ClickFixとは
ClickFixとは、ユーザーを欺いて悪意のあるコマンドを自ら実行させるソーシャルエンジニアリング攻撃手法です。
攻撃の手口
ClickFixの主な手口は以下の通りです。
- 偽CAPTCHA画面の悪用: GoogleのreCAPTCHAやCloudflareのCAPTCHAといった、正規の認証画面を装います。しかし、実際にはボット認証ではなく、ユーザーに悪意のある操作をさせることが目的です。
- フィッシングサイトへの誘導: フィッシングメール、不正広告、あるいは検索結果などを利用して、ユーザーを偽のウェブサイトへ誘導します。このサイトで、前述の偽CAPTCHAが表示されます。
- コマンド実行の強要: 通常のCAPTCHA認証ではありえない方法で、ユーザーにコマンドの実行を促します。具体的には、「Windowsキー + Rキーを押す」「Ctrlキー + Vキーを押す」「Enterキーを押す」といった指示を出し、クリップボードにコピーされた悪意のあるコマンドをユーザー自身にペースト・実行させます。
この手法の最大の特徴は、ユーザー自身が手を動かして悪意のあるコードを実行してしまう点にあります。そのため、従来のセキュリティソフトウェアによる検知が難しいという課題があります。
想定される被害
ClickFixによって悪意のあるコードが実行されると、以下のような被害が発生する可能性があります。 - 情報漏洩: 個人情報や機密情報が盗み出される。
- 不正アクセス: アカウントが乗っ取られる、システムに不正に侵入される。
- マルウェアの感染・拡散: さらなるウイルスやランサムウェアなどがシステムに感染し、拡散する。
- 遠隔操作: デバイスを遠隔から操作される。
ClickFixから身を守るための対策
ClickFixのようなソーシャルエンジニアリング攻撃から身を守るためには、以下の対策が重要です。 - 不審なメールやサイトに警戒する:
- 送信元やURLを必ず確認し、少しでも疑わしいと感じたらリンクをクリックしたり、指示に従ったりしないようにしましょう。
- 緊急性を強調するメッセージ(例:「今すぐクリックしてください」「アカウントがロックされます」)には特に注意が必要です。
- 公式チャネルで確認する:
- 不審なメッセージを受け取った場合、メッセージ内のリンクを使うのではなく、提供元の公式ウェブサイトから直接ログインしたり、問い合わせたりして情報を確認しましょう。
- 多要素認証の活用:
- 重要なアカウントには**多要素認証(MFA)**を設定し、たとえパスワードが漏洩しても不正アクセスを防げるようにしましょう。
- OSやソフトウェアの更新:
- 利用しているOSやソフトウェアは常に最新の状態に保ち、セキュリティパッチを適用して既知の脆弱性を解消しましょう。
- セキュリティ意識の向上:
- ソーシャルエンジニアリング攻撃の手口や危険性を理解し、常に警戒する意識を持つことが最も重要です。従業員がいる場合は、定期的なセキュリティ研修を行うことをおすすめします。
- 不自然な操作をしない:
- ウェブサイト上で「WindowsキーとRキーを押す」といった、普段のウェブブラウジングではありえない操作を求められた場合は、絶対に実行しないでください。
ClickFixは2024年上期に報告された比較的新しい攻撃手法ですが、その巧妙さから今後の普及が懸念されています。常に最新のセキュリティ情報を確認し、対策を講じることが大切です。
- ウェブサイト上で「WindowsキーとRキーを押す」といった、普段のウェブブラウジングではありえない操作を求められた場合は、絶対に実行しないでください。
対策
ClickFixのような巧妙なソーシャルエンジニアリング攻撃から身を守るためには、複数の層での対策が必要です。
- ユーザー個人の意識と行動(最も重要)
- 不審なメールやサイトに警戒する:
- 送信元とURLの厳重な確認: メールやメッセージの送信元アドレス、クリックしようとしているURLが本当に正規のものかを徹底的に確認してください。少しでも疑わしい点があれば、安易にクリックしたり、指示に従ったりしないでください。
