自宅サーバーの仮想化環境をVMware ESXiからProxmoxVEに移行したときのお話です。
グラフィックが搭載されていないサーバーでProxmoxVEのインストーラーではインストールできず、手動でインストールを行ってみました。
ProxmoxVEとは
Proxmox VEは仮想化環境を提供するプラットフォームの1つです。
似たものにVMware ESXiがありますが、ProxmoxVEはOSSとして開発されており仮想化に特化したLinuxディストリビューションでもあります。
Debianベースであり、仮想化にはKVMとLXCの2つを使うことができます。
インストーラーを使わないインストールとは?
Proxmox VEのインストーラーにはグラフィック機能が必要です。しかし、サーバー向けのマシンの多くにはグラフィック機能が搭載されていません。そのため、インストーラーを使わずにインストールする必要があります。
Proxmox VEはDebianベースのLinuxディストリビューションであるため、インストーラーを使わずともDebianからパッケージをインストールすることによってProxmox VEをインストールすることができます!
今回は、Debian 11 BullseyeをベースとするProxmox VE 7.2をインストールしていきます。
準備
なにはともあれ、Debian 11 Bullseyeを最小構成でインストールしてください。
インストーラーに従ってインストールしていくので説明は割愛します。
/etc/hosts
にホスト名を追加する
Proxmox VEを使う上で自身のホスト名を/etc/hostsで解消できなければなりません。
IP:192.168.0.2、ホスト名:proxmoxとして/etc/hosts
に記載する例を以下に示します。
環境に合わせて設定してください。
127.0.0.1 localhost
192.168.0.2 proxmox.example.com proxmox
設定後、設定されたことを確認するには以下のコマンドで確認することができます。
$ hostname --ip-address
192.168.0.2
Proxmox VEをインストールする
いよいよ、Proxmox VEのインストールです。
これからの作業はRootで行ってください。
Proxmox VE リポジトリを追加する
Proxmox VE リポジトリを追加します。
$ echo "deb [arch=amd64] http://download.proxmox.com/debian/pve bullseye pve-no-subscription" > /etc/apt/sources.list.d/pve-install-repo.list
続いてリポジトリキーを取得します。
$ wget https://enterprise.proxmox.com/debian/proxmox-release-bullseye.gpg -O /etc/apt/trusted.gpg.d/proxmox-release-bullseye.gpg
リポジトリの追加が完了したので、リポジトリとシステムを更新していきます。
$ apt update && apt full-upgrade
Proxmox VEのカーネルをインストールする
Proxmox VEには仮想化環境用にチューニングされた独自カーネルがあります。
Proxmox VE本体をインストールする前にカーネルを入れていきます。
$ apt install pve-kernel-5.15
$ systemctl reboot
Proxmox VEのパッケージをインストールする
Proxmox VEを構成するパッケージをインストールしていきます。
$ apt install proxmox-ve postfix open-iscsi
必要に応じて、構成を入力求められますが、何を入力すべきかわからない場合はlocal only
を選べば特に問題ありません。
Debianのカーネルを削除する
Debianのカーネルが残っていると、Debian本体の更新の影響を受けて問題が発生する場合があります。
そのためDebian標準のカーネルを削除します。
$ apt remove linux-image-amd64 'linux-image-5.10*'
このままでは、起動時にカーネルを見つけることができないのでgrubのエントリーも追加しておきます。
$ update-grub
webインターフェースにアクセスする
1度再起動した後、https://{IPアドレス}:8006
からwebインターフェースにアクセスします。
初回のアクセス時には管理ユーザの設定が必要なので必要に応じて設定をしてください。
終わりに
今回はProxmox VEをインストーラーを使わずにインストールしてみました。
インストールに関する情報は少ないものの、ベースがDebianということもありそこまで難しいものではなかったのではないでしょうか。
Proxmox VEを使うと簡単に仮想マシンをたくさん立てることができるので、仮想化環境ライフをお楽しみください!!