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1時間で作るTableau KPIダッシュボード

Last updated at Posted at 2025-12-08

4月からマーケティング分析を担当することになりました。
これまでもTableauをある程度使っていましたが、いざ 「マーケティング担当としてダッシュボードを作る」 となると、どの指標を優先して可視化すべきか、意外と悩ましいポイントになります。

本記事では、ダッシュボード構築の基礎となる KPIツリー と、Tableauで作成したダッシュボード例 を紹介します。
「マーケ分析を任されたけれど、まず何から手を付ければいいの?」という方の参考になればうれしいです。

今回作成したダッシュボードサンプルです。
image.png

1. KPIツリー:目的を持ってダッシュボードを作る

ダッシュボードは「よく見る指標をただ並べたもの」になりがちです。
そうならないよう、以下のポイントを意識してKPIを設定します。

  • ゴール(KGI)を明確にする
  • KGIを、網羅的かつ定量的に把握できるKPIへ分解する
  • KPIは“自分たちがコントロールできる指標”にする

このプロセスを整理するために便利なのが KPIツリー(KGIとKPIの構造化) です。
今回はマーケティング分析の入口として、KGI=売上を起点にKPIツリーを作成していきます。

まず、KGIである売上をシンプルな式に分解します。

売上 = 顧客数 × 顧客単価

次に顧客数を「新規顧客」と「既存顧客」に分解します。
なぜなら、この2つは増減の要因も施策内容も大きく異なるためです。
売上の変動要因が 「新規獲得の不足なのか」「既存顧客の単価低下なのか」 を切り分けられるダッシュボードは、意思決定の質を高めます。

KPIツリーは以下のようになります。

KPIツリーとしては以下のようになります。

KPIツリー(例)
KGI:売上
│
├─ KPI①:顧客数
│     │
│     ├─ 新規顧客
│     │      ├─ 売上
│     │      ├─ 顧客数
│     │      └─ 顧客単価
│     │
│     └─ 既存顧客
│            ├─ 売上
│            ├─ 顧客数
│            └─ 顧客単価
│
└─ KPI②:顧客単価

ここまでが基本ですが、実行できる施策や製品の種類によって分解の仕方は異なってくるかと思います。また、実務ではさらに様々な指標をチェックすることがあります。

▼ KPIの例
顧客関連

KPI 説明
リピート率 既存顧客のうち再購入した割合。CRM施策の主指標。
購入頻度 顧客が一定期間に何回購入しているか。LTVの構成要素。
LTV(Life Time Value) 顧客生涯価値。マーケ投資の上限判断の基礎。

集客関連

KPI 説明
セッション数 Webサイトに訪問された回数。集客の総量を把握する基本指標。
ユーザー数(訪問者数) 何人の人がサイトに来たか。ユニークユーザーを計測。
ページビュー(PV)数 ページがどれだけ閲覧されたか。関心度の粗い把握に使う。
インプレッション 広告が表示された回数。広告露出量を確認。
CVR(Conversion Rate) コンバージョン率=CV数 ÷ クリック数。LP改善の重要指標。
CPA(Cost Per Acquisition) 1件獲得あたりの費用。広告効率の最終評価によく使われる。

2. ダッシュボードの作成例(サンプルスーパーストアを使用)

Tableau Desktop付属のサンプルデータストアを使用してダッシュボードサンプルを構築していきます。
今回は上部にKGI含む重要指標、中部にKPI、下部に顧客詳細を表示するレイアウトとしました。

2-1.重要指標

まずは、上部に以下の4つを重要指標として並べました。

  • 売上(月次推移)SUM([売上])
  • 利益(月次推移)SUM([利益])
  • 利益率(月次推移)SUM([利益])/SUM([売上])
  • 顧客数(月次推移)COUNTD([顧客名])
    ※顧客数は当月に注文があった顧客のみをカウントしています

売上推移のシート例
image.png

グラフ選びのワンポイント:折れ線と棒の違い

  • 折れ線グラフ
    変化(増減)を強調しやすい。大きな変動がない指標はゼロ起点を外すことで細かい変化が見やすい。
  • 棒グラフ
    各月の「量」や「総量」を見せたい時に向く。ただしゼロを含まない軸は誤解を生むため避ける。

2-2.KPI

KPIでは、顧客を既存顧客と新規顧客に分解します。
ここでは、購入初月(最初のオーダー日が属する月)は新規顧客(の売上)、それ以外を既存顧客(の売上)として扱います。

まずは、顧客ごとの最初のオーダー日をFIXEDを使って計算します。

購入日(初回)
{ FIXED [顧客名]:MIN([オーダー日])}

購入日(初回)を使って、購入初月かどうか判定します

初月FLG
DATETRUNC("month",[オーダー日])=DATETRUNC("month",[購入日(初回)])

初月FLGを使って、顧客数、売上、顧客単価の3つのKPIを新規顧客と既存顧客に分解します。
image.png

6つのKPIを1シートで表現しています。
シートを分けると柔軟性は高まりますが、作成・維持コストも増えるため、用途に応じてバランスを取ると良いでしょう。

2-3.顧客購買状況

顧客の購買行動を把握するため、より詳細な情報を表示する部分です。
円の大きさで売上を表現し、初回購入日から最終購入日までラインを引いてアクティブな期間を視覚化しています。
image.png

2-4.フィルター

サンプルでは、特定の製品カテゴリで見られるように、また、直近の期間にフォーカス出来るようにフィルターを追加しています。

3.サンプルダッシュボードから分かること

  • 既存顧客数・売上は堅調に成長
  • 新規顧客は最初の1年間以降ほとんど増えていない
    → 既存顧客のリピート強化は成功しているが、新規獲得には課題。早期の改善施策が必要。

また、カテゴリによっては特定月に新規顧客の顧客単価が異常値を示すケースがあり、キャンペーン施策や市場変化など外部要因の影響があったか追加の分析が必要です。

image.png

4.さいごに

最後まで読んでいただきありがとうございます。今回はTableauを使って簡単なKPIダッシュボードを作る方法をご紹介しました。マーケティング分析をされる方の一助となれば幸いです。
また、さくらインターネットのサービスでTableau Serverを構築する手順も公開されていますので、ご興味があればご一読ください。
https://knowledge.sakura.ad.jp/14511/

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