はじめに
こんばんは、mirukyです。
今回は、業務の中で「AWS End User Messaging SMS」というAWSサービスを触る機会があったので、その調査の中で得た知見を、複数記事に分けてご紹介できればと考えております。
目次
1.AWS End User Messaging SMSとは
2.送信料金
3.送信者ID、ショートコード、ロングコードについて
4.終わりに
AWS End User Messaging SMSとは
「AWS End User Messaging SMS」は2024年7月に生まれた比較的新しいAWSのメッセージングサービスです。
新サービスアナウンス時のAWSの発表文は下記になります。
本日、Amazon Pinpoint の SMS、MMS、プッシュ、およびテキストから音声へのメッセージング機能の新しい名称として AWS End User Messaging を発表しました。この変更は、お客様のアプリケーションおよび他の AWS サービスにわたるエンドユーザーの通信を管理しやすくするためのものです。AWS End User Messaging は、通信の安全性、セキュリティ、または結果を損なうことなく、スケーラブルで費用対効果の高いメッセージングインフラストラクチャを開発者に提供します。開発者はメッセージングを統合して、サインアップ時のワンタイムパスコード (OTP)、アカウントの更新、予約のリマインダー、配信通知、プロモーションなどのユースケースをサポートできます。
つまり、Amazon Pinpointが担っていたSMS / MMS / 音声メッセージングサービスなどが、独立したサービスとして切り離され、新サービスとして再編されたものが「AWS End User Messaging SMS」です。
ちなみに、大規模Eメール送信や、マーケティング分析などの機能が残っていたAmazon Pinpointは、2026 年 10 月 30 日を持ってサービスを終了する旨の発表がなされています
Amazon Pinpoint のサポート終了 - AWS
更に、2024年9月には同じくAWSのメッセージングサービスであるAmazon SNSのバックエンド部分がAWS End User Messaging SMS経由になることが発表されました
(Amazon SNS が、AWS End User Messaging 経由での SMS テキストメッセージの配信を開始 - AWS)。
すなわち、Amazon SNSでSMS送信機能を利用しているユーザーは、知らず知らずのうちに、内部的にはAWS End User Messaging SMSを利用していると言えます。
しかし、その知名度はかなり低いと言わざるを得ません。
実際に自分が業務で使用するにあたり、日本語記事での情報が非常に少ない印象を受けました。
なので、今回はその触りの部分を解説できればと思います。
送信料金
こちらの通り、日本国内の場合1通0.07451USDとなっています。
1通換算は、70文字までです。71文字からは、分割送信され、2通以上換算となってしまうことに留意が必要です。
ちなみに、トランザクションSMSは「注文確認や配送の更新に関するメッセージ」、プロモーションSMSの定義は下記のとおりです。
トランザクションSMS
[トランザクション]- 注文確認やアカウントアラートなど、顧客のトランザクションをサポートする重要な情報メッセージ。トランザクションメッセージにプロモーションコンテンツまたはマーケティングコンテンツを含めることはできません。
こちらの通り、注文等に関する重要なメッセージがこちらの部類です。
プロモーションSMS
[プロモーション] - 特価販売やお知らせなど、ビジネスやサービスを宣伝する非クリティカルなメッセージ。
販売促進など、非重要なメッセージはこちらの部類になります。
サンドボックス環境
もう1点重要な点として、AWS End User Messaging SMSは初期状態ではサンドボックス環境にあり、下記の制約があります。
アカウントがサンドボックスにある間は、 AWS エンドユーザーメッセージング SMS コンソールまたは SendTextMessages API ですべての SMS 送信方法を使用できます。MMS メッセージを送信するには、SendMediaMessage API を使用する必要があります。ただし、お客様のアカウントがサンドボックスにある間は、以下の制限があります。
・毎月の SMS 利用限度額は 1.00 USD です。
・毎月の MMS 利用限度額は 1.00 USD です。
・SMS および MMS メッセージは、検証済みの送信先電話番号にのみ送信できます。検証済みの番号は最大 10 個まで追加できます。
つまり、日本国内であればSMS送信テストを13通行うだけでサンドボックス環境の1USD制限にかかり、かつプログラムで取得した任意の電話番号には送信できません(AWSマネコン上で双方向認証していない限り)。
よって、サンドボックス内では殆どの場合の業務において、要件を満たすことはできないでしょう。
サンドボックス解除申請については、別の記事で取り扱います。
送信者ID、ショートコード、ロングコードについて
SMS送信では、受信者の端末に表示される 送信元の識別子 を設定する必要があります。AWS End User Messaging SMSでは、主に以下の4種類を利用できます。
送信者ID(Sender ID)
英数字で構成されるカスタム送信者名(最大11文字)で、SMSの差出人として受信者の端末に表示されます。
送信者 ID は、SMS メッセージの送信者を識別する英字名です。送信者 ID を使用して SMS メッセージを送信し、送信者 ID 認証がサポートされているエリアに受信者がいる場合は、電話番号ではなく、送信者 ID が受信者のデバイスに表示されます
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 形式 | 英数字(最大11文字) 例: MYCOMPANY
|
| 文字種 | A-Z(大文字)、0-9、ハイフン(先頭はアルファベット) |
| 双方向通信 | ✕(返信不可・電話番号ではないため) |
| 主な利用地域 | 日本、イギリス、インド、シンガポールなど多数 |
| 利用不可の国 | 米国、カナダなど(電話番号ベースのIDのみ対応) |
