これは モノグサ Advent Calender 2025 の 1 日目の記事です。
前置き
私の勤務先である モノグサ では、2023 年から Qiita の Advent Calendar に参加しています。
エンジニアを中心に、有志の社員が日替わりで枠を取って執筆する形式でやっています。
そのためには、社内の取りまとめをする人が必要です。
2023・2024 は有能な前任者がやってくれていたのですが、今年は多忙とのことなので、筆者が取りまとめを引き継ぎました。
その際にどんなことをしたのか、一つの経験としてまとめておきたいと思います。
必ずしも筆者が自分でやったことだけでなく、社内の誰かがやったことも含めて、思い出す限りで書いておきます。
企画
社内の許可を取る
まず、会社の名前を出して活動するには、しかるべき権限のある人に話を通しておく必要があるでしょう。
とはいえ、私の勤務先である モノグサ のように、すでに何年かの実績がある場合には、
「昨年踏襲で、今年もやろうと思いますが、何かご懸念ありますか?」
といった形のシンプルな相談になります。
もちろんその上で、懸念があればマイナーチェンジをするとか、場合によっては今年で終わりということはあるかもしれません。
一方で、新しく立ち上げるときには、
「アドベントカレンダーというものは…」
といった説明から始め、具体的な立て付けを相談しなければなりません。
その際には、一般的な企画の提案と同様、こういったことを説明するのでしょう。
- 何をやる
- どんなやり方でやる
- それによって、こんな良いことがありそう
- 一方で、こんな懸念がある
社内には、色々なことについてそれぞれ責任を持っている人がいるので、それぞれの観点から懸念や関心が出てくると思います。
立て付けを決める
多くの人に影響するので、決めなければならないことは多いです。
- 会社の名前を出すかどうか
- 執筆活動は業務時間とするか
- 執筆者をどのように募集するか
- 編集デスクを設置するか
- などなど…
そして、以下のような要件がみたされなければいけません。
- 社内的に OK である
- 実現可能である
- 期待している効果が実現される
モノグサでは、立ち上げは 2023 年に前任者がやったので、筆者はこの苦労を体験してはいないのですが、おそらくここが最も調整力を要する部分です。
結論として、モノグサでは、社名を出して、かつ会社の持っている媒体( Note や Hatena Blog )も使わせてもらっています。
この形というのは、おそらく、いろいろな立て付けがあり得る中でも、かなり会社との距離感が近い形態だと思います。
そのため、これらを責任持って管理している広報担当には、原稿チェックやアップロード作業など多々めんどうをかけてしまっているのですが…。
そのおかげで、先述の要件をみたしつつ、持続的に運営することができていて、大変ありがたい限りです。
ルールづくり
執筆要項を決める
モノグサでは、社内から執筆者をつのる形式で運営しています。
そうすると、企画の検討からどっぷり参加している人もいる一方、ライトにちょっと書きに来たという人もいます。
そのため、詳細な背景などを分かっていなくても、空気を読んだ執筆ができるようにしておきたいです。
加えて、そもそもの執筆リテラシーについても正直まちまちです。
そこで、執筆のルールやガイドラインなどを作り、ある程度安心して執筆ができるようにするのが良さそうです。
まず、基本的なこととして、言うまでもなく従うべきルールがあります。
- 掲載する媒体のルールに従う
- ブランド、コンプラ、知財等の観点でマズいことを書かない
- などなど
それに加えて、自分たちで決めるべきルールもあります。
- ○○ に絡めた記事にする
- 冒頭や末尾に定型の文章を入れる
- 必ずカレンダー本体へのリンクを貼るようにする
- ○○ に言及する場合は原稿のダブルチェックを行う
- など
また、原稿チェックなどのように、立て付けの一部として必須になるルールもあるかもしれません。
いずれにしても、ルールやガイドラインを作ると執筆者は書きやすいですし、余計な行き違いを防ぐこともできるので、ぜひそうしたいところです。
統一テーマを設ける
執筆要項の中に、統一テーマとして
「必ず ○○ に絡めた記事にすること」
といったルールを入れることがあり得ます。
テーマを定めることの利点としては
- 見に来た人にとって、軸があってわかりやすい
- 執筆時、ネタ出しのきっかけになりやすい
- テーマを通じて何らかの訴えかけができる
などがありそうです。
一方で、自由に書いてよいのに比べると、
- 書きたいネタがあっても、テーマに合わせないと書けない
といったデメリットもあります。
モノグサでは、今年は「未体験への挑戦」という統一テーマを立てることにしました。会社のバリュー の一つの項目から取ったものです。
テーマを設けることの是非は正直よくわかっていません。
運用フロー整備
短期間とはいえ、1 ヶ月近くにわたって毎日、新しい作業が発生します。
しかも執筆者は日替わりです。
そのため、ある程度フローを確立させて、フローに従って作業できるようにしておかないと、毎日がイレギュラー対応の連続で、カオスになりそうです。
そうなると持続可能ではありません。
