はじめに

出典:Kiro のご紹介 – プロトタイプからプロダクションまで、あなたと共に働く新しい Agentic IDE - AWS Blog
こんばんは、mirukyです。
「ターミナルから離れたくない。でもAIエージェントは使いたい。」
2025年11月、AWSはその願いに応えるツールをリリースしました。Kiro CLIです。
Amazon Q Developer CLIの後継として登場したKiro CLIは、もはや単なるチャットボットではありません。カスタムエージェント、11種のAIモデル切り替え、Powers(プラグイン)エコシステム、そして自律型エージェント(プレビュー)まで——ターミナルをAI駆動の開発環境に変えるツールです。
本記事では、Kiro CLIの全貌を徹底解説します。セットアップから、カスタムエージェントの構築、クレジットを節約するモデル選択戦略、そしてClaude Code / GitHub Copilotとの比較まで、このツールを使い倒すために必要な情報をすべてまとめました。
本記事の情報は2026年3月19日時点のものです。Kiro CLIは非常にアクティブに開発されており(2026年だけでCLI v1.24〜v1.27と4回のアップデート)、最新情報はKiro CLIドキュメントおよびChangelogをご確認ください。
目次
- Kiro CLIとは
- セットアップ
- 基本操作
- カスタムエージェント
- ステアリング・MCP・Powers
- 11種のモデルとクレジット乗数
- 実験的機能
- Autonomous Agent(自律型エージェント)
- Claude Code / GitHub Copilot との比較
- 料金とクレジット戦略
- おわりに
1. Kiro CLIとは
1-1. Amazon Q Developer CLIからの系譜
Kiro CLIは、AWSのAIコーディングアシスタント Amazon Q Developer のCLI版を前身としています。
| 世代 | 名称 | リリース | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| 第1世代 | Amazon CodeWhisperer | 2023年 | インラインコード補完、セキュリティスキャン |
| 第2世代 | Amazon Q Developer | 2024年4月 | エージェントコーディング、チャット、MCP対応など |
| 第2世代(CLI) | Amazon Q Developer CLI | 2024年 | ターミナルでのAIアシスタント(q コマンド) |
| 第3世代(CLI) | Kiro CLI | 2025年11月 | カスタムエージェント、ステアリング、Autoエージェント |
Kiro CLIは Amazon Q Developer CLI v1.20.0 としてリリースされ、起動コマンドが q / q chat から kiro-cli に変更されました。ただし、q コマンドは自動的に kiro-cli にエイリアスされるため、既存のワークフローを壊さずに移行できます。
2026年に入ってからも更新が続いており、v1.26(2月)ではファイル参照・動的モデル選択、v1.27(3月)ではAI支援エージェント作成・粒度別ツール信頼が追加されています。
1-2. Kiro CLIの主要機能
Kiro CLIは、Amazon Q Developer CLIのすべての機能をベースに、以下が追加されています。
| 機能 | 説明 |
|---|---|
| ソーシャルログイン | Google / GitHubアカウントでの簡単認証(Builder ID / IAM Identity Centerも引き続き利用可能) |
| Autoエージェント | パフォーマンス・効率性・出力品質のバランスを自動調整するモード |
| カスタムエージェント | JSON設定ファイルで、ツール・権限・コンテキスト・プロンプトを定義。v1.27ではAI支援の自動生成に対応 |
| ステアリング | プロジェクト固有のルールでエージェントの動作を制御(.kiro/steering/) |
| Powers | Figma・Terraform・Stripe等のプラグインをワンクリックで追加 |
| 11種のAIモデル | Claude Opus 4.6 から Qwen3 Coder Next まで、用途に応じて切り替え |
| ファイル参照 |
@path 構文でファイル内容やディレクトリツリーをインライン展開(v1.26) |
| 粒度別ツール信頼 | シェルコマンドごとに信頼スコープを段階的に設定(v1.27) |
| スクリーンショット貼り付け |
/paste または Ctrl+V でクリップボードの画像をチャットに送信 |
| ファジー検索 |
Ctrl+S で全コマンドをファジー検索 |
1-3. Kiroエコシステムの全体像
Kiro CLIは、AWSが展開するAI開発ツール群の一つです。それぞれの位置づけを整理します。
