私たちは脳内に二つのモードがある。
- 直観の心理
- システム1
- 過去の経験やいくつかの単純なルールに基づいて瞬時に判断している。
- 熟考の心理
- システム2
- 過去に経験したことがない状況には個々の心理が働いている。
5段階に分割する
適切な行動を決めるときは以下の5段階の判断方法がある。
- 習慣 : 慣れ親しんだ
キュー
とルーティーン
がある状態。無意識のうちにとる行動。- ex) 袋からポテトチップスをとって食べる
- 直観的な反応 : 過去の経験に基づき、意識的にとる行動。
- ex) お気に入りのビュッフェで食べる
- 能動的なマインドセット、自己概念 : 曖昧な状態
- ex) 職場でのダイエットワークショップに申し込む
- ヒューリスティック : 意識的な注意を向けているが、それでも「楽をしようとしている」状態
- ex) チーズバーガーで一日の摂取目標カロリーを超えないか心配している
- 意識を伴う、集中のいる選択 : なじみのない状態で、注意を払っている
- ex) 食品一つ一つのカロリーを計算し、献立を作成している
直観の心理と熟考の心理は同時並行で動く
この二つの心理は独立平行で実行されるため、まれにこの二つの心理の結果が対立することがある。
国語の選択肢問題で熟考の心理で選んだ選択肢が、直観に反することがある。
普段は直観で動いている
私たちの普段の行いは、直観の心理に支配されている。
これは、習慣や本能や経験に従っている。
多くの場合、過去に経験してきたことの連想にしか過ぎない。
直観で促進される行動は「快感」として、回避するべき行動は「ストレス」として蓄積される
これは俗に言う「パブロフの犬」と同じである。
脂っこいピザを見たときに連想するのは、胃もたれしそうなくらいおなか一杯になっているということだ。
公平ではないトランプゲームで、4つのデッキを使った実験
被験者達はゲームに不正が仕込まれているとは知らない状態だったが、
ゲームが進むにつれて負けやすいデッキを使おうとしたときに、
被験者には物理的なストレス反応が見受けられた。
しかし、被験者には何がおかしいかはまったくわからなかったという。
上記の結論から、
意識が何かがおかしいと気づく前に、体がストレスとして反応する ということである。
そして、このような連想が一度出来上がると、後は勝手に動き出すようになる。
直観の心理、または習慣
習慣におけるメカニズムを明確にするために、次の三つの用語を定義する
-
キュー
: きっかけ、合図の事 -
ルーティーン
: とるべき行動 -
リワード
: 報酬
習慣を作り出すためにはキューとルーティーンだけでも十分だが、より強い実装とするためにはリワードの設定は欠かせない。
例えば、コーヒーを買うモーニングルーティンをこの三つで表現しようとすると、以下のようになる。
- キュー : コーヒーショップの前を通り過ぎたときに、コーヒーのにおいがする。あるいは看板を見る。
- ルーティーン : コーヒーショップに入り、コーヒーを購入する。
- リワード : チョコレートとカフェインを堪能できる。
このように、日常生活は直観の心理に頼りっぱなしであるが、
キュー
,ルーティン
,リワード
の関係に対して日常生活をアウトソーシングすることで、本当に必要な作業を熟考の心理へ割けるのである。
習慣ができるまでのメカニズム(欲望のエンジン)
キュー
,ルーティン
,リワード
の関係が出来上がるまでのプロセスを欲望のエンジン
と呼ぶ。
-
キュー
,ルーティン
,リワード
が組み合わさる -
キュー
を感覚器官が受け取っただけで、リワード
を予期するようになる。 -
ルーティーン
は2のリワード
を得るために行動する。
習慣の性質5つ
習慣を表す性質には 4+1種類ある。
- 制御できない
- 意図できない
- 意識できない
- 認知が速い
- 一度
キュー
,ルーティン
,リワード
の関係が出来上がってしまえば、リワード
がなくともキュー
,ルーティン
の関係は継続する(この期間およそ3か月)
広告業界での応用例
広告業界のクロード・ぽぷキンスは10年間でアメリカ社会に歯を磨く習慣を根付かせた。
その手順は以下のようなものだ
- キュー : 歯のヌメリ化が気になるようにする。
- ルーティーン : 歯を磨くことをルーティーンにする。
- リワード : 口内に広がるミントの香り。
これらを強調するように広告を出すことで、歯を磨く習慣をうみだしたのだ。