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【re:Invent2025】Amazonカルチャープログラムのリーダーからメンタルモデルとメカニズムを学んできた(SNR303)

Last updated at Posted at 2025-12-05

はじめに

あっという間に現地時間で4日目、みなさん元気にお過ごしですか!笑

ワークショップやセッションでのインプット、参加者同士のコミュニケーションでのアウトプットで頭フル回転なので毎日糖分をたくさん摂取してしまっていて帰国後の体調が心配です:grin:

さて、当記事では昨日出席し印象に残っているAmazonの組織についてのセッションの内容を備忘録も兼ねて共有したいと思います。

セッション概要

タイトル: leader's guide to advanced mental models and mechanisms (SNR303)

スピーカー:Stephen Brozovich (Executive in Residence, Amazon Web Services)

概要

To build a lasting, performant corporate culture, you need not only strong mental models to guide your employees and help them make decisions but also the right mechanisms to operationalize company values and mental models—and to help them persist. This session examines why organizational culture erodes over time, dives into the organizational artifacts that reinforce existing cultural patterns, and shares some of the best practices that help create strong mechanisms, using examples from Amazon's own journey.

スピーカー紹介:Stephen Brozovich氏
Stephen Brozovich氏は、AWSのエグゼクティブズ・イン・レジデンスのメンバーです。Amazon文化プログラムのリーダーとして、組織全体のカルチャーを言語化・民主化に取り組まれているそうです。

1999年8月からAmazonに勤務し、会社の大きな変化を見てきた後、13年前にHR部門へ移り、組織カルチャーの構築に本格的に携わり始めたというユニークなキャリアパスを持っている方でした。

カルチャーは3つの要素で成り立つ

セッションで強調されていたのは、
カルチャー = メンタルモデル + 行動 = アーティファクト という構図です。

  • メンタルモデル:人々が共有する考え方や価値観
    • 同じ場面でも、カルチャーによって行動が変わる。それを左右しているのがメンタルモデル
  • 行動:メンタルモデルに基づいて人々が行うこと
  • アーティファクト:行動の結果として残る証拠や形跡
    • Amazonの有名な「プレスリリース・ファースト」がその典型
    • 新製品開発の前にプレスリリースを書く独自のアプローチ。そこには「誰がこの製品を使うのか」「何が解決されるのか」が明確に書かれています。FAQセクションでは予想される質問と回答を詳しく説明
    • 書かれたプレスリリースを見れば、その組織が何を大事にしているかが一目瞭然。新しく入った人もそれを読むことでカルチャーを学ぶ

「アンティキティラの機械」で学ぶ組織考古学

セッションの中で、古代ギリシャの「アンティキティラの機械」を例にしながら、組織カルチャーを分析するアプローチが紹介されていました。
正直なところ、聞き始めはどうつながるのかわかりませんでした:eyes:

約2000年前に作られた精密な機械装置をアーケオロジー(考古学)のアプローチで説明すると、

  1. 何か不思議な装置(アーティファクト)を見つける
  2. それが何なのか、どのように作られたかを推測する
  3. なぜ作られたのか(どんなメンタルモデルだったのか)を想像する

組織カルチャーもこれと同様に「考古学的」に分析できるとステップごとの説明を聞いて納得しましたし、考古学のアプローチに例えるという発想が面白いと思いました。

:unamused: この承認フロー、なぜ5段階あるんだっけ?」
:unamused: この会議、そもそも何を解決するために生まれた仕組みだった?」

こうした「謎のアーティファクト」だけが残ると、元のメンタルモデルや意図が薄れ、形骸化したカルチャーが生まれてしまうというお話は熱を持ってお話されていたのが印象的でした。

よくビジネス書等でも疑問を持つことの重要性が書かれていますが、常に改善思考を持ち続けるのは難しいですし日々の業務に追われているとどうしても意識できなくなってきていたので改めて襟を正されるような気持ちになりました。

「メカニズム」がメンタルモデルを実装する

メンタルモデルが素晴らしくても、それを支えるプロセス(メカニズム)がないと薄れていきます。

メカニズムとは、クローズド・ループ・フィードバックプロセスです。
☆インプット → 変換 → アウトプット → 検査 → 反復

Stephen氏 の言葉:

"Good intentions don't work, mechanisms do."
(善意だけでは変わらない。毎日働くメカニズムが必要)

一人ひとりが毎日高いモチベーションで会社のミッションに共感できていれば話は別かもしれないですが、それは机上の空論にすぎないと思います。だからこそ毎日動くメカニズム/仕組みが必要であるということだと理解しました。

エンジニア組織やプロダクトチームにも応用できる

  • ミッション(メンタルモデル)を言語化できてますか?
  • それを支えるプロセス(メカニズム)は?
  • ドキュメントやツール(アーティファクト)で継承されてますか?

この3つが揃って初めて、「ただのルール」ではなく「カルチャー」になるとのこと、納得です。

カルチャーを維持するための心構え

セッション全体を通じて印象的だったのは、Stephen氏 が何度も強調していた姿勢はカルチャーを維持するだけではなく社会人として意識すべき心構えだと思いましたので紹介します。

:sunny:「最善を知ることはない」という謙虚さ
:sunny:多様な視点を求め、自分の信念を疑うことの重要性
:sunny:「正しかった」ことが目標ではなく、最善の答えを得ることが目標
:sunny:自分が間違っているかもしれないと考える能力が必要

自信を持つことや自分自身を信じることはもちろん重要だと思います。
ですがそれだけでは思考の矢印が自分にしか向いていない状態になるので、自分より外に矢印を向けることでより最善策が見つかるように導いてくれるような心構え4箇条だなと思い今後私も意識していきたいと思います:muscle:

感想

このセッションを受講したきっかけは、生成AIを全従業員に浸透させるためのカルチャーづくりに役立つヒントを得たいと思ったからです。

生成AIを身近に、フル活用できるような組織状態にするにはカルチャーが大事だと思っていましたが具体的にどうすればよいのかというところがぼやけていました。

しかし、今回お話をきいて社内のエバンジェリストの自主性に頼るだけではカルチャーは作られず、最初から仕組み化することでカルチャーになっていくということを学びました。

Stephen氏自身も語っていた

「唯一、より良い答えに到達する方法は、自分が間違っている可能性を考慮することだ」

という言葉の通り組織カルチャーも同じで完璧な正解を求めるのではなく、常に学び、試し、改善し続ける。その姿勢こそが、カルチャーを守り続ける力なんだと思いました。

行動変容にもつながるようなセッションにre:Inventで参加できて非常に良い経験になりましたし、マインドについては早速実践していきます!

弊社では一緒に働く仲間を募集中です!

現在、様々な職種を募集しております。
カジュアル面談も可能ですので、ご連絡お待ちしております!

募集内容等詳細は、是非採用サイトをご確認ください。

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