はじめに
こんばんは、mirukyです。
Amazon Bedrock シリーズ第1回です。
これまでAmazon Connectシリーズの中で何度か登場してきたAmazon Bedrockですが、今回からはBedrock自体を主役にしたシリーズを始めようと思います。
生成AIを業務に導入したいけど、「どのモデルを使えばよいかわからない」という方は多いと思います。実際に、自分がそうでした。
Amazon Bedrockは、この悩みをまるっと解決してくれるAWSのフルマネージド生成AI基盤サービスです。
第1回となる今回は、Bedrockの概要・主要機能・利用できるモデル・料金体系・最新動向を一気に解説します。2026年3月時点の情報をもとにしており、料金やリージョン対応状況などは変更される可能性がありますので、必ず公式ドキュメントも併せてご確認ください。
目次
- Amazon Bedrockとは
- Bedrockで利用できるAIモデル
- Bedrockの主要機能
- 料金体系
- 東京リージョンでの利用状況
- 2026年の最新トピック
- おわりに
1. Amazon Bedrockとは
Amazon Bedrockは、AWSが提供するフルマネージドの生成AI基盤サービスです。
一言でいうと、「複数の最先端AIモデルを、単一のAPIで安全に使えるプラットフォーム」 です。
従来の生成AI導入の課題
生成AIを自社サービスに組み込もうとすると、通常は以下のような課題に直面します。
- GPUサーバーの調達・管理が必要
- AIモデルごとにAPIの仕様が異なる
- セキュリティ・データプライバシーの担保が難しい
- モデルの更新・切り替えに大きなコストがかかる
Bedrockが解決すること
Amazon Bedrockを使えば、これらの課題を以下のように解決できます。
| 課題 | Bedrockによる解決 |
|---|---|
| GPUサーバーの管理 | フルマネージドなのでインフラ管理不要 |
| APIの違い | 統一されたAPI(Converse API等) で複数モデルを利用可能 |
| セキュリティ | IAM連携・VPCエンドポイント・データ暗号化が標準装備 |
| モデル切り替え | modelIdを変えるだけで別モデルに切替可能 |
| データプライバシー | 入出力データはモデルの学習に一切使用されないことを保証 |
データプライバシーの保証
AWSは契約上、Bedrockに送信されたデータがモデルのトレーニングに使用されないことを保証しています。エンタープライズで生成AIを導入する際の最大の懸念であるデータ流出リスクを、サービス設計レベルで排除しています。
2. Bedrockで利用できるAIモデル
Bedrockの最大の特徴は、複数のAIプロバイダーのモデルを1つのサービスから選んで使えることです。
2026年3月時点で、Bedrock上では多数のモデルが利用可能です。主要なモデルを整理します。

主要モデル一覧
| プロバイダー | モデル名 | 対応タスク | 特徴 |
|---|---|---|---|
| Anthropic | Claude Sonnet 4.6 | テキスト生成・分析・コード | 100万トークンのコンテキストウィンドウ(ベータ)。コーディング・エージェント用途に強み |
| Anthropic | Claude 3.5 Sonnet | テキスト生成・画像理解 | バランス型。エンタープライズ用途で安定 |
| Anthropic | Claude 3 Haiku | テキスト生成 | 高速・低コスト。大量処理やFAQ向き |
| Amazon | Nova Pro | テキスト・画像・動画 | 高精度マルチモーダル。複雑な分析に最適 |
| Amazon | Nova Lite | テキスト・画像・動画 | コストパフォーマンスに優れたマルチモーダルモデル |
| Amazon | Nova Micro | テキスト | 低コスト・低レイテンシ |
| Amazon | Nova Canvas | 画像生成 | テキストから高品質画像を生成 |
| Amazon | Nova Reel | 動画生成 | テキスト/画像から動画を生成 |
| Meta | Llama 3 8B / 70B | テキスト生成 | OSSベース。ファインチューニング可能 |
| Mistral | Mistral Large | テキスト生成 | 高い推論能力。多言語対応 |
| Amazon | Titan Embeddings V2 | テキスト埋め込み | RAG用ベクトル検索に最適 |
| Amazon | Titan Image Generator | 画像生成 | 透かし付き画像生成 |
| OpenAI | GPT-OSS 等 | テキスト生成ほか | Responses API経由で利用可能 |
