はじめに
こんばんは、mirukyです。
前回に引き続き、今回もAmazon Connectを取り扱います。
前回は基礎情報の紹介でしたが、今回は実際にAWSマネジメントコンソールからAmazon Connectインスタンスを作成し、電話番号を取得して、簡単な着信フロー(IVR)を構築するところまでを実演します。
電話をかけると音声ガイダンスが流れ、プッシュボタンの入力に応じて処理が分岐する、というコンタクトセンターの基本形を体験できます。
目次
- Amazon Connectインスタンスの作成
- 電話番号の取得
- コンタクトフロー(着信IVR)の作成
- 電話番号にフローを割り当てる
- 動作確認
- おわりに
1. Amazon Connectインスタンスの作成
1-1. インスタンス作成画面を開く
AWSマネジメントコンソールで Amazon Connect を検索し、サービス画面を開きます。
「インスタンスを追加する」をクリックします。
1-2. ID管理の設定
| 設定項目 | 値 |
|---|---|
| ID管理 | Amazon Connect にユーザーを保存 |
| アクセスURL | 任意のURL(例:miruky-connect-demo) |
アクセスURL は Amazon Connectの管理画面にログインする際のURLの一部になります。グローバルに一意である必要があるため、会社名やプロジェクト名を含めると良いでしょう。
1-3. 管理者の追加
| 設定項目 | 値 |
|---|---|
| 管理者の追加 | 管理者を指定する |
| ユーザー名 | 任意(例:admin) |
| パスワード | 任意の強力なパスワード |
| 名 | 任意(必須項目) |
| 姓 | 任意(必須項目) |
| Eメール | ご自身のメールアドレス(必須項目) |
ここで設定するユーザー名・パスワードは Amazon Connect の管理画面 にログインする際に使用します。AWSマネジメントコンソールのログイン情報とは別物ですのでご注意ください。
1-4. テレフォニーの設定
下記の通り、チェックマークをつけます。
| 設定項目 | 値 |
|---|---|
| 着信通話 | 有効 |
| 発信通話 | 有効 |
1-5. データストレージの設定
データストレージはデフォルトのままで問題ありません。
通話録音や各種レポートは、自動生成されるS3バケットに保存されます。
1-6. 確認と作成
設定内容を確認し、「インスタンスを作成」をクリックします。
作成には1〜2分程度かかります。
「◯◯インスタンスが作成されました」というメッセージが表示されます。
「今すぐ始める」をクリックすると、Amazon Connectインスタンスの画面に移ります。

最初に表示されるこの画面は、後々米国の電話番号を取得する際に用います。
ちなみに、右上のIAM@◯◯が表示されている部分をクリックすると、言語を日本語にすることができます。
2. 電話番号の取得
コンタクトセンターとして機能するには、着信を受ける電話番号が必要です。
Amazon Connect の管理画面から電話番号を取得します。
2-1. 日本の電話番号について
日本の電話番号(03, 050, 0120, 0800)の取得には本人確認書類の提出が必要です。審査に1〜2週間程度かかる場合があります。
今回はハンズオン目的のため、即時取得可能な米国のDID番号(Direct Inward Dialing) を使用して進めます。日本の電話番号の取得手順については、別記事で詳しく解説する予定です。
日本で取得可能な電話番号は以下の通りです。
| 番号種別 | 例 | 取得要件 |
|---|---|---|
| 03番号(東京) | 03-XXXX-XXXX | 東京都に事業所があることの証明が必要 |
| 050番号(IP電話) | 050-XXXX-XXXX | 法人登記書類+代理人身分証明書 |
| 0120 / 0800(フリーダイヤル) | 0120-XXX-XXX | 法人登記書類+代理人身分証明書 |
2-2. 電話番号の取得手順
- Amazon Connect の管理画面にログインします
- 左メニューから 「チャネル」→「電話番号」 をクリック
