今後日本がどうなっていくかと巷で言われていることに対する違和感のまとめ。
日本が直面する人口減少は思ったより深刻、日本のITの仕事も必ず影響は出る
2011年3月に東日本大震災がおきた。その際に多くの犠牲者がでた。例えとしては適切ではないかもしれないが、忘れもしないあの災害で無くなった方・行方不明者は約1万8千人とされている。比較をすると驚かれる人も多いかも知れないが、その約3.5倍もの約6万人もの人口が毎月、今も日本から消えていなくなっているし今後もいなくなって減少することになっている。6万人とはどの程度の人数か?これは北海道なら夕張市の人口の6倍、九州なら鹿児島県日置市とほぼ同じ、関東方面に住まれている方であれば逗子や古賀といったところが想像しやすいかと思うし、東海地方なら常滑、東北なら二本松、北海道なら石狩に相当する人口が丸ごと毎月日本から減少しているイメージだ。少し古いが「人口5万人自治体一覧」は人口減少相当分がどの都市に該当するかイメージとして掴むことができる。
http://www.city.takizawa.iwate.jp/var/rev0/0018/1803/02shiryou2.pdf
毎月毎月日本からこんなに今も人が減っていっているのに仕事が増える、好景気になるなど想像できない。先日、ITの求人数は今後間違いなく減少する旨をまとめてみたが、少し自分の備忘録も含め補足したいと思った。( https://qiita.com/mnoda/items/541285daa0b807c14113 )
どんどんどんどん日本からは人が消え会社が消え、仕事の依頼のニーズも消えている。
日本より人口減少が激しい国で何が起きているのか?あのエストニアも。
次は「国の人口増加率順リスト」なるもので、データとして一見では間違っていないように見えるので、正しいものとしてみよう。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E3%81%AE%E4%BA%BA%E5%8F%A3%E5%A2%97%E5%8A%A0%E7%8E%87%E9%A0%86%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88
この一覧から人口減少率が日本より酷かった国、最近から今後ひどい国の国々をいくつか列挙してみる。
●ブルガリア
●アルバニア
●ベラルーシ
●クロアチア
●ジョージア
●ギリシャ
●ハンガリー
●モルドバ
バルト三国:
●エストニア
●ラトビア
●リトアニア
●ポルトガル
●ルーマニア
●ウクライナ
これらを見てピンと来る人は来ると思うが、どの国も物価が安い国が多い。日本のようだ。そして、偶然ではないはずだが給料も安い国が多い。給料についてはわかりやすく図式化されたものがこちら:
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_European_countries_by_average_wage
給与水準をみるとポルトガルはかなり人口減少に入っているがそうでない隣の国の半分、バルト三国も減少傾向にない隣の国々の半分から3分の1程度だ。同じようにアルバニアやルーマニアといった国々も国境を接している西側国境の国の半分になってしまっている。「ユーロ」を中心とした同じ通貨を使っている国も多く、陸続きで国境警備もなくフリーパスで移動、居住できてしまうような場所も多いのにこんなに差がある。この事実一つからしても人口減少と給料減少(というか給料が年々他国より上がらない事象)が紐づいていることは容易に想像できると思う。
ITエンジニアとして必ず聞きそうなエストニアはどうなのか?
IT先進国でたくさんのIT関連の仕事があるとされているエストニア。「エストニア エンジニア 給与」「エストニア 給与」として検索するといろいろな記事がヒットするが、調べてみるとやはり高くはない。現地で働いている雇われエンジニアの方は、人混みがない、通勤が楽といった環境的なメリットは主張されているケースが多いが、日本を上回る給与的なメリットがあるとは到底思えない記事が多い。他の仕事の平均より高いとはいえ、概ね全て込みで毎月20〜40万円程度(本日現在)のようだ。これでは日本の方が「良い生活」ができる人も多いだろう。
日本の雇われITエンジニアはどうなるか?