モデルの提供状況は変動します
利用可能なモデルやリージョン対応は頻繁に更新されます。必ず以下の公式ドキュメントで最新状況をご確認ください。
モデル選びの指針
Converse APIで統一的に利用
BedrockではConverse APIを使えば、どのモデルも同じリクエスト形式で呼び出せます。モデルを切り替えたい時はmodelIdを変えるだけです。Amazon Connectシリーズ#4で紹介したConverse APIの強みがここにあります。
import boto3
client = boto3.client("bedrock-runtime", region_name="ap-northeast-1")
response = client.converse(
modelId="anthropic.claude-sonnet-4-6-20260214-v1:0", # ← ここを変えるだけでモデル切替
messages=[
{
"role": "user",
"content": [{"text": "Amazon Bedrockの主な特徴を3つ教えてください。"}]
}
]
)
print(response["output"]["message"]["content"][0]["text"])
Converse API
従来はモデルごとにリクエスト形式が異なっていましたが、Converse APIによりどのプロバイダーのモデルでも同一のインターフェースで呼び出せます。modelIdを差し替えるだけでClaude → Nova → Llamaと切り替えられるため、モデルの比較検証やコスト最適化が容易になります。
3. Bedrockの主要機能

Bedrockは単なる「AIモデルのAPI」ではありません。生成AIを安全に、実用的に活用するためのエコシステムを丸ごと提供しています。
機能の全体像
以下、特に重要な機能を解説します。
3-1. Knowledge Bases(ナレッジベース)
RAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成) を実現する機能です。
S3に格納した社内文書・FAQ・マニュアルなどを自動でベクトル化し、ユーザーの質問に対して関連する情報を検索してからAIが回答を生成します。
これにより、AIが学習していない情報であっても、社内データに基づいた正確な回答が可能になります。
Amazon ConnectシリーズではBedrockナレッジベースを活用
Amazon Connect #3では、このKnowledge Basesを使って自然言語×RAGによるAIコンタクトセンターを構築しました。
3-2. Agents(エージェント)
AIが自律的にタスクを分解・実行する機能です。
例えば「○○のデータを取得して、集計して、レポートを作成して」のような複合的な依頼を、AIが自動で以下のように処理します。
- タスクを分解(データ取得 → 集計 → レポート作成)
- 必要に応じてLambdaやAPIを呼び出す
- 結果を統合してユーザーに返す
3-3. Guardrails(ガードレール)
生成AIの安全性を担保する仕組みです。入力・出力の両方に対して以下のようなフィルタリングが可能です。
| フィルター種別 | 内容 |
|---|---|
| コンテンツフィルター | 暴力・差別・性的表現などの有害コンテンツをブロック |
| 拒否トピック | 禁止したい話題(例:投資助言)を自然言語で指定 |
| 機密情報フィルター | 個人情報(PII)を自動検知してマスク・ブロック |
| コンテキストグラウンディング | ハルシネーション(事実と異なる回答)を抑制 |
| プロンプト攻撃対策 | Jailbreakやプロンプトインジェクションを検知 |
エンタープライズで生成AIを導入する際には欠かせない機能です。
3-4. Structured Outputs(構造化出力)
2026年2月にGA(一般提供開始)された機能です。
JSONスキーマを指定することで、モデルの出力を厳格にフォーマット制御できます。「AIの出力をそのままAPIレスポンスにしたい」「後続の処理に渡しやすい形式で出力してほしい」といった実務ニーズに直接応える機能です。
出典:Amazon Bedrock で構造化出力が使用可能に - AWS
3-5. AgentCore
AIエージェントを本番環境で安全・安定的に運用するための基盤です。
| コンポーネント | 役割 |
|---|---|
| AgentCore Runtime | サーバーレスでエージェントをホスティング |
| AgentCore Memory | エージェントに短期・長期記憶を付与 |
| AgentCore Gateway | API / Lambda連携のゲートウェイ |
| AgentCore Identity | エージェントのID・権限管理 |
