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ITSS+「データサイエンス領域」2025年度版を読んでみた(RAG・AIエージェント時代のDSスキル)

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注意:本記事に含まれている所感は個人的なものであり、所属組織の見解とは関係ありません

2023年版を読んで早2年、そういえば2年に一度更新でした。

2025年度版が公開されたこと自体は、同僚から早い段階で聞いており把握していました。
ただ、実際に中身を確認してみると「ここまで変わっていたのか!」という印象でした。
せっかくなので、2025年度が終わる前に内容を整理しておこうと思います。

今回確認した資料

今回もデータサイエンティスト協会のスキル定義委員会が発表したときの資料を確認してみました。

今回はYoutubeのアーカイブが見つからなかったため、上記グラレコやQA一覧から熱量伝わってきたのでこちらを参照しました。

2023年度版から2025年度版の変更ポイント

グラレコにあった言葉を借りると、以下がポイントだそうです。

  • AI利活用タスクリスト全面刷新
  • データサイエンティストになるための必要なスキルリストの大刷新
    • 価値創造スキルの独立化
    • 融合スキル群の新設
    • 基盤スキルの新設

次からは、上記のポイントに沿って各リストを見ていき、最後に今回登場した技術キーワードについても触れてみたいと思います。

(補足)AI利活用タスクリストとスキルリスト

2025年度版を見ていく前に、タスクリストとスキルリストについて少し補足しておきます。
2025年度版に限らず、ITSS+データサイエンス領域では、以下の2つのリストで構成されています。
簡単に言うと

  • タスクリスト=AIプロジェクトでやること
  • スキルリスト=タスクを実行するためにできる必要があること
    例として、以下のようなイメージです
タスク 必要スキル
課題設定 ビジネス理解
RAG設計 Embedding理解
PoC Python

それでは、タスク構造の変化から見て行きたいと思います。

AI利活用タスクリスト全面刷新

どこからでもスタートできる構造にガラッと変えた

スキル定義委員会曰く、「どこからでもスタートできる構造」らしいです。
確かに、研修を実施していても、分析と並行して、簡単なプロトタイプを先に作ってしまう方も増えてきたように感じます。

図で見た方が分かりやすいと思います。
これが、
image.png
こうなりました。
image.png

変更後のタスク分類は以下の通りです。

タスク大分類 タスク中分類 タスク小分類
探索・事業化 (Visioning) 技術・主な課題の探索 技術理解、社会潮流洞察
  価値仮説設計 意味構造の検討、課題の再定義、インパクト検証
設計 (Design) 要求・モデル設計 ユースケース検討、人間とAIの協調モデル設計、展開計画策定、組織設計
  システム・AIプロトタイプ設計 要件整理、アーキテクチャ設計、AIプロトタイプ開発
  ガバナンス・管理設計 データガバナンス設計、AIガバナンス設計
  プロジェクト設計 実行計画策定、推進体制整備、コンプライアンス・倫理・権利の確認、計画の承認
構築・運用 (Build & Operate) 環境整備 AI環境整備、ユーザ環境整備、MLOps基盤整備、セキュリティ・ガバナンス環境整備
  データ整備 アプローチ設計、データ収集、データ処理
  AI開発・検証運用 AI開発、AI評価、AI監視、AI改善
  定着 リテラシー教育、業務活用、ナレッジマネジメント
運用・進化 (Apply & Evolve) AI作動の検証・効果測定 効果の把握、反映・改善
  スケーリング・進化 価値の展開、制度・文化改革、さらなる改善

ちなみに、タスクリストの大分類を以下のようにマッピングしてみると、2023年度はPhase2とPhase3がメインだったのに対して、2025年度版では、各フェーズの重要度が比較的均等になった印象です。

2025年度 2023年度
探索・事業化 (Visioning) Phase1一部
設計 (Design) Phase1一部+Phase2一部+Phase3一部
構築・運用 (Build & Operate) Phase2一部+Phase3一部+Phase4一部
運用・進化 (Apply & Evolve) Phase3一部+Phase4一部

