意としている技術は何ですか?その理由は?
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問題解決力
- 直面した困難な問題をどのように解決しましたか?具体例を教えてください。
- 過去のプロジェクトで一番失敗したと思うのは何でしょうか?その失敗に対してどのような対応をしましたか?
- 期限前日に仕様の認識間違いが起きて、もう間に合わないような状況になったときどうしますか?
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コミュニケーション能力
- チームで意見が対立した際、どのように解決しましたか?
- チームメンバーとの効果的な情報共有方法について教えてください。
- チームに軋轢が生じた場合、あなたはどのように対処しますか?
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成長意欲
- 最近学んだ新しいスキルや技術について教えてください。
- 自身の成長のために行っている具体的な取り組みは何ですか?
- 過去2年間にあなたが仕事上成長するためにやったことを3つ挙げてください。
- 技術や知識を最新に保つためにどのような努力をしていますか?
これらの質問を活用することで、候補者の適性をより深く理解することができます。
おわりに
良いエンジニアを採用することは、企業の成長に直結します。本記事では、実際に役立つ具体的な方法や質問例を提示しましたので、ぜひ採用プロセスに取り入れてみてください。行動を起こすことで、より良いチーム構築に繋がることを願っています。