Prompt EngineeringからAgent Engineeringへ ― AI開発は新しい時代に入った
「AIに良いプロンプトを書けば十分」
半年前までは、それでも十分でした。
しかし2026年現在、AI開発の中心はAIエージェントへ移りつつあります。
この記事では、AIエージェント開発の全体像を体系的に解説します。
本シリーズでは以下の流れで解説していきます。
- Prompt Engineering
- Loop Engineering
- Agent Engineering
- Graph Engineering
- Claude Code Dynamic Workflows
この記事はその第1回です。
AI開発は4つの時代に分けられる
私は現在のAI開発を次の4つの世代に分類しています。
Prompt Engineering
│
▼
Loop Engineering
│
▼
Agent Engineering
│
▼
Graph Engineering
それぞれ何が違うのでしょうか。
第1世代 Prompt Engineering
ChatGPTが登場した頃は、
AIにどう指示を書くか
がすべてでした。
例えば
英語を日本語へ翻訳してください。
専門用語は残してください。
Markdownで出力してください。
このようなプロンプトを書くだけで、
AIの性能は大きく変わりました。
そのため
Prompt Engineering
という言葉が生まれました。
Prompt Engineeringの限界
しかし、
次のような仕事はどうでしょう。
- Web検索
- PDF解析
- ソースコード解析
- レビュー
- 修正
- テスト
- ドキュメント作成
これらを
一回のプロンプト
だけで行うのは困難です。
例えば
調査して
↓
考察して
↓
コードを書いて
↓
レビューして
↓
修正して
というように、
複数の工程があります。
ここでPromptだけでは限界が見えてきました。
第2世代 Loop Engineering
そこで登場したのが
Loop Engineering
です。
つまり
AIが
「考える」
ことを繰り返します。
考える
↓
回答する
↓
自己評価
↓
改善する
↓
再回答
これを何度も繰り返します。
Reflection
代表例が
Reflection
です。
例えば
このコードを書いてください。
ではなく
コードを書いてください。
そのあと
問題点を自分で探してください。
改善してください。
という流れです。
つまり
AI自身がレビューします。
Retry
一度失敗したら
もう一度挑戦します。
回答
↓
失敗
↓
改善
↓
再実行
単純ですが、
精度は大きく向上します。
Memory
さらに
前回の失敗
前回の成功
を覚えておきます。
すると
同じ失敗を繰り返しません。
第3世代 Agent Engineering
Loopだけでも
かなり賢くなります。
しかし
まだ問題があります。
一人で全部やっています。
例えば
調査
↓
コード作成
↓
レビュー
↓
資料作成
全部
一人で担当しています。
人間ならどうでしょう。
会社では
営業
経理
設計
品質保証
それぞれ担当者がいます。
AIも同じです。
AIエージェントとは
AIエージェントとは
役割を持ったAI
です。
例えば
Planner
仕事を分解します。
Researcher
情報を集めます。
Coder
プログラムを書きます。
Reviewer
コードをレビューします。
Writer
文章を書きます。
これらを組み合わせることで、
一つのAIより
高品質な成果が得られます。
マルチエージェント
さらに
複数のAIを
協力させます。
Planner
│
┌──────┴──────┐
▼ ▼
Researcher Researcher
│ │
└──────┬──────┘
▼
Reviewer
│
▼
Reporter
これは
会社の組織
とよく似ています。
なぜAgentが必要なのか
理由は単純です。
専門家は
専門家の仕事だけした方が
強いからです。
例えば
税理士に
デザインを頼みません。
デザイナーに
決算書を書いてもらいません。
AIも同じです。
役割を分けることで
品質が向上します。
しかしAgentにも限界がある
ここまでで
かなり賢くなりました。
しかし
まだ問題があります。
例えば
Planner
↓
Research
↓
Review
↓
Report
これは
一本道です。
Researchが終わるまで
Reviewは待っています。
本当に待つ必要があるのでしょうか。
実は
待たなくてもよい仕事が
たくさんあります。
ここで登場するのが
Graph Engineering
です。
次回は
AIエージェントを
一直線ではなく
グラフとして設計する
Graph Engineering
について解説します。
まとめ
AI開発は
Prompt
↓
Loop
↓
Agent
↓
Graph
という進化を続けています。
これからは
プロンプトを書く技術
だけではなく
AIエージェントを設計する技術
が重要になります。
さらにその先では
複数のAIエージェントを組み合わせる
Graph Engineering
が中心になっていくでしょう。
次回予告
次回は
Graph Engineering入門
として、
- Node
- Edge
- Parallel
- Fan-out
- Fan-in
- Pipeline
などを図を使ってわかりやすく解説します。
シリーズ
- 第1回:Prompt EngineeringからAgent Engineeringへ(この記事)
- 第2回:Graph Engineering入門
- 第3回:Graph Engineering実践
- 第4回:Claude Codeで実践するDynamic Workflows
- 第5回:OpenAI Agents SDK・LangGraph・Google ADK比較
- 第6回:Monadoで作るAgent Operating System
- 第7回:AIエージェント実践事例