タスクリストの違い

タスクリストは変更点が非常に多く、差分見つけるのちょっと大変かもと思ったので、ChatGPTを使って比較してみました。

No 2025(新)価値創造・構想タスク 2023(旧)対応タスク群 位置づけ/違いのポイント
1 技術・社会潮流の洞察 技術理解/生成AI動向調査 同等だが2025は社会文脈まで拡張
2 社会潮流洞察・市場構造把握 ビジネス環境整理 マクロ視点が強化
3 潜在ニーズ発見 ビジネス課題整理 顕在→潜在へ深化
4 意味構造の検討 ユースケース検討 単機能→価値設計へ抽象化
5 課題の再定義 要件定義 問題設定フェーズが追加された形
6 価値創造の方向性定義 コンセプト設計 より戦略レベル化
7 活用スコープ特定 対象業務プロセス整理 同等だが2025は上流判断
8 ステークホルダー合意形成 関係者調整 同一
9 倫理・法令・社会影響確認 法令/ガイドライン確認 2025はガバナンスまで含む
10 利用ガイドライン策定 (該当なし/弱い) ★2025新設(組織運用強化)
11 データ戦略設計 データ収集計画 収集→戦略へ拡張
12 データセット構築(Embedding/RAG等) ファインチューニングデータ作成 技術進化に対応
13 AI/モデル選定 生成AIモデル選定 同等
14 アーキテクチャ設計 システム設計 同等
15 UI/UX設計(役割別) ユーザインターフェース検討 人間中心設計が強化
16 PoC設計・検証 PoC実施 同等
17 本番導入計画 業務活用準備 同等
18 効果測定・KPI評価 効果測定 同等
19 改善ループ設計 フィードバック収集 同等だが体系化
20 組織能力強化・ロードマップ策定 (該当なし) ★2025新設(DX人材育成/変革視点)

新設部分を太字にしてみましたが、組織に関わるタスクが新設されていることが分かります。

次は、このタスク構造の変化によりスキルセットがどう変わったか見てみたいと思います。

データサイエンティストになるための必要なスキルの大刷新

これまでよく使われていたあのスキルセットが・・・

研修の時に受講生が大学でも見たことあると言われていたこの図ですが、
image.png
出典:データサイエンティスト協会 12th Symposiumのスキル定義委員会活動報告資料

なんと、5つのスキルセット群に再構成されました!
image.png
出典:データサイエンティスト協会 12th Symposiumのスキル定義委員会活動報告資料

でも、データサイエンティストとは?という以下の定義は変わっていないとのことでした。

データサイエンティストとは?
  データサイエンス力、データエンジニアリング力をベースに
  データから価値を創出し、ビジネス課題に答えを出すプロフェッショナル
(データサイエンティスト協会 12th Symposiumのスキル定義委員会活動報告資料より)

ただ、生成AIの普及により「分析」がコモディティ化してきた背景もあり、分析作業ができるより、その先の価値創造に重きが置かれた感じですね。(と、グラレコにもありましたが)
では、今回の主な変更点に従って少し詳しく見てみます。

価値創造スキルの独立化

「価値創造」という言葉が今回の資料には沢山出てきますが、スキル領域としても新設されました。
何かすごいことができないといけないのか?という感じがしてしまいますが、
一覧を「『★(見習い)』の列が〇」で絞り込んでみると、抽象化すれば「これってビジネススキル的なもの?」というのも混じってます。
例えば、

  • 変化のストーリー化(技術・社会潮流の洞察)⇒ 変化の出来事を整理し、概要を説明できる
  • データ流通・調達(データ整備
    (Data Readiness))⇒ 契約内のデータの取り扱いにおける基本的な条件を理解・遵守できる
  • 意味構造の読み解き・共有(VC基礎) ⇒ 自らの経験や出来事を整理し、わかりやすく説明できる

もちろん、組織レベルで価値を上げることを考えるために必要なこともたくさん載っていますが、AIが当たり前に使える中でどんなスキルが必要かという意味でも使えると思いました。
あと、個人的にうれしかったのは、この価値創造カテゴリの一覧にはタスクのフェーズが入っていこと。
前の版を使ってスキルとタスクの紐づけを行った際にとても大変だったので、示してもらえるのはありがたかったです。

