この記事はTSKaigi Advent Calendar 2025 19日目の記事です。
TSKaigi運営の添田です!
今までのTSKaigiの運営経験を活かして、ゼロから社外向け勉強会を立ち上げた半年間のリアルな話を共有します。
「うちでも勉強会やりたい!」半年後、運営メンバ含めた40名超の社外向けイベントが爆誕した話
早速ですが、11月に自社でconnpass募集による勉強会を初開催しました!
ここに至るまでには、社内の部長さんたちにプレゼンして緊張しまくったり、
開発業務ではなく毎日資料作りを作ったり、
「4ヶ月で開催できるっしょ!」という甘い見積もりを覆されたり、色々ありました...
この記事では、TSKaigi運営で学んだノウハウをどう活かしたのか、
そして初めて社外向け勉強会を立ち上げる時に直面したリアルな課題と解決策を、時系列で振り返っていきます!
TSKaigiで学んだ「イベント運営の本質」
TSKaigi運営を通じて、私が学んだのは単なるタスクリストじゃありませんでした。
- 開催までの逆算スケジュール設計
- チームでの役割分担と定期ミーティングの重要性
- 参加者全員が安心できる行動規範の整備
- 予算の組み方
- 関係者への細やかなケアと信頼関係の構築
当日の成功は、見えない場所での膨大な準備によって支えられているんだと実感しました。
この経験を、今度は自分がゼロから立ち上げる側として活かせるんじゃないか?
そう思ったのが、全ての始まりでした。
【5月】すべては「突然の思いつき」から始まった
2025年5月。TSKaigi2025の開催直近、そんな時期でした。
弊社ではちょうどオフィスの引越しがあり、新しいスペースができたんです。
そこでふと思ったんですよね。
「あれ、これ...勉強会開催できる環境になってない?!うちの会社もやればいいのに...」
「じゃあやるか」
TSKaigiで学んだこと、経験したこと、感じたこと。
それを自分の会社でも形にしたい!
自分の会社メンバーでもやってみたい。
翌日、即行動。
部長と自分の上長(MGR)に相談したところ、
「いいね、やってみなよ!」と即GOサイン!
正直、もっと慎重に検討されると思っていたので、この反応は嬉しかったです。
こうして、私の勉強会立ち上げプロジェクトが始まりました。
【5~6月】社内調整という名の「根回しマラソン」
ステップ1: 開発部の各チームMGRへ共有
まずは味方を増やすところから。
私の所属するシステム開発部の各チームMGRに、勉強会開催の意図と目的を説明しました。
正直、反対されるかも覚悟してたんですが...
全チームのMGRが快く賛同してくれました! 😭
「おぉ、やりたかったやつ!」
「面白い取り組みだね、応援するよ」
「何か手伝えることあったら言って」
本来はMGR陣にはお見守り役として参加してもらう予定でしたが、結果的に準備期間中もめちゃくちゃ助けてもらうことに...。
本当に感謝しかないです。
ステップ2: 他部署連携という「次の壁」
社名を出してイベントを開催する以上、他部署との連携は必須でした。
- 総務部: 社内スペース利用の許可、勤怠関係、当日のサポート
- 広報部: 社外広報の確認、発信のサポート
- 情シス: 個人情報系のルール、ネットワーク環境、配信設備の整備
それぞれの部署に企画を説明し、承認をもらうプロセスは想像以上に時間がかかりました。
でも、どの部署も「いいじゃん!」と前向きに応援してくれて、やっぱりうちの会社っていいなと思いました。
ステップ3: 「3ヶ月あれば開催できるっしょ!」という幻想の崩壊w
次に開催スケジュールを逆算して立てました。
私「今(5月後半)から準備すれば....んー9月くらいに開催でいけるっしょ!w」
そう思ってMGR陣に相談したところ、
「いや、初開催なのにいきなり本番は危険じゃない?」
「リハ的に社内勉強会とか、小さめのイベントでノウハウつけた方がよくない?」
...確かに!!!
いつも猪突猛進な私ですが、この指摘にハッとさせられました笑
ということで、スケジュールを見直し!
- 7月: 他部署を巻き込んだ社内勉強会
- 9月: 招待限定の勉強会
- 11月: 本番(社外向け勉強会)
という3段階のステップを踏むことにしました。
社外の方をお呼びするには周知期間も必要なので、だいたい2ヶ月ごとに1回のペースで開催していくイメージです。
よし!
予定より大幅に遅れましたが、これが後々めちゃくちゃ活きることになります。
ステップ4: 人生初の「予算プレゼン」
予算の打診も私にとってハードルでした。
- 会場費(外部会場の場合)
- 軽食・飲み物代
- ノベルティや雑費
これらを全部洗い出して、資料にまとめて部長にプレゼン。
予算のプレゼンなんて人生初で緊張しました...!
