この記事は、「架空プロジェクトを通してシステム開発とドキュメント作成を体験してみる(2022 Late)」の記事の一部です。
WBS(ガントチャート)の概要
WBSとはWork Breakdown Structureの略で、正確には大きなタスクを実行可能なレベルに分解したもの(資料)のことですが、実行スケジュールを示すガントチャート表記と組み合わせて利用されることが多いため、WBS = ガントチャート、ガントチャート = WBSとして、現場ではあまり区別されていません。ここでも、WBS = ガントチャートとして区別せずに說明します。
項目 | 内容 |
---|---|
作成目的 | プロジェクトにおけるタスク、実施時期、担当者等の明確化・管理のための資料 |
記述すべき内容 | 実行レベルに分解されたタスク、担当者、開始日、終了日時 |
作成タイミング | 計画時、要件定義時(必要に応じて更新) |
対象者 | プロジェクトメンバー全員(非技術者、技術者) |
ファイル形式 | Excelで作成することが一般的 |
備考 | 実務ではWBSとガントチャートがあまり区別されませんが、厳密にはWBSとガントチャートは別ものです。がここではWBSということにします。 |
一般的にはどうなのか?が気になる人は後半にある「一般的には(参考)」に先に目を通してください。
サンプルダウンロード
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作成してみる
では作成していきましょう。
作成方針・ポイント
いきなり完成品を作ろうとしない
プロジェクト計画書でも書きましたが、いきなり完成品を作ろうとしないことです。
私の場合、下記のような感じで作ります。
- まずはタスクの洗い出しがてらラフに作ってみる
- 各タスクを整理しつつラフにスケジュールを割り当ててみてスケジュールに無理が無いかやタスク間の整合性を確認
- 上記での作成内容を懸念点を含めて上長にレビューしてもらう
- レビュー意見を反映して清書する
タスクは実行可能かつ細かすぎないレベルで設定する
WBSのタスクの記述には毎回悩みます。
大きすぎず、小さすぎず、かつ実行可能なレベルで記述するのがポイントです。
- 大き過ぎるタスク例:各種サーバを立てる
- 小さ過ぎるタスク例:Apacheをインストールする。PHPをインストールする(これは手順書に書くレベルかな)
- 適切な?例:Webサーバの構築、DBサーバの構築
本来のWBS(Work Breakdown Structure)という意味ではApacheをインストールする。というのもありかもしれませんが、ガントチャートという観点では細かすぎるかなと。
構成(管理項目)を考える
WBSに記述すべき項目(カラム)は、
- タスク
- 管理番号
- 担当者
- 開始日
- 終了日
- スケジュール:ガントチャート(適切な区切りで作成:日次、週次、月次)
あたりが必須項目で、必要に応じて以下を追加という感じ。
- タスクカテゴリ
- 担当者の部署
- 各タスクの完了基準(成果物)
- 会議スケジュール
- 重要度(優先度、難易度)
- クリティカルポイント
などを記載する場合もあります。
ぜひ、自分の環境に合わせて作成してみてください!
各内容を記述する(サンプルの說明)
では、サンプルについて少し解説したいと思います。
WBS(ガントチャート)全体
個別ページがあるわけではないので全体をまとめて說明します。
時間軸に沿った項目(社内手続き、要件定義、設計等)をカテゴリとして、子タスクを設定しています。
あとは管理番号、タスク名、開始日、終了日です。
プロジェクトにおける役割はサンプルの便宜上追加しているもので、通常はありません。
ガントチャートを日次レベルで作成しているのであえて開始日、終了日は記入していません(記入しても問題ありません)。ガントチャートを日次で作成する場合は祝日等もわかるようにします。定例会議と祝日がかぶるような場合は、あらかじめ別日を予定日として調整するように準備したりします。
一般的には(参考)
実践ガイドブックでは?
WBSは本来のWBSとして、スケジュール(ガントチャート)は開発イベントマップとして別々に準備・記載しているようです。
- WBS(教科書どおり、作業を分解したもの)
- 開発イベントマップ(概要レベルのガントチャート)
実践ガイドブックのWBS
ガイドラインの項目に従ってタスクが分解されています(細かい・・・)。
実践ガイドブックの開発イベントマップ
矢羽でタスクとスケジュールが表現されています。
恐らく実案件の進捗においては別途ガントチャートを作ることになるのかなと思います。。。
その他
なお、WBSについては専用ツールやサービスが使われることも多いです(古いところではMicrosoft Projectとか。最近では各種クラウドサービスがありますね)。
ただ、ツールを使う場合でも「一旦Excelで作ろう」とかなるので、自力で作れた方がいいです。