- 「電話番号の取得」 をクリック
- 以下の通り選択します
| 設定項目 | 値 |
|---|---|
| 国/地域 | United States +1(ハンズオン用) |
| タイプ | DID(直通ダイヤルイン) |
| 電話番号 | 表示された候補から任意の番号を選択 |
DID(Direct Inward Dialing)とは
外線から直接着信できる電話番号のことです。フリーダイヤルとは異なり、発信者側に通話料金が発生します。ハンズオン目的であれば、このDID番号で十分です。
- 番号を選択し、「保存」 をクリックして確定します
電話番号リストに、取得した電話番号が加わっていれば成功です。
こちらの電話番号には、後ほどコンタクトフローを割り当てます。
3. コンタクトフロー(着信IVR)の作成
ここからが Amazon Connect の醍醐味です。
着信時の自動音声応答(IVR)を、GUIのドラッグ&ドロップで作成します。
3-1. 今回作成するフローの概要

顧客からの電話を受け付け、キューに振り分けるシンプルな構成となっています。
3-2. フロー作成画面を開く
- Amazon Connect 管理画面の左メニューから 「ルーティング」→「フロー」 をクリック
- 「フローを作成」 をクリック
3.フロー名を入力します
| 設定項目 | 値 |
|---|---|
| フロー名 | InboundIVR-Demo |
3-3. 音声の設定
まず、フロー内で使用する音声(テキスト読み上げ)の言語を設定します。
- 左のブロックパレットから 「設定」→「音声の設定」 ブロックをキャンバスにドラッグ
- ブロックをクリックして設定を開く
| 設定項目 | 値 |
|---|---|
| 言語 | 日本語 |
| 音声 | Takumi(男性)または Kazuha(女性) |
3.「エントリポイント」ブロックの 「開始」 から 「音声の設定」 ブロックへ線をつなげます
Amazon Polly が音声合成を担当しています。テキストを入力するだけで自然な日本語の音声ガイダンスを生成できます。SSML(音声合成マークアップ言語)を使えば、読み上げ速度や間の取り方も細かく調整可能です。
3-4. ウェルカムメッセージの再生
- 「インタラクション」→「プロンプトの再生」 ブロックをキャンバスにドラッグ
- 以下の通り設定します
| 設定項目 | 値 |
|---|---|
| テキスト読み上げまたはチャットテキスト | テキスト読み上げ |
| テキストの入力 | お電話ありがとうございます。製品についてのお問い合わせは1を、その他のお問い合わせは2を押してください。 |
| 解釈する | テキスト |
3.「音声の設定」ブロックから「プロンプトの再生」ブロックへ線をつなげます。エラー側も繋いでください。
3-5. 顧客入力の取得
プッシュボタン(DTMF)の入力を受け付けるブロックを追加します。
- 「インタラクション」→「顧客の入力を取得する」 ブロックをキャンバスにドラッグ
- 以下の通り設定します
- オプションの設定は、「条件を追加」から行ってください
| 設定項目 | 値 |
|---|---|
| テキスト読み上げまたはチャットテキスト | テキスト読み上げ |
| テキストの入力 | ご希望の番号を押してください。 |
| 解釈する | テキスト |
| オプション1 | 1 |
| オプション2 | 2 |
4.「プロンプトの再生」ブロックから「顧客の入力を取得する」ブロックへ線をつなげます
3-6. 分岐後の処理(各プロンプト再生)
「1」を押した場合のプロンプト
- 「インタラクション」→「プロンプトの再生」 ブロックを追加
- テキスト:
製品担当におつなぎします。しばらくお待ちください。 - 「顧客の入力を取得する」ブロックの 「押されました → 1」 から線をつなげます
「2」を押した場合のプロンプト
- 「インタラクション」→「プロンプトの再生」 ブロックをもう1つ追加
- テキスト:
総合窓口におつなぎします。しばらくお待ちください。 - 「顧客の入力を取得する」ブロックの 「押されました → 2」 から線をつなげます
タイムアウト・エラー時のプロンプト
- 「インタラクション」→「プロンプトの再生」 ブロックをもう1つ追加