融合スキル群の新設

グラレコによると、共通点は『つなぐ』 らしいです。
このスキル群のスキルカテゴリは以下のように、最近の用語が盛りだくさんとなってます。
確かに「つなぐ」ものですね。

  • AIエージェント
  • マルチモーダルAI
  • ナレッジ活用
  • AIシステム管理
  • インターフェース
  • オントロジー
  • IoT
  • ロボティクス
  • データガバナンス
  • AIガバナンス

ただ、このスキル群は「★★(一人前)」と「★★★(棟梁)」の2レベルのものしか入っておらず、求められるスキルレベルはやや高めでした。
上を目指す方はまずはここにある単語の概要をつかむところから入るといいかもしれません。

基盤スキルの新設

グラレコによると、DXリテラシー標準を意識して、前回の版にあるスキルを再整理してきたもののようです。主に「データを扱う人が留意してほしいこと」を集めているとのこと。
そこで、「『スキルレベル列』が★」かつ「『必須』が〇」で絞り込むと以下のような状況でした。(右側の言葉はざっくりとした内容です)

  • ビジネスマインド(4件):データ重視で判断、目的設定の理解、仮説を言語化、一次情報を重視
  • データ・AI倫理(2件):データ倫理遵守、AI悪用リスクの理解
  • コンプライアンス(1件):データ法規理解
  • MECE(論理的思考)(1件):重複を発見する能力
  • 構造化能力(1件):課題構造把握
  • 言語化能力(1件):分析結果言語化
  • 生成AI活用(アプローチ設計):ハルシネーションの理解
  • 統計情報への正しい理解(データ理解)(2件):比率や指標の理解、数字やグラフの不適切な解釈
  • ビジネス観点での理解(データ理解)(1件):仮説思考の理解
  • 俯瞰・メタ思考(データの理解・検証)(1件):データ背景の理解
  • 方向性定義(データ可視化)(1件):可視化思考の理解
  • 攻撃と防御手法(ITセキュリティ)(1件):サイバーリスクの理解

文字通り、リテラシー的な要素が強いですね。

増えた技術キーワード

主に最近のキーワードとして以下が増えてました。

  • AI技術
    • AIエージェント
    • マルチモーダルAI
    • 自律型AI
    • MCP(Model Context Protocol)
    • A2A(Agent 2 Agent)
  • LLMアーキテクチャ
    • RAG
    • Embedding
    • 独自データ活用
  • ガバナンス
    • AI利用ガイドライン
    • AIリスク管理

さいごに

最後に、今回の資料を読んで感じたことをまとめておきます。

価値創造をここまで書くとみんなデータサイエンティストスキルが必要では??

「価値創造」を前面に打ち出した2025年度版で上記のように感じたのですが、資料のQA一覧でも同じような意見が多数出てました。
スキル定義委員会の回答としては、以下だそうです。

まず前提として、私たちは“すべてのビジネスパーソンにデータサイエンスのスキルを持ってほしい”と考えています。
これからの未来の価値創造には、因果を読み解き、データから構造を見立てる思考が欠かせないからです。
ただ、これは“全員がデータサイエンティストと名乗るべきだ”という話ではありません。ドメインの専門家がDSの手法を手段として活用する場合、その方は普通にその領域のプロフェッショナルです。

個人的には、上記思想であれば、確かにこのスキルリストができあがるよなと納得。

スキルリストはとりあえず、★1つを眺めてみるのでよさそう

タスクリスト、スキルリスト共に回を重ねるごとに増えており、読み込むのはかなり労力を伴います。
AI活用のプロジェクトに参画が決まった方は、まずは★1つのもので見てみると良いかと思います。

キーワードは抑えておくと今後役に立ちそう

前回も書きましたが、まずは全体をざっと眺めて、「この言葉なんだろう」と思ったものをちょっと調べるだけでも結構勉強になりそうです。
今回の資料を使って、自分もMyキーワード集を作れたらなと思います。

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