| 登録方法 | End User Messaging コンソールでセルフサービス申請 |
注意: 国によって事前登録(Registration)が必要な場合があります。日本では事前登録は不要ですが、オーストラリア・インドネシア・エジプトなどでは事前登録が求められます。また、2024年8月以降に作成した送信者IDをSNS経由で使う場合は、End User Messaging側でリソースベースのポリシー設定が必要です。設定しないと送信者名が「NOTICE」や「UNVERIFIED」と表示されることがあります。
出典: Amazon SNS での SMS 送信者 ID に関する問題のトラブルシューティング - AWS re:Post
ショートコード(Short Code)
5〜6桁の短い電話番号 で、大量配信や高スループットが必要な場合に使用します。キャリアとの審査・契約が必要なため、導入にはコストと時間がかかりますが、信頼性が高く大規模な配信に向いています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 形式 | 5〜6桁の数字 例: 12345
|
| 双方向通信 | ○(対応国の場合) |
| スループット | 非常に高い(毎秒数百〜数千通) |
| 主な利用地域 | 日本、米国、カナダ、イギリス、インドなど |
| 導入コスト | 高い(セットアップ費 + 月額維持費) |
| 審査期間 | 1〜3か月程度 |
| 申請方法 | AWSサポートケース経由で申請 |
ショートコードの利用にはAWSサポートへの申請が必要です。コンソールからのセルフサービス申請が可能な国と、サポートケースの起票が必要な国があります。
ロングコード(Long Code)
通常の電話番号形式(10〜15桁) を使った送信元番号です。スループットは低いものの、双方向通信が可能で導入コストが低い点が特徴です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 形式 | 一般的な電話番号 例: +1-415-XXX-XXXX
|
| 双方向通信 | ○(対応国の場合) |
| スループット | 低い(毎秒約1通) |
| 導入コスト | 低い |
| 主な利用地域 | オーストラリア、カナダ、イギリス、ドイツなど |
10DLC(Ten Digit Long Code)
米国向けのA2P SMS専用の10桁電話番号 です。ロングコードの一種ですが、事前にブランドとキャンペーンの登録が必要で、通常のロングコードより高いスループットが得られます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 形式 | 10桁の電話番号(米国のみ) |
| 双方向通信 | ○ |
| スループット | 中〜高(ブランドの信頼度スコアにより変動) |
| 登録 | ブランド登録 + キャンペーン登録が必須 |
| 対象国 | 米国のみ |
全体比較
| 種類 | 形式 | スループット | 双方向 | コスト | 審査・登録 |
|---|---|---|---|---|---|
| 送信者ID | 英数字(11文字) | 高 | ✕ | 低〜無料 | 国による |
| ショートコード | 5〜6桁 | 非常に高 | ○ | 高 | 必須(1〜3か月) |
| ロングコード | 電話番号 | 低 | ○ | 低 | 簡易 |
| 10DLC | 10桁(米国) | 中〜高 | ○ | 中 | 必須 |
日本でSMSを送信する場合
日本におけるAWS End User Messaging SMSの送信元サポート状況は以下のとおりです。
出典: AWS エンドユーザーメッセージング SMS を使用した SMS メッセージングでサポートされている国とリージョン
| 送信元種別 | 日本でのサポート | 備考 |
|---|---|---|
| 送信者ID | ○ | 事前登録不要。コンソールからセルフサービスで申請可能 |
| ショートコード | ○ | AWSサポートケース経由で専用番号を申請。審査あり。3ヶ月程度の時間がかかる。詳細は下記。 |
| ロングコード | ✕ | 日本では利用不可 |
| 10DLC | ✕ | 米国専用のため対象外 |
| 双方向SMS | ○ | ショートコード利用時に対応 |

出典:AWS エンドユーザーメッセージング料金 - AWS
日本でショートコードを利用するには、3ヶ月程度の審査期間がかかることに留意が必要です。
日本での選択肢まとめ
日本宛にAWS End User Messaging SMSで送信する場合、利用できる送信元は 「送信者ID」と「ショートコード」の2種類 です。
①送信者IDを使う場合
・ブランド名(例: MYSERVICE)を送信者として表示可能
・導入コストが低く、セルフサービスで即時登録可能
・ただし 返信を受け取ることができない(一方向送信のみ)
・通知・アラート・認証コードなどの送りっぱなしの用途に最適
②ショートコードを使う場合
・短い番号(5〜6桁)で送信。高スループット・大量配信が可能
・双方向SMS(受信・返信)に対応
・AWSサポートへの申請・キャリア審査が必要(審査に1〜3か月)
・セットアップ費用・月額維持費が発生するため、コストは高い
・ユーザーとの対話が必要なサービスや、大量送信が求められるケースに最適
ロングコードは日本では利用できないため、双方向SMSが必要な場合は必然的にショートコードを選択することになります。
※ サポート状況は変更される可能性があります。利用前に必ず公式の国別サポート表で最新情報を確認してください。
終わりに
以上、いかがだったでしょうか。
次回は、実際のAWSマネジメントコンソールを使用して、簡単にSMS送信をテストする方法をご紹介します。
では、またお会いしましょう。
参考リンク
AWS End User Messaging のご紹介 - AWS
Amazon Pinpoint のサポート終了 - AWS
Amazon SNS が、AWS End User Messaging 経由での SMS テキストメッセージの配信を開始 - AWS
AWS エンドユーザーメッセージング料金 - AWS
AWS エンドユーザーメッセージング SMS の SMS/MMS および音声サンドボックス

