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6本のSaaSを本番に乗せた後でわかった:AIコーディング普及後の個人開発の現実を全部書く

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note 版:https://note.com/mintototo1
Zenn 版:https://zenn.dev/mintototo1/articles/observation-ai-coding-saas-reality-2026


6本のSaaSを本番に乗せた。うちMRRが安定してるのは2本だけ、残り4本は今月もコストが出ていった。

「AIで個人開発が爆速になった」は本当だ。でも「そのまま売れる」とは全然別の話だった。

5ヶ月間、Claude Codeと一緒にプロダクトを量産して気づいたことを、1次情報も含めて全部書く。


今の俺の現在地(数字だけ、盛らない)

  • 稼働中プロダクト:6本(不動産SaaS / LINE AI / 美容アプリ / Mint Agent waitlist / AI営業ツール / AIマッチングファーム)
  • Claude Code 月額:Max プラン $200(約¥3万)
  • Vercel Pro + Supabase 合計:月¥8,000前後
  • Anthropic API(プロダクト稼働分):月¥5,000〜¥30,000
  • その他ツール(Instantly / fal / ElevenLabs 等):月¥20,000前後
  • 合計インフラコスト:月¥60,000〜80,000

売上は今は書かない。でも「ゼロではない」だけ言っておく。

これが5ヶ月でAIと積み上げた現実だ。


AIコーディングで確実に変わったこと(1次情報)

1. 「作れるかどうか」という壁は消えた

5年前、俺がプログラミングを始めた頃、LINE Botを1本動かすのに3週間かかった。Stripeのwebhookを本番で動かすまでに1ヶ月かかった。

2026年、Claude Codeに「LINE BotでマルチテナントのB2B受付システムを作って」と言ったら、1日で動いた。誇張じゃない。コードの85%はClaude Codeが書いた。俺は設計の意図と地雷を教えただけだ。

「技術的に実現できるかどうか」という問いは、個人開発において実質的に消えた。問いは「誰に売るか」「なぜ使われるか」だけになった。

2. 「モック → 本番」の速度が10倍になった

以前は「MVPを作る」だけで1ヶ月かかっていた。今は、アイデア → 本番デプロイまで5日から1週間。

注意点がある。「速く作れる」と「速く検証できる」は別だ。プロダクトを作る速度が上がっても、ユーザーに届ける速度は上がらない。ここを勘違いしていた時期があった。

不動産向けSaaSを1週間で作り上げて「さあ営業だ」とコールドメールを440通送った。返信は0通だった。速く作れても、課題発見を先にやっていなければ同じことだ。

3. 「地雷のリスト化と再現防止」が爆速になった

iOSアプリを3本申請した。3回連続でリジェクトされた。

3回目のリジェクト後、Claude Codeと一緒に申請前チェックリストを作った。30項目になった。Privacy Manifestの有無、Info.plistのUsageDescription全キー確認、Apple Sign Inの導線、デモアカウント、スクリーンショットの言語一致、ASCのプライバシーラベルと実装の一致...。

4本目は1発で通った。

AIが変えたのはコードだけじゃない。「手順の言語化と再現」の速度も変えた。人間が踏んだ地雷を、次回から踏まないための手順書を、AIが即座に整理してくれる。

4. コードレビューのコストが限りなくゼロに近くなった

Stripe webhookのraw body問題、Supabase RLSの後付け事故、Vercelのenv envelope corruption、NEXT_PUBLIC_の動的参照禁止...。

これらは全部俺が踏んだ地雷で、全部Claude Codeがいる前提で「次回から自動チェック」に変えた。経験値の外部化が完全にできるようになった。


AIコーディングで変わらなかったこと(これが本題だ)

1. 「誰が使うか」は相変わらず答えが出ない

440通のコールドメール、返信0通の話をもう少し詳しく書く。

最初のターゲットは地方の不動産業者だった。「動画を自動生成して物件紹介ページに貼れば、問い合わせが増えるはずだ」という仮説で突き進んだ。ツールは完成していた。価格も決めていた。メールも送った。

でも「不動産業者がそのツールを今すぐ欲しいと思っているか」を事前に検証していなかった。

AIがどれだけ速くプロダクトを作っても、課題発見は代行できない。「誰が本当に困っているか」という問いへの答えは、人間が現場に行かないと出ない。

その後ICPを変えた。「AI人材を探している企業」にターゲットを切り替えたら、同じ送信量で反応率が変わった。問題はプロダクトじゃなくてターゲット選定だったと気づいたのは440通送った後だ。

2. 継続的なユーザー接触は自動化できない

Mint AgentのwaitlistページをVercel + Next.jsで作った。Xで告知した、noteでも書いた。waitlistに登録してくれた人が集まってきた。

でも「登録した人に毎週メールを送り続ける」作業はAIが自動で判断してくれるわけじゃない。タイミング、内容、頻度、全部人間が設計しないといけない。

チャーン率を下げる作業、LTVを伸ばす作業、CS対応。これらはAIが「いい感じに」やるのが難しい。顧客との関係性は1対1の文脈を持つから。

3. プライシングと営業の判断は人間の仕事だ

不動産向けSaaSの価格を決めるとき、「1動画¥596でどうか」という数字を最終的に決めたのは俺だ。競合価格を調べ、業者の単価感を確認し、「使われる価格帯」を選んだ。

