Arduino CLIでRaspberry Pi Pico WをLチカとWi-Fiスキャン

はじめに

本日Raspberry Pi Pico Wが届いたのでさっそくArduino CLIで書き込みを試してみたメモ記事です。
同じ手順できっとLチカとWi-Fiスキャンができるはず…！

届いた！！やるぞー！#RaspberryPiPicoW pic.twitter.com/iGUVO16BM2

— 田中みそ (@miso_develop) March 30, 2023

環境

• OS: Windows10
• Arduino CLI: v0.31.0
• Device: Raspberry Pi Pico W

Arduino CLIのインストールからLチカまで

Arduino CLIのインストール

macOS / Linux

$ brew update
$ brew install arduino-cli

shスクリプトからのインストールであればWindows環境でもGit Bash等のCLIから実行できます。

shスクリプトからインストール

curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/arduino/arduino-cli/master/install.sh | sh

私はWindows環境なのですがScoopからインストールしました。

Scoop（Windows）

$ scoop update
$ scoop search arduino-cli
$ scoop install arduino-cli

もちろん各OS向けの実行ファイルも直接ダウンロードできます。

Arduino CLI設定ファイルの初期化

以下のコマンドでarduino-cli.yamlという設定ファイルが生成されます。

生成パスはデフォルトではmacOS / Linuxだと~/.arduino15/arduino-cli.yaml、
Windowsだと%USERPROFILE%\AppData\Local\Arduino15\arduino-cli.yamlです。

arduino-cli config init

Raspberry Pi Pico用ボードマネージャーの追加

まずはどのボードマネージャーを使えばいいか調査します。
以下の記事にてhttps://github.com/earlephilhower/arduino-pico/releases/download/global/package_rp2040_index.jsonという情報があったのでこれを設定します。

使用する情報	設定値
ボードマネージャURL	https://github.com/earlephilhower/arduino-pico/releases/download/global/package_rp2040_index.json
ボードマネージャ名	Raspberry Pi Pico/RP2040

arduino-cli config add board_manager.additional_urls https://github.com/earlephilhower/arduino-pico/releases/download/global/package_rp2040_index.json

Raspberry Pi Pico W用ボードパッケージのインストール

続いてRaspberry Pi Pico W用ボードパッケージをインストールします。
まずは以下のコマンドを実行し「rp2040」に該当するRaspberry Pi Pico W用ボードパッケージが見つかることを確認します。
※「RP2040」はRaspberry Pi Pico Wに搭載されるチップの名称です

$ arduino-cli core update-index
$ arduino-cli core search rp2040

ID                  Version Name
arduino:mbed_nano   4.0.2   Arduino Mbed OS Nano Boards
arduino:mbed_rp2040 4.0.2   Arduino Mbed OS RP2040 Boards
rp2040:rp2040       3.1.0   Raspberry Pi Pico/RP2040
arduino:mbed        3.3.0   [DEPRECATED] [DEPRECATED - Please install standalone packages] Arduino Mbed OS Boards

いくつか見つかりましたが、先ほどの記事に記載のあった「Raspberry Pi Pico/RP2040」をインストールします。

インストールは以下のコマンドで行います。
installコマンドの最後のオプションは上記のsearchコマンドで出力されたIDの値になります。

インストール後にlistコマンドを実行して正常にインストールされていることを確認します。

$ arduino-cli core install rp2040:rp2040
$ arduino-cli core list

ID            インストール済 Latest Name
rp2040:rp2040 3.1.0   3.1.0  Raspberry Pi Pico/RP2040

Lチカスケッチの作成

まずスケッチファイルを作成します。
Arduino CLIではsketch newコマンドで作成できます。
以下のコマンドを実行しrpipicow-blinkというスケッチを作成します。

arduino-cli sketch new rpipicow-blink

続いてLチカのソースコードですが、別件で調べていたRP2040のPlatform.IOのリポジトリにいい感じのExampleがあったのでそれを使います。

使うソースコードは以下のものです。

以下のcurlコマンドで先ほど作成したスケッチのinoファイルを上書きします。

curl -fsSLk https://raw.githubusercontent.com/maxgerhardt/platform-raspberrypi/develop/examples/arduino-blink/src/main.cpp > rpipicow-blink/rpipicow-blink.ino

コンパイル

コンパイルにあたりArduino CLIではFQBNでボード情報を指定します。
まず以下のコマンドを実行しRaspberry Pi Pico WのFQBNを調べます。

$ arduino-cli board search rp2040

Board Name                          FQBN                                       Platform ID
0xCB Helios                         rp2040:rp2040:0xcb_helios                  rp2040:rp2040
Adafruit Feather RP2040             rp2040:rp2040:adafruit_feather             rp2040:rp2040
Adafruit Feather RP2040 DVI         rp2040:rp2040:adafruit_feather_dvi         rp2040:rp2040

...