| AgentCore Observability | ログ・監視・トレーシング |
AgentCoreはフレームワーク非依存(CrewAI、LangGraph、LlamaIndex、Strands等に対応)で、Bedrock以外のモデルとも組み合わせて利用可能です。
出典:Amazon Bedrock AgentCore - AWS
4. 料金体系
Bedrockの料金は完全従量課金制で、初期費用は一切かかりません。
3つの課金モデル
| 課金モデル | 特徴 | おすすめの用途 |
|---|---|---|
| オンデマンド | 使った分だけ支払い。入出力のトークン数で課金 | PoC・小規模利用・検証 |
| プロビジョンドスループット | 処理能力を事前予約。時間単位の固定料金で割引 | 本番環境・大量リクエスト |
| バッチ推論 | 大量データを一括処理。オンデマンドより割安 | 夜間の大量データ処理 |
主要モデルの料金目安
| モデル | 入力(100万トークンあたり) | 出力(100万トークンあたり) |
|---|---|---|
| Claude Sonnet 4.6 | $3.00 | $15.00 |
| Claude 3 Haiku | $0.25 | $1.25 |
| Nova Pro | $0.80 | $3.20 |
| Nova Lite | $0.06 | $0.24 |
| Nova Micro | $0.04 | $0.14 |
料金は変更される可能性があります
上記はAWS公式Pricingページおよび各プロバイダーの公式情報をもとにした執筆時点の参考値です。リージョンやモデルバージョンによって異なる場合があります。必ず以下の公式ページで最新料金をご確認ください。
また、日本語は英語に比べてトークン消費量が多くなる傾向があります(目安として日本語1文字 ≒ 1〜3トークン程度)。コスト見積もりの際は余裕を持たせることをおすすめします。
出典:
5. 東京リージョンでの利用状況
日本から利用する際に「東京リージョンで何が使えるのか」は気になるポイントです。
東京リージョン(ap-northeast-1)について
Amazon Bedrockは2023年10月から東京リージョンで利用可能になっています。ただし、利用可能なモデルはリージョンによって異なり、頻繁に更新されます。
2026年3月時点では、以下のような傾向が見られます。
- Anthropic Claude系やAmazon Nova/Titan系の一部モデルは東京リージョンで直接利用可能
- 最新モデルや一部プロバイダーのモデルは、東京リージョン単独では利用できず、クロスリージョン推論(後述)での利用となる場合がある
- Knowledge Bases、Agents、Guardrailsといった主要機能は東京リージョンで利用可能
必ず公式のリージョン対応表を確認してください
モデルごとのリージョン対応状況は頻繁に変わります。以下の方法で最新情報を確認することをおすすめします。
方法1:公式ドキュメント
Amazon Bedrock の AWS リージョンでのモデルサポート - AWS
方法2:AWS CLIで確認
aws bedrock list-foundation-models --region ap-northeast-1
このコマンドで、東京リージョンで利用可能なモデルの一覧を取得できます。(出力は非常に長くなります)
クロスリージョン推論とは
東京リージョンで直接利用できないモデルでも、クロスリージョン推論を使えば、リクエストが自動的に対応リージョン(バージニア北部、オレゴン等)にルーティングされて利用可能になります。
推論プロファイルの注意点
東京リージョンでクロスリージョン推論を利用する場合、一部のモデルでは推論プロファイルのプレフィックスが他のAPACリージョンと異なる場合があります(例:jp.anthropic. プレフィックス)。利用時はAWSコンソールまたはCLIでモデルIDを確認してください。
6. 2026年の最新トピック
最後に、2026年に入ってからの注目トピックをまとめます。以下はいずれもAWS・OpenAI・Anthropicの公式発表に基づいた情報です。
6-1. Amazon × OpenAI 戦略的提携(2026年2月27日発表)
AmazonとOpenAIが戦略的パートナーシップを締結しました。Amazonの公式プレスリリースおよびOpenAIの公式発表によると、主な内容は以下の通りです。
- Stateful Runtime Environment:OpenAIとAWSが共同開発した、AIエージェント向けのステートフルランタイム環境がAmazon Bedrockで提供される
- OpenAI Frontier:OpenAIのエンタープライズ向けAIエージェントプラットフォーム「Frontier」がAWSを通じて配信される
