Windows7 の EOS に伴い、大量のパソコンを処分したので、手順を紹介する。
まず、法を理解しよう
資源有効利用促進法という法律があり、家電製品などはメーカーが責任を持って回収・リサイクルすることが義務づけられている。PCは対象商品に含まれていなかったが、2003年の改正時に追加され、俗にPCリサイクル法とも呼ばれている。
PCリサイクルマークの付いたPCは、メーカーが無料で回収してくれるが、企業・法人で使用する事業用PCは、処分時にリサイクル費用(3,000円)を負担することになっているため、PCリサイクルマークが付いていない。さらに、企業や事業所から排出されたPCは、たとえPCリサイクルマークが付いていても産業廃棄物として扱われるため、排出者は廃棄物処理法を順守しなければならない。
【参考】産業廃棄物を排出する事業者の方に
メーカーに処分を依頼しよう
家庭用PCと違い、事業用PCは自治体では引き取ってくれない。
ネットで「パソコン 処分」を検索すると、事業用PCを無料で引き取ってくれるPCリサイクル業者が沢山ヒットする。
なぜ無料かというと、回収したPCをリユース(再利用)またはリサイクル(再資源化)しているからだ。信用できる業者と分かれば任せても良いだろう。
また、PCを手配してくれた出入りのITベンダーや、メーカーの法人担当に相談できるなら、それも良いと思う。
今回はメーカーのリサイクルセンターを利用した。メーカーに直接依頼しても良いが、メーカーリサイクルを代行してくれるパソコン3R推進協会を利用した方が便利だ。
なお、PCがリースの場合、後述の完全消去を行った上で、リース会社に返却する。
パソコン3R推進協会とは
PCおよびPC用モニタの3R(リデュース、リユース、リサイクル)を促進している一般社団法人。主要なPC事業者の殆どが加盟していて、回収リサイクルを代行してくれる。
事業系PCリサイクル回収申込 に沿って進め、集荷を待つだけだ。
固定資産の除却
除却とは、固定資産を取り壊したり廃棄すること。
除却にかかった費用も固定資産除却損として経費に計上できる。つまり、除却損の金額だけ節税になるというわけだ。
回収後1ヶ月ほどすると、「資産滅却報告書(廃棄証明書)」が発行される。損金経理するためのエビデンスになるので保存しておこう。
ディスクの完全消去
廃棄・返却する前に、HDD/SDDを完全消去するわけだが、これには2通りの方法がある。
ひとつめは、工場出荷時の状態にリセットした上で、空いたディスク領域をcipher
コマンドで0埋めする方法。この場合はOSが残るので再利用可能だ。誰かに譲渡するならこれでも良い。
ふたつめは、専用ツールでOSごと削除する方法。本稿で解説する。
なお、プライバシーマークを取得している企業なら、データを消去しましたという記録は必須(フォーマットは任意で決めて良い)。業者に消去を委託した場合はデータ消去証明書で代替できる。
wipe-out のダウンロード
wipe-out 公式サイトよりUSBイメージ版をダウンロードする。
起動用USBメモリの作成
ダウンロードしたイメージファイルは、Win32 Disk Imager を使ってUSBメモリに書き込む。
いわゆる Live USB を作成するので、そのままUSBメモリにコピーしてもダメだ。
BIOSブートシーケンスの確認
古いPCでUEFI未対応だったため、BIOS画面から確認または設定する。
USBデバイスがHDD(SSD)より優先されていればそのまま、そうでなければ優先順位を変更する。
画面の NEC Mate では USB KEY として表示されている。
wipe-out の実行
USBメモリを差した状態で電源を入れ、暫くすると wipe-out のメニュー画面になる。
米国防総省の定めている基準(オール0→オール1→ランダム値のデータを書き込み、残留磁気の影響をなくす)にも対応しているが、一般向けには、固定パターンで1回上書き消去を行えば充分、というのが昨今のガイドラインになっている(ディスクが高密度化しているため)。
ここは「0を上書きして、このディスクのデータを消す」で、良いかと思う。
ディスク容量にも因るが、小一時間から数時間は待つことになる。
消去が終わったらUSBメモリを抜いて再起動し、OSが起動しないことを確認する。