『Google Mapでハザードマップを表示するまで』の第1回の記事です
ハザードマップを見たいときに困ること
- 自治体ごとに情報が分散している
- 自宅や、これから住もうとしている家がどこなのか分かりづらい
結局、見慣れた地図であるGoogle Mapで、日本全国のデータが見られるのが一番良い
- 地名で検索できる
- なんとなく見たいエリアをスクロールできる
ということで、開発することにしました
表示するデータセット
ひとまず洪水の情報を表示できるようにします
国と東京都が、それぞれ浸水深のデータを提供しているので、この2つのデータを表示することにしました
データセットの概要
東京度の よくある質問(浸水予想区域図) を読むと、2つのデータセットの概要や関係性が、なんとなく分かります
簡単に説明すると、国が都道府県と連携して「洪水浸水想定区域」のデータ(日本全国版)を提供しており、東京都だけは独自に「洪水浸水想定区域」より調査範囲を広げた「浸水予想区域図」というデータを提供しているという感じです(想定とか予想とか、微妙に名前変わってて紛らわしい)
洪水浸水想定区域
「洪水浸水想定区域(国)」については、想定する降雨の基準やデータフォーマットが過去何度か更改されていて、そのたびにデータセットを作成しているので平成24年度版と、令和元年〜3年度(2019年〜2021年)版の2つがあるようです
後者はなぜ3年分かというと河川の管理者ごとに分担して調査しており、流域面積の広い河川は複数年度に分けて調査したり、年度ごとに河川の整備状況などを考慮してデータを更新したりしているようです
想定最大規模と計画規模
洪水ハザードマップを作成する際に、どの程度の降雨を想定するかについては2つの基準があります(これも国が定めているようです)
- 1.想定最大規模
1000年に1度の確率で発生する降雨規模 - 2.計画規模
10〜100年に1度の確率で発生する降雨規模
「洪水浸水想定区域(国)」では、河川の管理者ごとに、どちらを想定したデータが作成されているか異なり(両方のデータが提供されていることもあります)、「浸水予想区域図(東京都)」では、基本的には 想定最大規模 を想定してデータを作成しているようです
データ表示の方針
- 河川ごとの最新のデータは何年度版に含まれているか
- 想定最大規模と計画規模で重複しているデータ(定義からいって不自然ですが、重複していないデータもありました)は、どう扱うべきか
- 別の河川と重複しているデータは、どちらを優先すべきか
上記のようにデータが重複しているような場合、データ表示の優先度をどうすべきか、よく分からなかったのでデータの提供元に問い合わせを何度かして、表示の優先度についての方針を、以下のように決めました
- 1.浸水予想区域図(東京都)のデータを最優先
- 1-1.データが重複する場合は、浸水深がより大きい方を優先
- 2.洪水浸水想定区域図(国)のデータは、年度の新しいものを優先
- 2-1.年度が同じ場合は、想定最大規模を計画規模より優先
- 2-2.年度も規模も同じ場合は、浸水深がより大きい方を優先
災害を想定するものなので、なるべく想定される被害を大きく見積もるようにしています
おわりに
表示するデータについて、ある程度まで理解できたので、次はデータを表示する要素技術について書こうと思います