不安で声が少し震えてたかもしれません笑
この場でも
- 勉強会開催の意図
- 期待される効果
- 開催目的
を丁寧に説明することで、改めて部長からの理解と協力を得ることができました!
また、TSKaigiで学んだ「なぜこの予算が必要なのか」を論理的に説明する力がここで役立ちました。
「参加者に快適に過ごしてもらうため」
「軽食があることで懇親会の質が上がる」
「行動規範を明示することで安全な環境を作る」
一つ一つ、理由を添えて説明しました。
結果、無事に承認をもらえて一安心!
【6月】運営メンバ募集「13名も集まってくれた感動」
部会での周知、そして...
予算も通った。スケジュールも決まった。
次は運営メンバの募集です。
弊社では「部会」という週一のミーティングがあり、そこで勉強会開催の趣旨と運営メンバ募集を周知。
内心「3〜5人でも手を挙げてくれたらいいな...」くらいに思ってたんですが、
結果的に13名のメンバが集まってくれました!!!
めちゃくちゃ嬉しかったことを覚えています。
「面白そう!」
「やってみたい!」
それぞれの動機で手を挙げてくれたメンバたち。この時点で「絶対成功させる」って決意が固まりました。
(ちなみに後に当日運営メンバ含め3名が追加で参加してくれることに...!そうして最終的には16名に!)
運営のチーム分けは「TSKaigi方式」で
運営メンバが集まったので、次にチーム分けを行いました。
TSKaigiで学んだ「役割を明確にして、責任範囲をはっきりさせる」という方法を踏襲。
準備段階で必要なタスクを洗い出し、以下の5チームに分けました。
チーム1: コア
全体の進捗管理、各チームのサポート、当日の総合調整を担当。
※エグゼクティブスポンサー、PM、PL
エグゼクティブスポンサーには部長、PMには上長のMGRを指名、PLには私が自然にアサインしました。
チーム2: 行動規範(Code of Conduct)の作成
参加者全員が安心して参加できる環境を作るため、行動規範は必須。
チーム3: 社内連携(総務部、広報部、情シス etc)
他部署との調整、承認フロー、広報サポートなどを担当。
チーム4: connpass
イベントページの作成。
チーム5: 軽食・飲み物などの調査、手配、発注、管理
参加者に喜んでもらえる軽食や飲み物の選定から、当日の配布まで。
特に行動規範の作成チームは本当に大変な思いをさせてしまいました...。
単に他のイベントのCoCをコピペするんじゃなくて、「弊社の文化や価値観に合った行動規範を作りたい」という想いで、何度も議論を重ねてくれました。
完成した行動規範は、参加者からも「安心して参加できる」と好評で、チームの努力が報われた瞬間でした。
またチームごとのタスクはgithubの「Projects」で各チームごとに管理しました。
使ってくれてるメンバも居ましたが、なかなか浸透せず、もうちょっと工夫が必要だったかなぁと反省しています。
当日のチーム分けも!
準備チームとは別に、当日運営用のチームも編成!
ここでもTSKaigiで学んだ「役割の明確化」というのを徹底しました。
チーム1: 会場リーダー ※他チーム兼任
当日の会場全体の取りまとめ役。
社内勉強会で会場レイアウトの難しさを痛感したので、その時に全体をめっちゃよく見てくれてたメンバを指名!
(そう、私が勝手に爆誕させた役割...担当者には感謝しています!)
チーム2: 司会・進行
イベント全体の進行を担当。
参加者が迷わないように、終始案内してくれました。
チーム3: タイムキーパー
名の通り、登壇者の時間管理を担当。
iPadで時間を表示してくれたり、的確なタイミングでベルを鳴らすように設定。
チーム4: 受付
参加者のチェックイン対応を担当。第一印象を決める大事な役割!
チーム5: 飲食
軽食・飲み物の管理と配布を担当。
補充のタイミングとか、細かい気配りがめちゃありがたかった!
チーム6: 登壇サポート
登壇者のケア全般を担当。マイクチェックや接続チェックを担当。
チーム7: なんでも係
他チームのサポート全般を担当。
困ったことがあったらすぐ動いてくれる、縁の下の力持ち的存在!
このチームもキーだった!
チーム8: BGM
社内勉強会で「無音ってなんか気まずい...」って課題が出たので、招待限定勉強会から爆誕!
懇親会の雰囲気作りに貢献!