Kiro IDE(専用IDE) は、VS Code互換のエディタにKiroのAIエージェントを統合した専用開発環境です。Spec駆動開発やプロパティベーステストなど、IDE固有の機能も搭載しています。
Kiro CLI(ターミナル) は、本記事で解説するターミナル向けAIエージェントです。Kiro IDEから離れてターミナルで作業するときにも、同じエージェント・同じ設定で開発支援を受けられます。
Amazon Q Developer IDE拡張機能 は、VS Code・JetBrains・Visual Studio・Eclipse向けのプラグインで、インラインコード補完やセキュリティスキャン、エージェントコーディングを提供します。Kiro CLIとは別の認証・課金体系ですが、併用可能です。
AWSマネジメントコンソール にもAmazon Qのチャットが組み込まれており、AWSリソースに関する質問やエラー診断が可能です。
これらのツールは独立して使うことも、組み合わせて使うことも可能です。.kiro/ ディレクトリの設定はIDEとCLIで共有されるため、統一された開発体験が得られます。
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Kiro CLIもAmazon Q Developer拡張機能も、それぞれFree枠があります。AWSアカウントがなくても、Builder IDやGoogleアカウントでサインアップすれば、すぐに使い始められます。
2. セットアップ
2-1. インストール
Kiro CLIは macOS と Linux に対応しています。
# 新規インストール
curl -fsSL https://cli.kiro.dev/install | bash
Kiro CLIは現時点でWindowsに非対応です
Amazon Q Developer CLIはWindows対応でしたが、Kiro CLIは2026年3月時点でmacOSとLinuxのみの対応です。WSL2を使えばWindowsでも実行可能ですが、公式サポートの範囲外となります。
2-2. Amazon Q Developer CLIからの移行
既存のAmazon Q Developer CLIユーザーは、以下のコマンドだけで自動的にKiro CLIに移行できます。
# 既存のQ Developer CLIからアップデート
q update
移行時のポイント:
| 設定項目 | 旧パス(Q Developer CLI) | 新パス(Kiro CLI) |
|---|---|---|
| MCP設定 | ~/.aws/amazonq/mcp.json |
~/.kiro/settings/mcp.json |
| カスタムエージェント | ~/.aws/amazonq/cli-agents/ |
~/.kiro/agents/ |
| ルール(ステアリング) | ~/.aws/amazonq/rules/ |
~/.kiro/steering/ |
| プロンプト | ~/.aws/amazonq/prompts/ |
~/.kiro/prompts/ |
すべてインストール時に自動コピーされます。資格情報も引き継がれるため再認証は不要で、q コマンドも自動的に kiro-cli にエイリアスされます。
2-3. 認証方法
Kiro CLIでは、以下の4つの認証方法が利用できます。
| 認証方法 | 対象 | 補足 |
|---|---|---|
| 個人開発者 | ソーシャルログイン | |
| GitHub | 個人開発者 | ソーシャルログイン |
| AWS Builder ID | 個人開発者 | AWSアカウント不要 |
| AWS IAM Identity Center | 企業・チーム | エンタープライズ向け。Okta / Entra IDも利用可能 |
# ログイン
kiro-cli login
# チャットを開始
kiro-cli
初回サインアップで500ボーナスクレジット
ソーシャルログインまたはBuilder IDで初回サインアップすると、30日間有効な500ボーナスクレジットが付与されます。Free枠(50クレジット/月)と合わせて、まずは十分に機能を試すことができます。
2-4. プライバシー設定
無料プランでは、デフォルトでコンテンツがモデル改善に利用される可能性があります。気になる場合は以下で無効化できます。
# コンテンツ共有を無効化
kiro-cli settings codeWhisperer.shareCodeWhispererContentWithAWS false
# テレメトリを無効化
kiro-cli settings telemetry.enabled false
# 設定を確認
kiro-cli settings list | grep -e codeWhisperer -e telemetry
Pro以上のサブスクリプションでは、コンテンツは自動的に学習対象外になります。
3. 基本操作
3-1. チャットとファイル参照
kiro-cli コマンドでインタラクティブなチャットセッションが開始します。
kiro-cli