- 投資:AmazonがOpenAIに対し投資を行い、OpenAIはAWSのTrainiumチップを活用する
出典:
- OpenAI and Amazon Announce Strategic Partnership - Amazon Press
- OpenAI and Amazon announce strategic partnership - OpenAI
6-2. Claude Sonnet 4.6 リリース(2026年2月17日)
Anthropic社の公式発表によると、Claude Sonnet 4.6は以下の特徴を持つモデルとしてリリースされました。
- 100万トークンのコンテキストウィンドウ(ベータ)
- コーディング・コンピューター操作・エージェント用途での性能向上
- API利用料金は入力 $3 / 出力 $15(100万トークンあたり)で、Sonnet 4.5と同等
- Amazon Bedrockでも利用可能
出典:
- Introducing Claude Sonnet 4.6 - Anthropic
- Claude Sonnet 4.6 from Anthropic available in Amazon Bedrock - About Amazon
6-3. Structured Outputs GA(2026年2月)
JSONスキーマによる出力フォーマットの厳格制御機能が一般提供開始(GA)されました。Converse API、InvokeModel API等で利用可能です。
出典:Amazon Bedrock で構造化出力が使用可能に - AWS
6-4. AgentCore
AIエージェントの本番運用基盤「AgentCore」が提供されています。サーバーレスランタイム、メモリ機能、ゲートウェイ、ID管理、監視機能を統合的に提供します。
出典:Amazon Bedrock AgentCore - AWS
6-5. OpenAI Responses API対応
BedrockがOpenAIのResponses APIに対応し、OpenAI SDKからBedrockのモデルを呼び出せるようになりました。既存のOpenAI向けコードからの移行が容易になっています。
出典:Amazon Bedrock で OpenAI の Responses API をサポート - AWS
7. おわりに
ここまでお読みいただきありがとうございます。
今回は、AWSの生成AI基盤サービスAmazon Bedrockの概要を解説しました。
Amazon Bedrockは、「生成AIを安全に、手軽に、スケーラブルに使いたい」というニーズに対する、現時点で最も包括的な解答の一つです。AWSの豊富なサービス群(Lambda、DynamoDB、S3、Connect、Lexなど)との連携がネイティブに行えるのも、AWSユーザーにとっては大きなメリットといえます。
次回#2では、実際にAWSコンソールからBedrockを触り始めるハンズオンを行います。Anthropicモデルの利用申請からプレイグラウンドでの対話体験まで、手を動かしながら進めていきましょう。
ではまた、お会いしましょう。
参考リンク
Amazon Bedrock 公式ドキュメント(日本語)
- Amazon Bedrock(基盤モデルによる生成 AI アプリケーションの構築) - AWS
- Amazon Bedrock とは - AWS
- Amazon Bedrock の料金 - AWS
- Amazon Bedrock でサポートされている基盤モデル - AWS
- Amazon Bedrock の AWS リージョンでのモデルサポート - AWS
- Amazon Bedrock でのモデルの会話の実行(Converse API) - AWS
- Amazon Bedrock の使用を開始する - AWS
- データ保護 - Amazon Bedrock - AWS
- Amazon Bedrock AgentCore - AWS
2026年の公式発表
- Amazon Bedrock で OpenAI の Responses API をサポート - AWS
- Amazon Bedrock で構造化出力が使用可能に - AWS
- OpenAI and Amazon Announce Strategic Partnership - Amazon Press
- OpenAI and Amazon announce strategic partnership - OpenAI
- Introducing Claude Sonnet 4.6 - Anthropic
- Claude Sonnet 4.6 from Anthropic available in Amazon Bedrock - About Amazon
- Pricing - Claude API Docs