AIは「こういう価格設定のパターンがあります」とは教えてくれる。でも「このマーケットでこの顧客に今この価格で売るべきか」は教えてくれない。

4. X(旧Twitter)の凍結と信頼資産の問題

自動いいね・フォロースクリプトを仕込んだら凍結された。凍結解除に2週間かかった。申請を3回出した。

AIで動かせる部分と、人間が手を動かさないといけない部分の境界は、プラットフォームごとに違う。SNS上の信頼は自動化で築けない。それを体で覚えた。


業界全体の観察(2次情報も含めて)

GitHub Copilot 普及後に起きたこと

GitHub Copilotが2022年にリリースされてから3年以上が経った。JetBrainsの2025年開発者調査では、プロの開発者の約7割が何らかのAIコーディングツールを日常的に使っている。

でも「人間はいらない」とはなっていない。むしろ逆の現象が起きている。「AIに何を作らせるか」「AIの出力を評価できるか」という能力への需要が増えた。

AIを使いこなせるシニアエンジニアへの需要が増え、コードをコピペするだけのジュニアへの需要が減った。

日本の個人開発コミュニティで俺が観察していること

Xの#個人開発タグを毎日追っているが、「Claude Codeで〇日で作った」という投稿は週に何本もある。でも「作ったSaaSが売れた」という投稿はそれより圧倒的に少ない。

「作れる」と「売れる」のギャップが、AIコーディング普及後にむしろ可視化されてきた。

以前は「技術的に難しい」という壁があった。それがAIで消えた結果、「誰に売るかわからない」という壁だけが残った。個人開発者の失敗の質が変わった。昔は「作れなかった」。今は「作ったが売れない」。

SaaS成功率の実態

IndieHackers、ProductHunt、国内の#個人開発 タグを半年観察した体感値として、本番稼働から6ヶ月でMRRが月¥10万を超えているプロダクトは全体の5%以下だ。

AIコーディングが普及してもこの数字はおそらく変わっていない。むしろ「作ったが売れない」プロダクトの総数が増えているかもしれない。出口が速くなった分、入口も速くなって、失敗が加速している。

俺が観察している限り、売れている個人開発者の共通点はこうだ:

  • 最初から特定の「誰か」に向けて作っている
  • 有料化のタイミングが早い(作る前から料金を取っているケースも)
  • SNSで発信を続けている(信頼を事前に作っている)
  • 1プロダクトに集中している(同時並行していない)

AIが速く作れることと、これらの条件は全然関係ない。


3年後の個人開発の姿(俺の予測)

「AIが全部やってくれるから個人開発者はいらなくなる」という意見がある。半分正しく、半分間違いだ。

半分正しい部分は、「コードを書く」という行為がプロンプトを書く行為に段階的に置き換わること。今すでにそうなりつつある。3年後にはさらに進む。

半分間違いな部分は、「誰のどんな問題を解くか」を決めるのは3年後も人間だという点だ。市場の声を聞き、仮説を立て、検証するという作業は、AIが代替するのが最も難しい仕事の一つだ。

3年後に生き残る個人開発者の条件:

  • 顧客と直接話す習慣がある
  • 「作らない勇気」を持っている(作る前にニーズを検証する)
  • 特定ドメインの専門知識がある(AIが補えない文脈理解)
  • SNS上の信頼資産がある

コードを書く能力は3年後、必要条件から外れる。でも上の4つは代替されない。


今の俺がやっていること

6本のSaaSを動かしながら、今俺がやっていることは一言で言えば「選択と集中」だ。

AIがあっても、人間の注意力は有限だ。顧客と話す時間は有限だ。6本全部に力を入れるのは無理だとわかった。

今は2本に絞って集中している。残り4本は「凍結」にしてある。凍結は撤退じゃない。信号が来たら動ける状態にしておくという意味だ。

AIコーディングが普及した今、「何を作るか」よりも「何を作らないか」の判断が、個人開発者の競争力を決める。それが5ヶ月、6本のプロダクトを経て俺が一番感じていることだ。


俺が運営してるプロダクト

🎬 VideoTracker — 不動産業者向け動画自動生成 SaaS
動画1本¥596。SUUMO 問合せ平均1.8倍。
https://komugi-ai.jp/realestate

🤖 Mint Agent — Slack で @AI に話しかけて業務代行(近日リリース)
議事録投稿・メール返信・データ集計が Slack 内で完結
→ ベータ Waitlist:https://agent.komugi-ai.jp

🏭 Forge — 企業向け AI 実装・運用ファーム
構築 → 評価 → 運用まで一気通貫で請け負う
https://forge.komugi-ai.jp

業務効率化・SaaS 開発相談 → X DM @mintnekoneko0
過去記事まとめ:https://note.com/mintototo1

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