# Model: Auto (/model to change) | Plan: KIRO FREE (/usage for more detail)
自然言語で指示するだけで、ファイルの読み書き、シェルコマンドの実行、コードの生成・修正を自律的に行います。
> FastAPIでユーザー認証APIを作成してください。JWT認証を使い、
ユーザー登録・ログイン・トークンリフレッシュのエンドポイントを実装してください。
v1.26で追加された @path 構文 を使うと、ファイル内容やディレクトリツリーをメッセージにインライン展開できます。ツール呼び出しが発生しないため、トークン節約にもなります。
> @src/main.rs このファイルのエラーハンドリングを改善してください
> @src/ このディレクトリの構造を分析してください
! プレフィックスでbashコマンドを直接実行することもできます。
> !git status
> !docker ps
3-2. 主要なスラッシュコマンド
チャットセッション中に使えるコマンド一覧です。Ctrl+S を押すとファジー検索で素早く探せます。
| コマンド | 説明 |
|---|---|
/help |
ヘルプメッセージを表示 |
/quit |
アプリケーションを終了 |
/clear |
会話履歴をクリア |
/compact |
会話を要約してコンテキストを解放 |
/save / /load
|
会話の保存・読み込み |
/model |
モデルを選択(Tab補完・ファジーマッチ対応) |
/agent |
エージェントの管理(v1.27でAI支援作成対応) |
/tools |
利用可能なツール・権限・トークン使用量の表示 |
/mcp |
読み込まれたMCPサーバーを確認 |
/context |
コンテキストファイルの管理と使用状況の確認 |
/prompts |
定型プロンプトの表示・管理 |
/paste |
クリップボードから画像を貼り付け |
/usage |
クレジット使用状況と請求情報の表示 |
/experiment |
実験的機能の切り替え |
3-3. ビルトインツールと権限管理
Kiro CLIには、エージェントが使用するビルトインツールが搭載されています。
| ツール | デフォルト権限 | 説明 |
|---|---|---|
read |
ワーキングディレクトリ内で信頼 | ファイルの読み取り |
glob |
ワーキングディレクトリ内で信頼 | globパターンでのファイル検索 |
grep |
ワーキングディレクトリ内で信頼 | 正規表現でのコンテンツ検索 |
write |
未信頼(都度確認) | ファイルの書き込み |
shell |
未信頼(都度確認) | シェルコマンドの実行 |
aws |
未信頼(都度確認) | AWSコマンドの実行 |
web_search / web_fetch
|
未信頼(都度確認) | Web検索・URLからのコンテンツ取得 |
code |
信頼 | シンボル検索・コードインテリジェンス(18言語対応) |
introspect |
信頼 | Kiro CLI自身の機能に関する質問に回答 |
delegate |
未信頼 | バックグラウンドで長時間タスクを非同期実行 |
use_subagent |
未信頼 | 並列サブエージェントの起動(最大4つ同時) |
report |
信頼 | ブラウザでGitHub Issueテンプレートを開く |
session |
確認後適用 | セッション内の一時的な設定変更 |
todo |
信頼(実験的) | Todoリストの管理 |
thinking |
信頼(実験的) | 段階的思考プロセス |
knowledge |
未信頼(実験的) | 永続的コンテキストの保存・取得 |
v1.27で追加された粒度別ツール信頼により、ツールの許可がよりきめ細かくなりました。例えばシェルコマンドの場合、以下のように段階的なスコープで信頼を設定できます。
| 信頼スコープ | 例 | 説明 |
|---|---|---|
| 正確なコマンド | git pull --rebase |
完全一致のみ許可 |
| 部分コマンド | git pull * |
同じサブコマンドの任意引数を許可 |
| ベースコマンド | git * |
全サブコマンドを許可 |
| ツール全体 | * |
すべてのシェルコマンドを許可 |
aws ツールがビルトイン — これがKiro CLIの隠れた強み
Kiro CLIには aws ツールが組み込まれており、AWSサービスのAPI呼び出しを直接実行できます。デフォルトでは都度確認が必要ですが、autoAllowReadonly: true を設定すれば読み取り専用コマンド(aws s3 ls、aws ec2 describe-instances など)をユーザ確認なしで実行可能です。Claude Codeでは別途AWS API用のMCPサーバーを導入する必要がありますが、Kiro CLIでは不要です。
4. カスタムエージェント
4-1. カスタムエージェントとは
カスタムエージェントは、Kiro CLIの最も強力な機能の一つです。JSON設定ファイル1つで、異なるユースケースに特化したエージェントを定義できます。