運用フローと呼ばれるものとしては、たとえば、
- 原稿チェックを依頼するフロー
- 記事が公開されたときの社内告知のフロー
- 日付が休業日にあたるときのフロー
などなどがありそうです。
モノグサでは、まだあまり確立できてなく、走りながら調整しているところです。
参加者募集
社内周知
実施が決まったら、社内に告知をして執筆者を集めます。
あわせて、運営チームのメンバーも募集します。
社内のネットワークづくりや、人を引きつける力などが問われるところです。
筆者はあまり得意なほうではないですが、運営チームの皆で声がけをして参加者をつのりました。
モノグサでは、おそらく、前任者が精力的にリーダーシップを取って人を集めてくれていたことで企画が成り立っている面が強かったです。
たぶん一般的にも、そのような推進者的なパーソンが成功のカギなのかもしれません。
なお、参加者があまりにも集まらなかったなどで、実現可能性がなくなった場合には、撤退の判断をすることも重要な責任です。
ただ、幸いモノグサではその必要はありませんでした。
アサイン
アドベントカレンダーに、担当者を割り当てていきます。
執筆担当者だけでなく、ダブルチェックをするルールにしている場合のチェック担当や、アップロード担当など、複数人がかかわる場合には、そこまで含めてのアサインが必要かもしれません。
なお、モノグサでは、参加者募集の時点で、「どの日付を担当するか」まで含めて挙手してもらっていました。
別の方法としては、いったん人数で募集をしたあと、あらためて誰がどの日付を担当するかという日程調整を行う方針もあったと思います。
日付も含めて挙手する方法だと、どうしても期の後半に近い日付から埋まりやすく、前半があいてしまう点に難しさがありました。
穴埋め
ところで、こういった寄稿企画では、どうしても「穴が開く」ということがあります。
- 業務多忙やインフルエンザなどで執筆ができなかった
- 思ったより壮大になってしまい、執筆が終わらなかった
- 本文は書き上がったが、画像の手配に時間がかかっている
- チェックで重大な不具合が見つかり、修正ではなく原稿自体を没にせざるを得ない
などなど…
Qiita のアドベントカレンダーの仕様として、日が過ぎてから掲載することもできるので、「ちょっと間に合わなかった」などであれば、完成を待てば良いと思います。
あるいは、少し未来の日付の進捗が早く、記事がすでにできていれば、日付を入れ替えるという手もあります。
しかし、例えばインフルなどであれば、おそらく本来業務のほうも圧迫されていているでしょう。
数日待つと言われても、とても記事を書いている余裕はないかもしれません。
そうなると、本業に影響を与えてはマズいですので、参加者は辞退となるでしょう。
また、そもそも参加者が微妙に足りず、カレンダーのアサインが埋まっていないということもあります。
このような場合には、誰かが枠を引き取って埋める必要があります。
おそらく、取りまとめの責任として、埋めるための記事を 1 本か 2 本くらいは用意しておきたいものだという気がしますが、現実にはなかなか難しいかもしれません。
あき枠のままにしておくのも一つの判断だと思います。
進行
執筆、編集
カレンダーでアサインされた参加者が執筆します。
単に原稿を書き上げるだけでなく、推敲、ファクトチェック、また画像などの素材準備も発生すると思います。
また、原稿作成とは別でブログシステムなどを使っている場合、原稿の流し込みや整形作業などもあります。
その結果ミスが生じる恐れがあれば、原稿とのつき合わせも必要かもしれません。
特にチェックなどは、どのくらい細かくやるかによって労力が大きく変わるところです。
モノグサの場合は、会社の媒体を使うときは広報担当がチェックをしてくれていますが、そうでないときは各自の判断ということにしています。
進行管理
記事の公開日に先立って、社内フローに従い、原稿やタイトルの提出日などを設けているはずです。
カレンダーのとおりに執筆が進んでいればよいですが、実際には遅れることもあります。
さらには、前出のように穴が開くことさえあります。
そのため、管理業務が必要です。
進捗確認や催促の他、必要に応じて日付の入れ替えを打診するとか、後の工程を圧縮できないか相談するなどの調整が発生します。
一方で、順調に進んでいるときには、流石ですねなどのコメントをして空気を良くすることも大事です。
社内展開
モノグサでは、記事が公開されるごとに、Slack で社内共有をしています。
おそらく多くの人にとって、粛々とストイックに記事を書いているだけでは面白みが少ないのであり、せっかく書いたからには、社内の皆に見てもらって反響をもらいたいものだと思います。
特に、普段こういった書きものを書き慣れていない人にとっては、「記事を書いて公開される」というのは一大イベントだと思うので、それ相応に盛り上げていきたいなと思うところです。
総括
最後に、25 日間のカレンダーが終わったら、全体の総括をしましょう。
立て付けの中で、報告書を提出することが求められているかもしれません。
また、メンバーでお疲れ様と言って打ち上げをすることも良いでしょう。
モノグサでは、特に報告書はなく、打ち上げもしませんが、来年のために反省として、良かった点や良くなかった点を書き残すことくらいはしたいと思っています。