- テキスト:
入力が確認できませんでした。お手数ですがおかけ直しください。 - 「顧客の入力を取得する」ブロックの 「タイムアウト」 と 「エラー」 から線をつなげます
3-7. キューへの転送と切断
「1」「2」を押した場合 → キューへ転送
- 各プロンプト再生ブロックの後に 「設定」→「作業キューの設定」 ブロックを追加
| 設定項目 | 値 |
|---|---|
| キュー | BasicQueue(デフォルトで存在) |
2を押した場合のキュー設定:
| 設定項目 | 値 |
|---|---|
| キュー | BasicQueue(同じキューでOK。本番では別キューに分ける) |
2.各「作業キューの設定」ブロックの後に ブロックライブラリの 「終了」→「キューへ転送」 ブロックを追加し、線をつなげます
3.「キューへ転送」ブロックは「フル稼働」、「エラー」を別ブロックに繋げないといけないので、作業キューの設定の前のプロンプトの再生につなげておきます。
タイムアウト・エラーの場合 → 切断
3-8. フローの保存と公開
- 画面右上の 「保存」 をクリック
- 続けて 「公開」 をクリック
「保存」だけでは有効になりません。 必ず 「公開」 まで行ってください。公開していないフローは電話番号に割り当てても動作しません。
4. 電話番号にフローを割り当てる
作成したコンタクトフローを、取得した電話番号に紐づけます。
- 左メニューから 「チャネル」→「電話番号」 をクリック
- セクション2で取得した電話番号をクリック
- 以下を設定します
| 設定項目 | 値 |
|---|---|
| コンタクトフロー/IVR | InboundIVR-Demo(セクション3で作成したフロー) |
4.「保存」 をクリック
5. 動作確認
5-1. テスト方法
取得した電話番号にスマートフォンから電話をかけます。
米国番号に発信する場合は国際通話料金がかかります。 ご利用のキャリアの国際通話料金をご確認ください。ハンズオン目的であれば、通話は数十秒で済むため、数十円〜数百円程度です。
5-2. 期待される動作
| 操作 | 期待される動作 |
|---|---|
| 電話をかける | 音声ガイダンスが流れる:「お電話ありがとうございます。製品についてのお問い合わせは1を、その他のお問い合わせは2を押してください。」 |
| 1を押す | 「製品担当におつなぎします。しばらくお待ちください。」→ キュー待機音が流れる |
| 2を押す | 「総合窓口におつなぎします。しばらくお待ちください。」→ キュー待機音が流れる |
| 何も押さない(タイムアウト) | 「入力が確認できませんでした。お手数ですがおかけ直しください。」→ 切断 |
5-3. 確認ポイントチェックリスト
| 確認項目 | 確認場所 |
|---|---|
| 音声ガイダンスが日本語で再生されたか | スマートフォンで確認 |
| 1を押したら正しいメッセージが流れたか | スマートフォンで確認 |
| 2を押したら正しいメッセージが流れたか | スマートフォンで確認 |
| タイムアウト時に切断されたか | スマートフォンで確認 |
| 通話履歴がメトリクスに記録されたか | Amazon Connect 管理画面 →「分析と最適化」→「問い合わせの検索」 |
6. おわりに
ここまでお読みいただきありがとうございます。
今回の内容は、いかがだったでしょうか。
Amazon Connect のインスタンス作成から、電話番号の取得、コンタクトフローの作成、動作確認までを一通り体験しました。
今回作成したもののまとめです。
| 作成したもの | 内容 |
|---|---|
| Amazon Connect インスタンス | コンタクトセンターの基盤 |
| 電話番号(米国DID) | 着信を受ける電話番号 |
| コンタクトフロー | プッシュボタン分岐付きの音声ガイダンス(IVR) |
GUIのドラッグ&ドロップだけで、プログラミングなしにコンタクトセンターの基本形を構築できることがお分かりいただけたかと思います。
次回は、より実践的にAmazon Connectを使ってみようと思います。
では、またお会いしましょう。

















