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【Laravel】ファサードとは?何が便利か?どういう仕組みか?

Last updated at Posted at 2020-03-11

はじめに

Laravelを使っていると
「ファサード」という言葉がちょこちょこ出てきたりします。

ファサードとな何なのか、
何のためにあるのか、
どういう仕組みで動いているのか、
など調べてみたので簡単に解説していきます。


本記事内ではサービスコンテナを利用したコードが多数登場しますが
サービスコンテナ自体の仕組みは解説しません。
サービスコンテナについてはこちらの記事で解説しています。
【Laravel】サービスコンテナとは?2つの強力な武器を持ったインスタンス化マシーン。簡単に解説。

概要

ファサードとは、
クラスをインスタンス化しなくてもstaticメソッドのように
メソッドを実行できるようにしてくれる機能のこと。

こんな風にできる。

// 通常
$classA = new ClassA();
$classA->methodA();

// ファサード利用
FacadeClassA::methodA();

このインスタンス化している1行の手間をなくせるっていうだけっちゃだけですかね。

ファサードの作り方

自分でファサードを作る方法です。

元クラス作成

ClassA
class ClassA
{
    public function methodA()
    {
        return 'methodA called!!';
    }
}

ただmethodA()というメソッドを持っているだけの
ClassAです。

先ほどの概要説明の例で見た通り、
このmethod()を実行したかったら
まずClassAをインスタンス化してからメソッドを呼ぶ必要がありますね。

// 通常
$classA = new ClassA();
$classA->methodA();

それを、このような形で呼び出せるようにしていきます。

// ファサード利用
FacadeClassA::methodA();

サービスコンテナに登録

ファサードとして利用したいクラスは、
サービスコンテナに登録します。1

/app/Providers/AppServiceProvider.php
public function register() {
    app()->bind('classA', ClassA::class);
}

このコードは、ファサードを利用する前ならどこに書いても問題ないですが、
通常はサービスプロバイダに書きますね。

ファサードクラス作成

次に、ファサードクラスを作ります。

FacadeClassA.php
use Illuminate\Support\Facades\Facade;

class FacadeClassA extends Facade
{
    protected static function getFacadeAccessor()
    {
        return 'classA';
    }
}

ポイントは3つだけです。

  • Illuminate\Support\Facades\Facadeをextendsすること
  • getFacadeAccessor()メソッドを定義すること
  • サービスコンテナに登録してあるキーワードをreturnすること

呼び出す

これで自作ファサードは完成です。
最初の例のように呼び出すことができます。

use App\Facades\FacadeClassA; // useする

FacadeClassA::methodA();
// methodA called!!

これで、ClassAをインスタンス化しなくても
FacadeClassAを利用することでmethodA()を実行できました。

エイリアス登録

ここまでの説明で、ファサードは利用できるようになりましたが、
通常はさらにひと手間加えたりします。

/config/app.phpaliases配列に
自作ファサードの設定を追記します。

/config/app.php
'aliases' => [
    'FacadeClassA' => \App\Facades\FacadeClassA::class,
]

このエイリアス登録を行うことで、
先ほどの呼び出し方法から
use App\Facades\FacadeClassA;このuseが不要になります。

そして、
FacadeClassA::methodA();

\FacadeClassA::methodA();
この様に頭に「\」を1つつけるだけで
呼び出すことができるようになります。

インスタンス化の手間を削減

長ったらしい名前空間を記述する手間削減
っていうことですね。

ファサードの仕組み

\FacadeClassA::methodA();

この様なコードで、
どうやってClassAmethodA()が実行されているのか、
ファサードの仕組みを見てみます。

FacadeClassAmethodA()がstaticメソッドとして呼ばれている状態ですが、
FacadeClassAの中にはmethodA()は存在しません。

FacadeClassA.php
class FacadeClassA extends Facade
{
    protected static function getFacadeAccessor()
    {
        return 'classA';
    }
}

その親クラスである
Illuminate\Support\Facades\Facadeを見てみます。

すると、一番下にこのメソッドがあります。

Facade.php(重要箇所のみ抜粋)
public static function __callStatic($method, $args)
{
    $instance = static::getFacadeRoot();

    return $instance->$method(...$args);
}

この__callStatic()は、
PHP自体が持っているマジックメソッドで
「クラスに存在しないメソッドをstaticに呼び出したときに実行される」
というメソッドです。
$methodには呼び出そうとしたメソッド名が入っています)