実用例:
- フロントエンドエージェント: Figma Powerを接続、CSSフレームワークのドキュメントをコンテキストとして読み込み
- バックエンドエージェント: PostgreSQL MCPを接続、APIドキュメントを参照
-
インフラエージェント: Terraformファイルのみ操作可能、
awsツールを自動承認 -
レビューエージェント:
writeとshellを禁止し、読み取りと指摘のみに限定
配置場所は2種類あります。
| スコープ | パス |
|---|---|
| ローカル(プロジェクト固有) | .kiro/agents/*.json |
| グローバル(ユーザー全体) | ~/.kiro/agents/*.json |
4-2. AI支援でエージェントを作成する(v1.27〜)
v1.27から、/agent create コマンドがAI支援モードに進化しました。やりたいことを自然言語で伝えるだけで、エージェント設定ファイルを自動生成してくれます。
# AI支援でエージェントを作成(デフォルト)
> /agent create
# → 「どんなエージェントを作りたいですか?」と聞かれる
# → 「Terraformのインフラ構築専用で、aws読み取りは自動承認、
# 書き込みは確認あり」と入力すれば設定が生成される
# 従来の手動作成も可能
> /agent create --manual
4-3. エージェント設定ファイルの例
{
"name": "backend",
"description": "バックエンド開発用エージェント",
"prompt": "あなたはバックエンド開発の専門家です。Pythonのベストプラクティスに従い、説明は簡潔にしてください。",
"model": "claude-sonnet-4",
"resources": [
"file://README.md",
"file://.kiro/steering/**/*.md"
],
"tools": [
"@builtin",
"@aws-knowledge-mcp-server"
],
"allowedTools": [
"read",
"introspect",
"@aws-knowledge-mcp-server"
],
"mcpServers": {
"aws-knowledge-mcp-server": {
"url": "https://knowledge-mcp.global.api.aws",
"type": "http"
}
},
"toolsSettings": {
"read": {
"deniedPaths": ["**/.env", "**/*.pem", "**/*.key"]
},
"write": {
"deniedPaths": ["**/.env", "/etc/**", "/System/**"]
},
"shell": {
"deniedCommands": ["git push .*", "rm -rf .*"]
}
},
"hooks": {
"agentSpawn": [
{ "command": "git status" }
]
}
}
4-4. エージェントの起動と管理
# エージェント一覧を確認
kiro-cli agent list
# 特定のエージェントでチャットを起動
kiro-cli --agent backend
# デフォルトエージェントを変更
kiro-cli settings chat.defaultAgent backend
4-5. ツール権限とガードレール
カスタムエージェントでは、セキュリティのためにツール権限を細かく制御できます。
| 設定項目 | 説明 |
|---|---|
tools |
エージェントが使用可能なツール一覧を定義 |
allowedTools |
ユーザー確認なしで実行を許可するツール |
toolsSettings.read.deniedPaths |
読み取りを禁止するファイルパス |
toolsSettings.write.deniedPaths |
書き込みを禁止するファイルパス |
toolsSettings.shell.deniedCommands |
実行を禁止するコマンド(正規表現) |
allowedTools の設定は慎重に
write や shell を allowedTools に含めると、エージェントがユーザー確認なしでファイル書き込みやシェル実行を行います。特にプロダクション環境のリポジトリでは、read と introspect 以外は慎重に設定してください。
5. ステアリング・MCP・Powers
5-1. ステアリングファイル
ステアリングは、プロジェクト固有のルールや規約をエージェントに伝える仕組みです。Amazon Q Developerでは .amazonq/rules/ に配置していましたが、Kiro CLIでは .kiro/steering/ に配置します。
| スコープ | パス |
|---|---|
| ローカル(プロジェクト固有) | .kiro/steering/*.md |
| グローバル(ユーザー全体) | ~/.kiro/steering/*.md |