Raspberry Pi Pico                   rp2040:rp2040:rpipico                      rp2040:rp2040
Raspberry Pi Pico W                 rp2040:rp2040:rpipicow                     rp2040:rp2040

...

結果がたくさん出ますがBoard NameがRaspberry Pi Pico WのレコードのFQBNであるrp2040:rp2040:rpipicowが正解です。

コンパイルコマンドはFQBNとスケッチ名を指定して実行します。

arduino-cli compile --fqbn rp2040:rp2040:rpipicow rpipicow-blink

アップロード

最後にデバイスへコンパイルしたスケッチをアップロードします。
Arduino IDEやPlatform.IOの場合もそうですが、アップロードには対象デバイスのポート情報が必要となります。
Raspberry Pi Pico Wのポート番号を調べてみましょう。

再び先ほどの記事を参照すると初回書き込み時は「BOOT SEL」ボタンを押しながらPCにUSB接続するとあります。
使用するRaspberry Pi Pico Wが初回書き込みであれば同様にPCへUSBで接続してみましょう。

PC接続後、以下のコマンドを実行しポート情報を調べます。
私のWindows環境では以下のような結果となりました。

$ arduino-cli board list

シリアルポート   Protocol タイプ         Board Name FQBN Core
UF2_Board uf2conv  UF2 Devices Unknown

シリアルポートにあるUF2_Boardがポート情報となります。
このポート情報とFQBN、スケッチ名を指定してアップロードコマンドを実行します。

arduino-cli upload --port <ポート> --fqbn rp2040:rp2040:rpipicow rpipicow-blink

以上でRaspberry Pi Pico WへLチカスケッチが書き込まれます。
Raspberry Pi Pico WのLEDが1秒おきに点滅していたら成功です。

とりあえずLチカ #RaspberryPiPicoW https://t.co/CLEOmOu0Yt pic.twitter.com/wAM9fJCy55

— 田中みそ (@miso_develop) March 30, 2023

Wi-Fiスキャンスケッチの書き込み

先ほどLチカのソースコードを使用したPlatform.IOリポジトリのExampleにWi-Fiスキャンのソースコードもあります。
Raspberry Pi Pico WはWi-Fi付きのデバイスなのでこれも試してみましょう。

スケッチ作成

先ほどと同様にスケッチを新規作成し、Exampleのソースコードで上書きます。
今回はrpipicow-wifi-scanというスケッチ名で作成します。

$ arduino-cli sketch new rpipicow-wifi-scan
$ curl -fsSLk https://raw.githubusercontent.com/maxgerhardt/platform-raspberrypi/develop/examples/arduino-wifi-scan/src/main.cpp > rpipicow-wifi-scan/rpipicow-wifi-scan.ino

ポート情報の再確認

Raspberry Pi Pico WとPCのUSB接続ですが、Lチカスケッチのアップロード時は初回書き込みのため「BOOT SEL」ボタンを押しながらPCにUSB接続しました。
しかし一度書き込み済みであれば以降は普通にPCにUSB接続すれば大丈夫です。

普通にPCにUSB接続した場合はポート情報が変わるため再度ポート情報を確認します。
私のWindows環境では以下のような結果となり、普通にPCにUSB接続した場合のポート情報はCOM15となりました。

$ arduino-cli board list

シリアルポート Protocol タイプ               Board Name FQBN Core
COM15   serial   Serial Port (USB) Unknown

コンパル & アップロード

続いてスケッチのコンパイルとアップロードを行います。
コンパイルコマンドに--uploadオプションを加えるとコンパイルとアップロードを同時に実行してくれます。
先ほど再確認したポート情報、FQBN、スケッチ名を同様にオプションに指定します。

arduino-cli compile --upload --port <ポート> --fqbn rp2040:rp2040:rpipicow rpipicow-wifi-scan

Wi-Fiスキャン結果の確認

Wi-Fiスキャンの結果はシリアルモニタから確認します。
Arduino CLIではmonitorコマンドでシリアルモニタを実行できます。
このときオプションにポート情報が必要になりますが、ここで指定するポート情報はRaspberry Pi Pico Wを普通にPCにUSB接続したときのポート情報を指定してください。
※「BOOT SEL」ボタンを押しながらPCにUSB接続したときのポート情報ではシリアルモニタを実行できません

arduino-cli monitor --port <ポート>

付近のWi-FiのAP情報が表示されれば成功です。

本記事は以上となります。
お疲れさまでした🎉

参考