- 緊急性や不安を煽る表現に注意: 「今すぐクリックしないとアカウントがロックされる」「不正アクセスされています」といった、ユーザーの冷静な判断を奪うようなメッセージには特に警戒が必要です。
- 「Windowsキー + Rキー」などの不自然な指示には従わない: Webサイト上で、通常ではありえないキー操作(例:WindowsキーとRキーを同時に押す、Ctrl+Vでペーストするなど)を求められた場合、それはClickFixの可能性が極めて高いです。絶対に指示に従わないでください。
- 公式チャネルで情報を確認する:
- 不審なメールやメッセージで、アカウント情報の更新や確認を求められた場合、メッセージ内のリンクは使わず、必ず公式のウェブサイトに直接アクセスし、ログインして確認してください。
- 多要素認証(MFA)の活用:
- ログインが必要なサービスには、可能な限り多要素認証を設定してください。仮にパスワードが漏洩しても、もう一つの認証要素(例:スマートフォンアプリのコード、生体認証など)がなければログインできないため、不正アクセスを防ぐ最終防衛線となります。
- 個人情報の安易な入力は避ける:
- 見慣れないウェブサイトや、入力画面のURLが正規のものでない場合、安易に個人情報(ID、パスワード、クレジットカード情報など)を入力しないでください。
- システム・デバイス側の対策
- OSとソフトウェアの常に最新の状態に保つ:
- 利用しているオペレーティングシステム(Windows, macOSなど)やウェブブラウザ、その他のアプリケーションは、常に最新のバージョンにアップデートし、セキュリティパッチを適用してください。既知の脆弱性を悪用した攻撃を防ぐことができます。
- セキュリティソフトウェア(ウイルス対策ソフト)の導入と更新:
- 信頼できるセキュリティソフトウェアを導入し、定義ファイルを常に最新に保ち、定期的にスキャンを実行してください。完全に防ぐことは難しいかもしれませんが、マルウェア感染のリスクを低減できます。
- Webブラウザのセキュリティ設定の強化:
- フィッシング詐欺やマルウェアのダウンロードを防ぐために、Webブラウザのセキュリティ設定を確認し、警告機能やトラッキング防止機能などを有効にすることをおすすめします。
- クリップボード監視機能の検討(上級者向け):
- 一部のセキュリティツールやカスタムスクリプトでは、クリップボードの内容が不審なURLやコマンドである場合に警告を出す機能があります。これは専門的な知識が必要な場合もありますが、対策の一つとして検討できます。
- 組織・企業としての対策
- 従業員へのセキュリティ意識向上教育:
- ClickFixのようなソーシャルエンジニアリング攻撃の手口や危険性を、従業員に対して定期的に研修や情報共有を通じて周知徹底することが不可欠です。具体的な事例を交えながら、攻撃を見破るためのリテラシーを高める必要があります。
- 不審な状況に遭遇した場合の報告フローを明確にし、従業員がためらわずに報告できる環境を整備しましょう。
- メールセキュリティ対策の強化:
- フィッシングメールやスパムメールを組織内に届かせないよう、メールフィルタリングやサンドボックス機能などを備えたセキュリティ製品を導入しましょう。
- Webフィルタリングの導入:
- 悪意のあるウェブサイトへのアクセスをブロックするためのWebフィルタリングソリューションを導入し、従業員が誤ってフィッシングサイトにアクセスしてしまうリスクを低減しましょう。
- 脅威インテリジェンスの活用:
- 最新の脅威情報(脅威インテリジェンス)を継続的に収集し、自社のセキュリティ対策に反映させることで、新たな攻撃手法への対応力を高めます。
これらの対策を組み合わせることで、ClickFixのような巧妙な攻撃から自身や組織を守る可能性を最大限に高めることができます。常に警戒心を持ち、不審な挙動には疑いの目を持つことが何よりも重要です。
- 最新の脅威情報(脅威インテリジェンス)を継続的に収集し、自社のセキュリティ対策に反映させることで、新たな攻撃手法への対応力を高めます。