<!-- .kiro/steering/coding-rules.md -->
# コーディング規約
- Python 3.12以上を対象とする
- 型ヒントを必ず付与する
- docstringはGoogle Styleで記述する
- テストはpytestを使用する
- コミットメッセージはConventional Commitsに従う
5-2. MCP連携
Kiro CLIは Model Context Protocol(MCP) をネイティブサポートしています。v1.26では /tools コマンドでMCPサーバーごとの推定トークン使用量も確認できるようになりました。
MCPサーバーの設定パス:
| スコープ | パス |
|---|---|
| ユーザー全体 | ~/.kiro/settings/mcp.json |
| ワークスペース固有 | .kiro/settings/mcp.json |
{
"mcpServers": {
"aws-knowledge-mcp-server": {
"url": "https://knowledge-mcp.global.api.aws",
"type": "http"
},
"github": {
"command": "npx",
"args": ["-y", "@modelcontextprotocol/server-github"],
"env": {
"GITHUB_PERSONAL_ACCESS_TOKEN": "${GITHUB_TOKEN}"
}
}
}
}
5-3. Powers — プラグインエコシステム
Powers は、MCP・ステアリング・フックをパッケージ化した再利用可能なプラグインです。ワンクリックでインストールでき、会話のコンテキストに応じて動的にアクティベートされます。
2026年3月時点で、以下のような40以上のPowersが公開されています。
| カテゴリ | Power例 | 提供元 |
|---|---|---|
| デザイン | Design to Code with Figma | Figma |
| インフラ | Deploy infrastructure with Terraform | HashiCorp |
| インフラ | Build AWS infrastructure with CDK and CloudFormation | AWS |
| 決済 | Stripe Payments | Stripe |
| DB | Build a backend with Supabase | Supabase |
| CI/CD | Deploy web apps with Netlify | Netlify |
| セキュリティ | Snyk Secure at Inception | Snyk |
| 監視 | Datadog Observability | Datadog |
| テスト | API Testing with Postman | Postman |
| AWS | IAM Policy Autopilot | AWS |
Powersは追加料金なし
Powersの利用自体に追加課金はありません。ただし、Powers経由でMCPサーバーが使用するコンテキストやツール呼び出しは、通常のクレジット消費の対象になります。
5-4. プロンプト管理
再利用可能な定型プロンプトを作成・管理できます。Claude Codeの「カスタムスラッシュコマンド」に相当する機能です。
# プロンプトを作成
> /prompts create --name diff --content "git statusとgit diffを実行して、差分を教えてください"
# プロンプトを呼び出す
> @diff
| 種類 | パス |
|---|---|
| ローカルプロンプト | .kiro/prompts/ |
| グローバルプロンプト | ~/.kiro/prompts/ |
| MCPプロンプト | MCPサーバー経由 |
6. 11種のモデルとクレジット乗数
6-1. モデル一覧
Kiro CLIでは 11種のAIモデル を切り替えて使えます。最大の特徴はクレジット乗数の仕組みです。Autoモードを1.0xとした場合、モデルによってクレジット消費が0.05x〜2.2xまで変わります。
| モデル | コンテキスト | クレジット乗数 | Free | Pro以上 | ステータス |
|---|---|---|---|---|---|
| Claude Opus 4.6 | 200K | 2.2x | × | ✓ | 実験的 |
| Claude Opus 4.5 | 200K | 2.2x | × | ✓ | アクティブ |
| Claude Sonnet 4.6 | 200K | 1.3x | × | ✓ | アクティブ |
| Claude Sonnet 4.5 | 200K | 1.3x | ✓ | ✓ | アクティブ |
| Claude Sonnet 4.0 | 200K | 1.3x | ✓ | ✓ | アクティブ |
| Auto(推奨) | - | 1.0x | ✓ | ✓ | アクティブ |