チーム9: トラブル対応
想定外のトラブルに即対応する役割。
ここはコアチームが担当して、何かあってもすぐ動けるようにスタンバイしてました。
TSKaigiのチーム分けについては、以下の記事でも詳しく紹介しています。
https://tskaigi.hatenablog.com/entry/2024/04/18/112510
定期ミーティングは「隔週で密に連携」
TSKaigiと同様、定期ミーティングを開催しました。
弊社では隔週で開催し、各チームの進捗共有と課題の洗い出しを実施。
初開催なので課題が山積み...
「行動規範、これで大丈夫かな...?」
「connpassのイベントページ、どんな文章がいい?」
「軽食何にする?」
「お酒どうする?」
「社内利用ルールどうなる?」
ミーティング時間が足りないこともありましたが、メンバ全員で協力して乗り越えました。
この「定期的に顔を合わせて進捗確認する」というプロセスは、TSKaigiで学んだ財産だったと思います。
各回の勉強会テーマ
初回ということもあり、あえて特定の技術には絞らず、広めのテーマで開催することにしました。
テーマは運営メンバ全員で相談しながら決めました!
今後は、自分の専門であるフロントエンド領域のテーマでも開催できたらいいなと思っています。
開催前の最終確認は「リアルシミュレーション」で
社内勉強会、招待限定の勉強会では弊社オフィスで開催。
開催の数日前には、実際に会場準備をしてタイムを測ったり、レイアウト調整をしてみました。
「受付からチェックインまで何分かかる?」
「椅子の配置、これで見やすい?」
「プロジェクターの映り、問題ない?」
当日の流れを実際にシミュレーションすることで、不安が大幅に減りました。
「準備は裏切らない」って、本当にそうだなと実感した瞬間でした。
【7月】第1回: 社内勉強会で見えた「リアルな課題」
「社内勉強会は気軽にできるっしょ?」→ また甘かったw
7月24日、いよいよ社内勉強会。
「社内だし気軽に開催できるかな?」またしても楽観的な私!笑
意外と準備に時間がかかりました...。
社内で開催に向けて周知を行い、いつも関わりのある部署の部長、MGRに声を掛けて参加者を募りました。
結果的に運営メンバを含めた20名以上の参加者が集まり、社内での関心の高さを感じました!
初回で見えた課題
- 資料見づらい
- 懇親会交流しづらい
- 軽食の配置がわかりにくい
- Wi-Fi接続が不明
- 会場内が暑い
などなど、細かい課題が山ほど出てきました。
正直、「うわー、こんなにあるのかー」って少し落ち込みました。
でも、これが本番前に分かったのは本当にラッキーでした。
もし7月にいきなり本番をやっていたら、この課題に気づかないまま開催していたことになります。
KPTTで振り返りを行い、次回への改善点をリストアップ。
【9月】第2回: 招待限定勉強会で「社外の風」を感じた
社外の仲間を招待
9月17日、社内勉強会での反省点を活かし、招待限定の勉強会を開催。
今回は社外からも数名お招きし、登壇も参加もしていただきました。
- TSKaigiでいつもお世話になっている仲間
- 前職の同僚
- 過去一緒のプロジェクトで働いていた方々
などなど、信頼できる人たちに声を掛けて参加してもらいました。
初めての社外参加者対応。
でも、7月の反省を活かして準備万端にしたので、自信はありました。
30名超えの大盛況!
結果、運営メンバ含めた30名以上の参加者が集まり、無事に開催することができました!
ここで初めて社外からの登壇者の発表も聞けたり、交流もでき、弊社運営メンバにとってもとても有意義な時間となりました。
「社外の人と話すの、めっちゃ刺激になる!」
「こういうイベント、定期的にやりたいね!」
メンバからそんな声が聞こえてきて、「やってよかった」と心から思いました。
他のカンファレンスも近く、皆さんお忙しい中参加していただき、本当に感謝しています。ありがとうございました!
【10月】本番会場探しという「新たな壁」
オフィスでは収容人数が...
9月の招待限定勉強会が好評だったこともあり、11月の本番はもっと多くの人に来てもらいたい。
でも、弊社オフィスには収容人数の課題、そして設備面での制約がありました。
「社外での開催場所を探そう」
ということで、メンバに調査をしてもらい、いくつか候補をピックアップ。
実際に足を運んで確認
実際に見学に行き、以下をチェック。
- 会場の雰囲気
- 設備(プロジェクター、マイク、Wi-Fi環境)
- アクセス
- 費用
いくつか見学して回り、最終的に私たちが探している会場を見つけることができました!
【11月】ついに本番!大成功の裏にあった「準備の積み重ね」
そして迎えた11月の立ち上げ勉強会!