つまり、
FacadeClassAに存在しないmethodA()をstaticに呼び出そうとしたので、
この__callStatic()が実行されることになります。

$instance = static::getFacadeRoot();の中を見てみます。

Facade.php
public static function getFacadeRoot()
{
    return static::resolveFacadeInstance(static::getFacadeAccessor());
}

ここで、FacadeClassAに自分で実装したgetFacadeAccessor()が実行されています。
getFacadeAccessor()は文字列classAを返すので、
この様な形になります。

Facade.php
public static function getFacadeRoot()
{
    return static::resolveFacadeInstance('classA');
}

 
さらにこのresolveFacadeInstance()の中を見てみます。

Facade.php(重要箇所のみ抜粋)
protected static function resolveFacadeInstance($name)
{
    return static::$app[$name];
}

$nameには先ほどの文字列classAは入っています。
$appには、サービスコンテナが入っているので、
この1行では
return app()->make('classA');と同じ意味と思って大丈夫です。

サービスコンテナを利用してClassAをインスタンス化しています。

最初の__callStatic()に戻ってみましょう。

Facade.php(重要箇所のみ抜粋)
public static function __callStatic($method, $args)
{
    $instance = static::getFacadeRoot();

    return $instance->$method(...$args);
}

今見た通り、getFacadeRoot()の先では
ClassAをインスタンス化して返却していましたので、
$instanceにはClassAのインスタンスが入っています。

$methodにはmethodAという文字列が入っているので、
return $instance->$method(...$args);
この一行でClassAのmethodA()を実行しているのが分かります。

\FacadeClassA::methodA();

この様にファサードとして実行されると、
内部では
__callStatic()が呼び出され、
getFacadeAccessor()で定義したキーワードでClassAをインスタンス化し、
そのClassAのmethodA()を実行していた
ということが分かりました。

既存ファサード

今回はファサードの仕組みを学ぶために
ファサードクラスを自作しましたが、
Laravelがもともと用意してくれている便利なファサードクラスがたくさんあります。
Laravel 6.x ファサード:ファサードクラス一覧

\Auth\DBなどファサードとして利用したことがある人も多いと思います。

おわりに

Laravelドキュメントによると、
ファサードのメリットはこのように書かれています。

1つ目。

ファサードにはたくさんの利点があります。自分で取り込んだり、設定したりする必要があり、長くて覚えにくいクラス名を使わずに、Laravelの機能を簡素で覚えやすい文法で使ってもらえます。

これは、本記事でも言及しました。
いちいちインスタンス化しなくてもいいという点と、
エイリアス登録することで長いクラス名を省略できる
っていうところですね。

2つ目。

その上に、PHPの動的メソッドのユニークな使用方法のおかげで、簡単にテストができます。

このテストでの利点については
僕自身がまだ実際に経験していないので
今後チェックしていきたいところです。

 
 
そして、デメリットについても言及されています。

しかしながら、ファサードの使用にはいくつか気をつけるべき点も存在します。ファサードの一番の危険性は、クラスの責任範囲の暴走です。

ファサードが簡単で便利すぎるから、
ついつい1つのクラス内でいろんなファサード使いまくりがち。
そうするとクラスの責任範囲が大きくなりすぎて危険だよ。
っていう話ですね。

今回解説したファサードの仕組みと、
上記のメリットデメリットをしっかり把握したうえで
ファサードを活用していきたいです。

Laravelのちょっと深いところを理解していきたいと思っている方、
これらの記事もおすすめですので是非読んでみてください。
(次に進む前に、LGTMしてもらえるとうれしいです)
魔法のようなLaravelも素のPHPに始まり素のPHPに終わる。Laravelのライフサイクルを簡単に解説。
【Laravel】サービスコンテナとは?2つの強力な武器を持ったインスタンス化マシーン。簡単に解説。
【Laravel】引数でタイプヒントしただけでインスタンスがもらえるのはなぜ?Laravelの魔法を解明してみる。
【Laravel】ファサードとは?何が便利か?どういう仕組みか?

  1. サービスコンテナに登録しなくてもgetFacadeAccessor()でそのままクラス名を返せば利用可能ですが、通常はサービスコンテナに登録することが多い
     

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