| Claude Haiku 4.5 | 200K | 0.4x | × | ✓ | アクティブ |
| DeepSeek 3.2 | 128K | 0.25x | ✓ | ✓ | 実験的 |
| MiniMax 2.5 | 200K | 0.25x | ✓ | ✓ | 実験的 |
| MiniMax 2.1 | 200K | 0.15x | ✓ | ✓ | 実験的 |
| Qwen3 Coder Next | 256K | 0.05x | ✓ | ✓ | 実験的 |
Free枠で使えるモデルに制限あり
Opus 4.6 / 4.5、Sonnet 4.6、Haiku 4.5はPro以上のサブスクリプションが必要です。Free枠では、Auto、Sonnet 4.5 / 4.0、およびオープンウェイトモデル(DeepSeek、MiniMax、Qwen3)が利用可能です。
クレジット乗数の読み方
例えば、Autoモードで10クレジット消費するタスクは、Opus 4.6なら22クレジット、Haiku 4.5なら4クレジット、Qwen3 Coder Nextならわずか0.5クレジットで実行できます。
6-2. モデル選択戦略
用途に応じた使い分けがクレジット節約の鍵です。
| ユースケース | 推奨モデル | 理由 |
|---|---|---|
| 日常的な開発全般 | Auto | タスクごとに最適モデルを自動ルーティング |
| 大規模リファクタリング | Opus 4.6 / 4.5 | 長時間セッションでもコンテキストが維持され、自己修正能力が高い |
| 高品質かつコスト効率 | Sonnet 4.6 | Opusに近い知性でトークン効率が良い |
| クイックな修正・質問 | Haiku 4.5 | Sonnet 4と同等の性能で速度2倍、コスト1/3 |
| コスト最優先の長時間作業 | Qwen3 Coder Next | 256Kコンテキスト・0.05x乗数で最もコスト効率が高い |
| Opusレベルの品質を安く | MiniMax 2.5 | フロンティア級のコーディング性能を0.25xで利用可能 |
# モデルの切り替え(Tab補完対応)
> /model claude-opus-4.6
> /model qwen3-coder-next
# セッション内で一時的に設定を変更(v1.27)
> 「このセッションだけHaiku 4.5を使って」
# → Session Settingsツールが自動的にモデルを切り替え
7. 実験的機能
7-1. /experiment コマンド
Kiro CLIには、/experiment コマンドで有効化できる実験的機能が多数搭載されています。
実験的機能はいつでも変更・削除される可能性があります。本番ワークフローへの組み込みは慎重に判断してください。
| 機能 | コマンド | 説明 |
|---|---|---|
| Knowledge | /knowledge |
セッション間で永続的にコンテキストを保存・取得 |
| Thinking | - | 複雑な問題を段階的推論で解決 |
| Tangent Mode | /tangent |
一時的な独立した会話モードに入る |
| Todo Lists | /todos |
タスクリストの作成・管理・再開 |
| Checkpoint | /checkpoint |
ワークスペースのスナップショット管理 |
| Context Usage | - | プロンプトにコンテキスト使用率を%表示 |
| Delegate | - | 非同期サブエージェントの起動・管理 |
7-2. チェックポイント
/checkpoint は、ワークスペースの状態をスナップショットとして保存し、いつでも復元できる機能です。
# チェックポイントを有効化(初回のみ)
> /checkpoint init
# 現在のスナップショットを保存
> /checkpoint
# 保存済みチェックポイント一覧
> /checkpoint list
# 特定のチェックポイントとの差分を確認
> /checkpoint diff 1
# 特定のチェックポイントに復元
> /checkpoint restore 1
エージェントに大規模な変更を指示する前の「保険」として活用できます。Gitコミットとは別にスナップショットが取れるので、「エージェントの暴走」への対策としても有効です。
7-3. Knowledge管理
/knowledge は、セッション間で情報を永続化する機能です。プロジェクトの設計判断やよく使うパターンを保存しておくと、新しいセッションでも参照できます。
# ナレッジに情報を追加
> /knowledge add "このプロジェクトではFastAPI + SQLAlchemyの構成を使用"
# 保存されたナレッジを表示
> /knowledge show
# ナレッジを検索
> /knowledge search "FastAPI"
8. Autonomous Agent(自律型エージェント)
2025年12月、Kiroはさらに一歩先へ進みました。Kiro Autonomous Agent は、Kiro IDE/CLIからバックグラウンドで独立してタスクを実行する自律型エージェントです。