新卒ITエンジニア採用1,000万円などと騒がれることが多い昨今だが、そのような求人の採用人数がどの程度あるのか調べたことがあるのかと思う。マスコミが騒ぐといかにも大きなニュースに聞こえるが、肌感覚では日本全国で100人いるかいないかであろう。2019年新卒人数を調べてみたが大卒で31万人、専修卒で22万人、高卒で16万人もいる。(参考https://bs.benefit-one.co.jp/BE-ONE/HC/pdf/HC2_02.pdf )大卒全体の99.97%には関係ない話を(0.03%=100/310,000)の話を大袈裟に話して素晴らしい日本の未来が待っているかのような報道にはかなり違和感を抱く。20年前とは打って変わって他国に最低賃金、平均賃金(ITエンジニアも)を抜かれ始めているが、この傾向は続くはずだ。さらに格差は拡大するはずだ。従い、「待遇」のみを考えると日本の外に出て行かざるを得ないだろう。スタートアップの給料が低いのも日本では当たり前とされているが、人口が増え仕事も増えていくアメリカ、オーストラリアなどと対照的だ。この辺りは日本とエストニアはよく似ている気がする。そしてインドやベトナムといった人口増諸国の給料は上昇を続けていく(アメリカやオーストラリア等と均衡していく)のは間違いないように見える。日本では雇われサラリーマンが使えるお金は毎年毎年減っており(社会保険料天引き、消費増税、・・・)、政権・政策が大きく変わらない限りこの傾向もさらに加速していくと思われる。わかりやすく一言でいうと、おそらく20年から30年後の日本のエンジニアの待遇はお隣中国の半分から3分の1になっていると思う。現にヨーロッパのほぼ100%の国々で起きていることがアジアが例外で起きないとは考えない方が良い。20年後にこの記事をみるのが楽しみ。
「今」と「海外に移住のバリア」
こんな状況で(庶民の)未来は(他の人口減少の国々と同じように待遇は)悪化していく一方だと誰もがわかる時代に日本は突入していることから、おそらく大切にしないといけないのは「今」になると考える。「今」稼げるときに稼いだ方が良かろう(同じ金額を稼いでも今稼いだ方が手取りも多く残る、この事実だけも十分材料)。最新の「今」の市場価値をキープすることが先決。そして雇われとして前述の通り日本では限界もあろうから海外に職を求めることもできると思うが、どの国でも婚姻や資産家枠で移住しない限り長期滞在・永住時の要件として
●言語能力
●学歴
●職務経験(学校の履修と全く関係のない職務経験ではない)
●当座資金(半年〜1年程度の生活費)
の4点は必ず必要と思った方が良い。
結局、同じような仕事でも待遇が自国の3倍、4倍になるような環境には世界中から人が流れ込もうとするのは不可避であるから(= 日本からだけではなく、エストニアからも人材流出しますよ)、外国人採用や移住に慣用的な国であったとしても相手国は何らかの方法でフィルタをするしかない。ITのお仕事であったとしても学歴フィルタ(厳密には大学名というより学位と学校の認証を見ているケースが多い)、語学力フィルタは避けて通れない。職務内容も学校で学んだことと紐づいているかのチェックが入ることが多い。極めて高待遇の雇われは別枠で例外がある国が多いが、総じてどこもこんな感じだ。
ITエンジニアと言えでも、これらがないと日本やエストニアでどれだけダメ出しされて買い叩かれ、その他の海外の国では有望でWelcomeな人材でだったとしても海外で活躍ができない・しにくい(少なくとも現時点では)。世界どこでもリモートワークの可能性が無きにしも非ずだが課税問題や安心感の課題があり忌避される可能性はある。プラットフォーム型ビジネスは海外への発注や国境を越えることが容易になっているが、それなりのボリュームの業務の外注や従業員のような人を相手にする場合は今もなんだかんだでリモートへのハードルがあるし今後も当面続くと思う。従い、**言語は自動翻訳機があるからどうでもいいとか、学歴は関係ないとか平気で言う人たちがいるが、億単位の資産があるならともかく雇われの仕事をするために海外移住を考えた際やFace to faceで個人受注するにはまともに当てはまらない。**日本で仕事をするにしても海外で仕事をするにしても言語や学歴は関係ないと短絡的に捨てない方が良いというのが私の認識。捨てた時点で私が見ている限り雇われキャリアの選択肢が一気に狭まる。無論、狭まった中でピカイチになるのも一つではあるがPythonやRubyの日本全国どこからもお声がかかる第一人者になるってそう簡単じゃないよね。
結論
日本でのお仕事の絶対数はどんどん無くなっていく。ITも減っていく。「今」を大切に。そして日々の勉学は疎かにしない。