AWS認定Solutions Architect Professional(SAP) 試験は、オンプレからクラウドへの移行・統合を企図していたり、マルチアカウント・マルチリージョンなワークロード(群)を管理していたりする比較的規模の大きな組織において、AWS基盤の構築・運用にあたるエンジニアの方が身につけているべきスキルの証明をする資格です。
2022年11月15日、この資格試験がバージョンアップされました。旧バージョンである SAP-C01
の配信は11月14日を以て終了し、新バージョンである SAP-C02
の配信が翌日に始まりました。
私は11月14日に旧バージョンを受験、その後12月19日に新バージョンを受験しました(どちらもほんのり塩っぱい点数で合格)。その体験をもとに2つのバージョンで何が変わったのか、考察してみます。
公式発表では何が変わったのか?
試験ガイドを見る限り、新試験では出題範囲が変更されており、AWSのサービスカタログのアップデートに追随しているようです。
Serverworks社の小倉氏が こちらの記事 で整理・紹介してくださっている通り、試験で問われる知識の方向性と、出題の分野についてはそれほど大きな変化はないようです。
一方で「範囲内のAWSのサービスと機能」セクションを見ると、旧バージョンの試験ガイドにはなかったサービスと機能が多数(60弱)登場します。
新バージョン対策における問題の1つはこの記載内容の変化をどれくらい真に受けるかという点です。
では実際はどうなのか?
あくまで12月19日受験時の私の印象ですが:
-
実質的な出題範囲について旧バージョン(11月14日)と違いがわからなかった。
- 従来の試験で出題(実質)がなく新しい試験範囲に追加されたサービスは、出題内容の中に見つけられなかった。
- 従来の試験で従来の出題範囲にないのに実際は出題されていたサービスが、新しい試験でも新しい出題範囲にある/なし関わらず散見された印象。
-
出題全体の難易度はやや上昇。
- 「以下の選択肢から3つ選べ」形式の出題が多い。従来の試験では「以下の選択肢から2つ選べ」止まりだった印象。当然選ぶ数が多いほど難易度は上がる。
- また、これは本当に印象論だが、問われる内容(意味)もやや難しくなったような。。
-
システムと組織の一元管理の重要性は相変わらず。
- SAPのテーマ、それはざっくりいうと、マルチアカウント、マルチリージョン、ハイブリッドクラウド、グローバルに展開するAWSリソースとその上で動くワークロード、それを利用する人間組織を一元管理(効率的に、徹底的に)するためのスキルの証明。
- AWS公式の研修サービスであるクラスルームトレーニングのAdvanced Architecting on AWSの「コースの目標」を読むと、この水準のスキルとしてどんなものが求められるかを垣間見ることができるかも?? ただし研修そのものは試験対策講座ではない。
どう受験準備していくか?
「公式発表」と「実際」、それらをうけてどう準備していったらよいのか? 前述の通り難易度は少し高めに再調整されている雰囲気があり、従来よりも深く学ぶ必要はありそうですが、基本的な攻め方は変わらないかな、と:
- SoftBank Creative刊の参考書とUdemy等の模擬試験問題集の組合せはやはり王道
- 『AWS認定資格試験テキスト&問題集 AWS認定ソリューションアーキテクト – プロフェッショナル』(SoftBank Creative、2021年刊)。
- 「AWS 認定ソリューションアーキテクト プロフェッショナル模擬試験問題集(全5回分375問)」(Udemy)。こちらはあくまで
SAP-C01
対応止まりのもので、Udemyからは配信停止の予告が来ている。 - Udemyでは新試験
SAP-C02
対応をうたう英語の模擬試験問題集もすでにリリースされており、ブラウザの翻訳機能を使えば日本語でも利用できる。
- 新バージョンの試験範囲に追加されたサービス群の概要レベルの把握もやっておくべき
- 従来の試験範囲にない or 実質も出題されていなかったものでも少なくとも概要レベルの学習はしておくべき。12月19日に受験した時点ではこの点あまり対策の効果を感じられなかったが・・・今後徐々に出題内容がアップデートされていくのだろうと推測。
最後に私の SAP-C01
および SAP-C02
の受験準備の対応履歴をざっくり書き出しておきます。後学の方の参考になればさいわいです:
- 2022年5月~6月(1.5m) 組織内の読書会で参考書(前掲)を通読
- 2022年11月前半(2w) 組織内のもくもく会で再度参考書を通読、Udemyの問題集(日本語・
SAP-C01
対応)の演習を2本実施、不明点をBlackBeltのスライド資料、クラスメソッド社やServerworks社のブログ記事で補習 - 2022年11月14日、受験
SAP-C01
→ 800点弱(塩っぱい!) - 2022年12月中旬(1w) 組織内のもくもく会でUdemyの問題集(英語を機械翻訳・
SAP-C02
対応)の演習を2本実施、不明点をBlackBeltのスライド資料、クラスメソッド社やServerworks社のブログ記事で補習 - 2022年12月19日、受験
SAP-C02
→ 800点強(やっぱり塩っぱい!!w)
※前提として私がAWS管理コンソールやAWS CLIを使って実際に業務したトータル時間はここ数年間で1時間未満です(スキルビルダーやクラスルームでのハンズオンでの経験は除く)。