2026年3月時点ではPro / Pro+ / Powerユーザー向けのプレビューとして提供されています。チーム向けアクセスはウェイトリスト制です。
8-1. 主な特徴
| 特徴 | 説明 |
|---|---|
| 自律実行 | サンドボックス環境でタスクを実行し、完了後にPRを作成 |
| コンテキスト維持 | タスク間でコンテキストを維持。レビューフィードバックを学習 |
| マルチリポ対応 | 1つのタスクで複数リポジトリにまたがる変更を生成 |
| 並列実行 | 複数タスクを同時に処理。開発者は別作業に集中可能 |
8-2. ユースケース
- 依存ライブラリのバージョンアップグレードを全リポジトリに適用
- バグのデバッグ + 修正PR + テスト追加を一括実行
- READMEやドキュメントの自動更新
- リファクタリングの提案と実装
このAutonomous Agentは、GitHub CopilotのCoding Agentや、Devin等の自律型AIエージェントに対するAWSの回答と言えます。
9. Claude Code / GitHub Copilot との比較
9-1. ターミナルAIエージェントの比較
2026年3月時点で、ターミナルで使える主要AIエージェントツールの比較です。
| 項目 | Kiro CLI | Claude Code | GitHub Copilot CLI |
|---|---|---|---|
| 開発元 | AWS | Anthropic | GitHub / Microsoft |
| 月額料金 | Free: $0 / Pro: $20 | Max: $100〜$200 | Free / Pro: $10 |
| モデル選択 | 11種(Claude, DeepSeek, Qwen3等) | Claude固定 | GPT-4o / Claude等 |
| カスタムエージェント | ◎(JSON定義+AI支援生成) | △(限定的) | △ |
| Powersエコシステム | ◎(30+プラグイン) | × | × |
| MCP対応 | ◎ | ◎ | ◎ |
| ステアリング/ルール | .kiro/steering/ |
CLAUDE.md |
.github/copilot-instructions.md |
| AWS組込みツール | ◎(ビルトイン) | ×(MCP必要) | × |
| チェックポイント | ○(実験的) | × | × |
| Knowledge永続化 | ○(実験的) | × | × |
| 自律型エージェント | ○(プレビュー) | × | ○(Coding Agent) |
| 対応OS | macOS, Linux | macOS, Linux, Windows | macOS, Linux, Windows |
9-2. エージェント指示ファイルの比較
各ツールでプロジェクト固有のルールをエージェントに伝える方法が異なります。
| ツール | 指示ファイルのパス | 形式 |
|---|---|---|
| Kiro CLI | .kiro/steering/*.md |
複数ファイル対応 |
| Kiro IDE | .kiro/steering/*.md |
CLIと共有 |
| Amazon Q Developer(IDE) | .amazonq/rules/*.md |
複数ファイル対応 |
| GitHub Copilot | .github/copilot-instructions.md |
単一ファイル |
| Claude Code | CLAUDE.md |
単一ファイル |
| Cline | .clinerules |
単一ファイル |
Kiro CLIとKiro IDEが .kiro/steering/ を共有しているのが大きなポイントです。一度ルールを書けば、IDEでもCLIでも同じルールが適用されます。
9-3. Amazon Q Developer IDE拡張の概要
Kiro CLIの土台であるAmazon Q Developerは、IDE向けに以下の機能も提供しています。
| 機能 | 説明 |
|---|---|
| インラインコード補完 | コードを書き始めると自動で候補を表示。AWS SDK/CDK関連は特に高精度 |
| チャット |
@workspace でプロジェクト全体をコンテキスト参照可能 |
| エージェントコーディング | 自然言語の指示で自律的にコードを生成・修正 |
| セキュリティスキャン | SQLi, XSS, ハードコード認証情報, IaCの設定ミスなどを検出 |
| コード変換 | アプリケーションの言語バージョンアップグレード |
対応IDE:VS Code / JetBrains / Visual Studio / Eclipse
Kiro CLIとAmazon Q Developer IDE拡張は併用可能
ターミナルでKiro CLI、IDEでAmazon Q Developer拡張機能という使い分けが可能です。それぞれ別の認証・課金体系ですが、両方のFree枠を活用すれば、追加コストなしでAI支援の幅が広がります。
