たまにLANケーブルを作ることがあるので、その作り方を残しておきます。
クラウドや無線が主流になった今でも、LANケーブルを自作できるスキルは現場で確実に役立ちます。
- ちょっとした検証環境を作りたい
- ケーブルの断線(トラブル)を疑いたい
- 長さが合わないので作り直したい
こうした場面では、ケーブルの構造を理解しているエンジニアは非常に重宝されます。
この記事では、以下を中心に最短で理解できる成端手順をまとめます。
- ケーブルの種類(UTP/STP、単線/より線)
- T568A/Bの違い
- ストレート/クロスの判断
- RJ-45の成端手順(写真付き)
ケーブルの成端と言えど、環境・規模など状況によっては建設業法に関わる場合があるので、検証以外の目的で行う場合は確認した上で行ってください。
はじめに
まず、ケーブルには大きく
- 同軸ケーブル
- ツイストペアケーブル
- 光ケーブル
という3種類のケーブルがあります。
OSI参照モデル上、階層1の「物理層」に属し、ネットワークを構築する上で非常に重要な位置付けであり、接続するノードや目的に合わせケーブルやコネクタを使い分ける必要があります。
ここでは、ネットワークを構築する上で最もよく利用されるLANケーブルとして、「ツイストペアケーブル」の作り方について説明していきたいと思います。
ツイストペアケーブル
LANを構築する際最も使うケーブルです。
銅線を2本ずつ撚り合わせ、そのペアを4対組合わせた構造になっています。
各ペアの周りに雑音を遮断するシールド加工を施したものを「STP(Shielded Twisted Pair)」、シールドを施していないものを「UTP(Unshielded Twisted Pair)」といいます。
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今回紹介するもの
今回は最も身近に使用される以下のタイプを紹介します。 -
ツイストペアケーブル(UTP)
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Cat6
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ヨリ線
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RJ-45
準備するもの
ケーブルを作成するにあたり、以下のものを用意します。
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LANケーブル
価格:¥4,000~(100m)
家庭用の数mのものでもよいです。
色は豊富にあるため、使用用途に合わせ使い分けるとよいです。
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かしめ
価格:\3000~
8P/6Pに対応するものがあります。
今回紹介するLANケーブルは8極8芯(RJ-45)を使用するため、8Pのみ対応していれば問題ありません。
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コネクタ(RJ-45)
価格:\3000~(100個)
1ケーブルの作成あたり2個使用。
画像のようにピンの返しがむき出しになっているタイプと内側に屈折しているタイプがあり、保護カバーもあります(別売り)
作り方
作り方は以下の⑤STEPで作成します。
- ケーブルを必要な(作成したい)長さに切る。
- コネクタの接続部分の被覆を剥く
- 銅線を目的に合わせ配列し、コネクタに差し込む
- 圧着する
- 試験する※
※試験について
一般的にはLANテスターを使用します。施工工事では試験が必須ですが、この記事では成端手順にフォーカスするため詳細は割愛しています。
※簡易的には、両端に端末を接続し ExPing などで短間隔のPingを100回程度実施し、パケットロスがないか確認する方法もあります。
①ケーブルを必要な(作成したい)長さに切る
必要な距離を測り、コネクタ取り付け分として両端に1〜2cmほど余裕を持たせて切ります。失敗時の再加工も考え、数cmは多めに残しておくと安心です。
また、ケーブルの長さは使用場所の環境で最適値が変わります。
データセンターのように二重床がある場合は余長を床下にしまえるため、機器間の距離を正確に測って最短で作るのが基本です。
一方、オフィスや居室では席替えが多いため、少し長めに作って余裕を持たせる方が運用しやすいです。
二重床がない環境では余長が邪魔になりやすいため、必要以上に長くしすぎないよう調整してください。
②コネクタの接続部分を剥く
①で切り出したケーブルの両端をコネクタの取り付ける部分のみ剥きだします。
剥きだすには、かしめの写真の「ケーブルカッター」部分を利用します。
※ニッパーなどを使用してもいいのですが、中の銅線を傷つけてしまうと実際の接続時に不具合が出てしまうため、慣れない限りかしめを使うとよいです。
※写真はあくまでイメージです。対応コネクタの種類やカッターの使い方は実物の説明書を見て、そちらに従ってください。

また、剥き出す長さは1.0cm~1.5cmがよいとされます。短いと配線を組み替えることが難しくなり、長いとコネクタに収まらなくなってしまいます。
※事前にコネクタと長さを合わせてください。
③銅線を目的に合わせ配線し、コネクタを成端する。
ケーブルを作る際、最も重要な工程です。
LANケーブルにはストレートとクロスがあり、どちらを作るかは接続する機器(ノード)の組み合わせで決まります。機器側のピンアサインが MDI か MDI-X かを確認し、それに応じてストレート/クロスを選択します。
なお、最近の機器は AUTO MDI/MDI-X に対応していることが多く、機器側で自動判別されるため、ストレート/クロスを意識しなくても通信できる場合がほとんどです。
参考として、MDI/MDI-X の送受信ペアは以下の通りです。
8本の銅線をどの順番で並べるかを決めます。
LANケーブルの結線方式には T568A(A結線) と T568B(B結線) の2種類があり、どちらを使っても規格上の優劣はありません。始端と終端で同じ方式を使えばストレート、AとBを組み合わせればクロスになります。
- A結線(T568A)
- B結線(T568B)
一般的には B結線(T568B)がよく使われる印象がありますが、どちらを選んでも問題ありません。
こちらは、始端をB結線、終端をフルクロス(TX)で作成した例です。
※ここでの「始端」「終端」は、単に先に作った側・後に作った側という意味です。
④圧着する
③にてコネクタにしっかり差し込んだら、かしめの圧着部分を使用し、しっかりと圧着します。
ここでしっかりと固定できていないと、接触不良によるパケットのロスや、引っかかったりして抜けてしまうことになります。
※テスターが無い場合、冒頭に書いたよう、端末同士をつないでExPingなどで確認する方法でも良いかと思います。
かしめに差し込み、強く押し込んでカチッとなるまで押し込めたら完了です。

⑤試験する
④までの工程を終えたら、実際に使用する(出荷)前に問題なく信号の伝送ができるか試験する必要があります。
テストの方法は前述してあるようにLANテスターなどを使用し、電気信号をケーブルに流し、各銅線を正常に信号が流れるかを確認します。
また、テスターにはストレート/クロスを識別できるものも多くあるため、想定通りの配線であるかを確認します。
障害発生時にLANケーブルの不良は見落としがちになるため、このように仕組みや構成・作りを知ることにより、柔軟な対応ができるようになるかと思います。
最後に
ケーブル成端はインフラエンジニアの登竜門のような存在でしたが、無線化・クラウド化・仮想化が進んだ今では、ケーブルに触れる機会すら減ってきました。
※「両端合わせて1分で作れれば一人前」なんて話もあったとかなかったとか
とはいえ、ネットワークは非常に奥が深く、トラブルが起きたときには物理層で何かが起きていることも少なくありません。技術領域を広げれば広げるほど、こうした“物理の勘所”の重要性を強く感じるようになります。
AI時代になり、最新技術の導入が進む企業とそうでない企業の差は広がりつつありますが、オンプレ環境が再評価される可能性も十分あります。
そのときに備えて、エンジニアとしてはやはり OSI参照モデルの基礎 を押さえておくことが大切だと感じています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。