ゲストスピーカーには、私が大尊敬するエンジニア、うひょさんをお招きしました。
実は7月にはお声がけさせていただいており、長い期間お待たせしてしまったかもしれません...。
でも快く引き受けていただき、本当に感謝しています。
当日の様子
- 雰囲気が良かった
- 軽食も好評
- 登壇内容も素晴らしく、参加者から大好評
- 満員御礼(開催の数時間前まで)
今までの反省を活かし、より良い勉強会になったと実感しました。
アンケートでも「また参加したい!」という声を多数いただき、メンバ全員で喜びを分かち合いました。
(ただ、ここも会場が狭かった...という反省点もあり、次回開催に向けた改善点としてリストアップ!)
振り返りは「KPTT」で徹底的に
各回の振り返りでは、KPTT(Keep, Problem, Try, Thanks)を使いました。
特に招待限定の勉強会、11月の立ち上げ勉強会での振り返りでは、次回開催に向けた課題がたくさん出てきました。
- 「会場レイアウトよくなかった」
- 「空調調整が難しい」
- 「閉会後のビル出口の案内がなかった」
などなど
これらをもとに、次回開催に向けた準備をすでに進めています!
裏方で動いていた「見えない仕事」
ここまで読んでくださった方、ありがとうございます!
運営チームとは別に、私個人で動いていたこともたくさんありました。
- 参加者への案内メールの作成・やり取り
- 登壇者とのやり取り(スケジュール調整、資料確認など)
- 当日の運営代表としての挨拶、資料作り
- 各部署への報告資料作成
こういう「見えない仕事」って、実は時間がかかるんですよね...。
特にメール文章。
「この表現、失礼じゃないかな?」
「もっと丁寧に書いた方がいいかな?」
「でも長すぎると読みづらいかも...」
文章のテイストとか気になってしまって、気づいたら深夜までどんなメールを送ろうか書いてたこともしばしば笑
でも、TSKaigiで学んだ「細部まで気を配ることの大切さ」を実践できたと自負しています!
TSKaigiで学んだことが活きた半年間
こうして振り返ってみると、TSKaigi運営で学んだことが、本当に役立ちました。
- 逆算スケジュール設計
- チーム分けと役割分担
- 定期ミーティングの重要性
- 行動規範の整備
- 参加者へのケア
- 当日のオペレーション設計
どれ一つ欠けても、今回の成功はなかったと思います。
改めて、TSKaigi運営に携わらせていただき、本当に良かったなと思います。
これからの展開「継続が一番難しい」
初開催は成功しました!
でも、本当に難しいのは「継続すること」だと思っています。
TSKaigiのような継続的なイベントにしていきたい!
実は次回開催に向けて、すでに準備を進めています。
- 定期開催のスケジュール設計
- 新しい運営メンバの募集
- より多くの人に届けるための広報戦略
- オンライン配信の整備
次の開催が楽しみ!
そう言ってもらえるイベントにしていきたいです。
まとめ
ここまで、TSKaigi運営で学んだことを弊社の勉強会立ち上げ・運営に活かした半年間の軌跡を振り返ってきました。
初開催で不安も多かったですが、
- 社内外の方々の温かいサポート
- 運営メンバの献身的な頑張り
- 他部署の全面的な協力
これら全てが奇跡的に揃って、無事に成功させることができました!
「TSKaigiの運営、気になるけど大変そう...」
「勉強会、立ち上げてみたいけどハードル高そう...」
そう思ってる人がいたら、この記事が少しでも背中を押せたら嬉しいです!
確かに大変。でも、それ以上に得られるものが本当に大きかったんです。
- チームで何かを作り上げる、言葉にできない達成感
- 社外のエンジニアとの、かけがえのない繋がり
- 自分自身の、予想を超える成長
そして、TSKaigiは人が人を育て、繋がりが次の繋がりを生む場所だったんだと改めて実感しました。
技術的な学びはもちろん素晴らしい。
でも、私がTSKaigiから得た以下の学びこそが、何よりも大きな財産だと感じています。
- イベントを作る楽しさ
- チームで何かを成し遂げる達成感
- 参加者の笑顔を見られる喜び
- 運営メンバ同士で育まれた絆
TSKaigi2026でも運営に携わりながら、さらに学びを深めていきたいと思います!
TSKaigiのMISSIONは「学び、繋がり、"型"を破ろう」。
このMISSIONを胸に、これからも挑戦を続けていきます!
最後となりますが!
みなさま良いお年を!そして2026年もよろしくお願いします!
宣伝
TSKaigi2026もやります!!
開催日:2026/05/22-23
場所:ベルサール羽田空港
是非お越しください!