10. 料金とクレジット戦略
10-1. Kiroの料金体系
Kiro(IDE + CLI)は独立した4プランの料金体系です。
| プラン | 月額料金 | 月間クレジット | 超過料金 | 自律型エージェント |
|---|---|---|---|---|
| KIRO FREE | 無料 | 50 | - | × |
| KIRO PRO | $20/月 | 1,000 | $0.04/クレジット | ○(プレビュー) |
| KIRO PRO+ | $40/月 | 2,000 | $0.04/クレジット | ○(プレビュー) |
| KIRO POWER | $200/月 | 10,000 | $0.04/クレジット | ○(プレビュー) |
「クレジット」とは
Kiroではエージェントリクエスト(チャット、エージェントコーディング)の消費単位をクレジットと呼びます。消費量は使用するモデルのクレジット乗数によって変動します。
10-2. クレジットを賢く使うコツ
月50クレジット(Free枠)でも工夫次第で十分に活用できます。
| 戦略 | 方法 | 効果 |
|---|---|---|
| ① 軽い作業はQwen3やDeepSeekで |
/model qwen3-coder-next で切り替え(Free枠で利用可能) |
クレジット消費が 1/20 に(Haiku 4.5はPro以上で0.4x) |
② @path でファイルを先に渡す |
@src/main.rs をメッセージに含める |
ツール呼び出し削減でトークン節約 |
③ /compact で会話を要約 |
長い会話の途中で実行 | コンテキスト枠を解放 |
| ④ カスタムエージェントで絞る | 不要なツールを除外 | 無駄なツール呼び出しを防止 |
| ⑤ 初回ボーナスを活用 | 初回サインアップで500クレジット(30日) | 最初の1ヶ月は550クレジットで試せる |
10-3. Amazon Q Developer(IDE向け)の料金(参考)
| Free | Pro | |
|---|---|---|
| 月額料金 | 無料 | $19/ユーザー/月 |
| エージェントリクエスト | 50件/月 | 1,000件/月 |
| インラインコード補完 | 含まれる | 含まれる |
| セキュリティスキャン | 含まれる | 含まれる |
| IP補償 | × | ○ |
| 認証方式 | AWS Builder ID | IAM Identity Center |
Amazon Q Developerサブスクリプションを持っている場合、KiroとAmazon Q Developerの両方を同時に利用可能です。
出典:Kiro Pricing、Amazon Q Developer の料金
11. おわりに
ここまでお読みいただきありがとうございます。
正直に言うと、初めてKiro CLIを触ったとき「Claude Codeの劣化版では?」と思っていました。しかし実際に使ったり調べてみると、AWSユーザーにとっては明確な差別化ポイントがあることがわかりました。
改めて、Kiro CLIの強みを整理します。
① カスタムエージェントで、プロジェクトごとにAIの振る舞いを制御できる柔軟性
② 11種のモデル+クレジット乗数で、コストと品質のバランスをユーザーが選択可能
③ aws ツールがビルトインで、追加のMCP設定なしにAWSサービスとの連携が可能
④ Powersエコシステムで、Figma・Terraform・Stripe等のツール連携がワンクリック
⑤ Autonomous Agent(プレビュー)で、バックグラウンドでの自律的タスク処理も視野に
一方で、Windows非対応(2026年3月時点)や、Free枠50クレジットの制限など、改善の余地もあります。しかし、Qwen3 Coder Next(0.05x乗数)などの低コストモデルを活用すれば、Free枠でもかなりの作業が可能です。
開発元が自社でとんでもなく強いクラウドサービス(AWS)を持っていることが、このKiroにも大きい付加価値をつけていますね。
AWSを使っているなら、まずインストールして試してみてください。
たった1行のコマンドで、500ボーナスクレジットつきで始められます。
curl -fsSL https://cli.kiro.dev/install | bash
ではまた、お会いしましょう。
参考リンク
Kiro 公式
- Kiro CLI ドキュメント
- Kiro Changelog
- Kiro Models
- Kiro Powers
- Kiro Autonomous Agent
- Kiro Pricing
- Kiro CLI の紹介:Kiro エージェントをあなたのターミナルへ - AWS Blog
- Amazon Q Developer CLI から Kiro CLI へ : 知っておくべき変更点 - AWS Blog
- Kiro のご紹介 – プロトタイプからプロダクションまで、あなたと共に働く新しい Agentic IDE - AWS Blog