お世話になります。
Windows365が発表されましたので、これまで仮想デスクトップやVDIとは何か、あまり聞いたことのなかった方向けに簡単に説明させて頂きます。
Azureデータセンター内に無数のWindows10/11のOSテンプレートが用意され、ユーザーがサブスクリプションを開始したら割り当てられます。
これまではリモートデスクトップというアプリを利用する必要がありましたが、HTML5に対応したブラウザであればクライアントレスで実行できるのが大きな改善点です。
なお、リモートデスクトップWebクライアントという技術自体は3年ほど前からGAされていて、オンプレミスAD環境下では構築することができていました。
参考サイト
https://forest.watch.impress.co.jp/docs/news/1114252.html
こうした環境をゼロから作るのは企業にとってかなりの知見と労力を必要しますが、今回、マイクロソフトが公式でMS365のサブスクリプションに組み込んだことで、仮想デスクトップの敷居が大幅に下げられることになります。
また、Azure Active Directory認証を必須とすることで、ユーザー企業はID管理をAADに一任することができるというメリットがあります。
参考サイト
https://itwork100.com/google-apps-office365/
それでは、Windows365のメリットを挙げていきます。
・端末を問わずいつでも職場のWindowsPCの操作に戻れる(iPhoneからでも)
・最短数十秒で、新規にPCが払いだせる(社員の入退社など)
・中古PCや、低スペックPCでも最新OSとしてよみがえらせられる
など、このあたりは仮想デスクトップの概念を理解されればすぐに想像がつくかと思います。
さらに企業のIT管理者向けのメリットとして、以下などが想定されます。
・AAD認証が必須のため、高度なセキュリティが担保される(二段階認証など)
・事前にテンプレートをカスタマイズし、アプリなどを組み込んでおける
・Azure上の仮想LANやファイアウォールなどと連携できる(Enterpriseプランのみ)
参考までに、以下のサイトにAzure Virtual Desktopとの比較がありました。
https://translate.google.com/translate?sl=auto&tl=ja&u=https://getnerdio.com/academy-enterprise/microsoft-windows-365-vs-azure-virtual-desktop-avd-comparing-two-daas-products/
Windows365のデメリット
では、逆にデメリットを上げていきます。
・コストは高め
・GPU、3Dグラフィック機能が使えない
・安定したネットワーク回線が必須
・iOS、Androidからのユーザエクスペリエンスは過渡期
・プリンタやローカルデバイスの転送が完全ではない
これらを挙げると、まだまだ仮想デスクトップにおける使い勝手は、ローカルPCに及ばないことがわかります。
とくにブラウザやアプリでリッチコンテンツが増え、2D/3DアクセラレーションがPCの速度に及ぼす影響は増えてきていて、CPUだけでなくGPU速度が重要になっています。
また、ネットワークが途切れた時に何もできなくなるというのはリスクとしてあります。
以上ふまえると、簡単な事務作業やコールセンターでの入力、もしくはたまにExcelやPowerpointを使うだけ、といった特定用途での利用が最も適していると思われます。
(操作イメージ)
(動画)
https://www.youtube.com/watch?v=585HbRJ9YCc
また、ユーザー視点でのメリットとデメリットはそれぞれ存在しますが、IT管理者からするとほぼメリットのみということがいえると思います。
在宅ワークが増え、ユーザーPCの遠隔管理をどうするか、というのはIT管理者の苦労のひとつと思いますが、仮想PCにすることで物理的な制約にとらわれず一元管理ができます。
また、月額上限が決まっていて、MS365管理センターから気軽に導入できるのは中小企業にとって大きなメリットかと思います。