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これ一つで全てが理解できる Slack ワークフローの基礎と実践

Last updated at Posted at 2025-12-14

N 高グループ・N 中等部・N Code Labo Advent Calendar 2025 15日目の記事です

探せばすぐ出ると思いますが 第 4 期生徒会役員 をやっています
学園生には私のプロフィールを渡した上で本記事を読んでいただければと思います
https://n-highschool.slack.com/team/U06NJCN81SA

そして今日は私の誕生日です
9 月から発足した第 4 期生徒会役員として色々なこともありましたが、16歳という年齢で過ごした一年はとても楽しかった です

はじめに

生徒会の運用で Slack を使っていると、問い合わせが増えるにつれて「誰が担当するか分からない」「返信漏れが起きる」「進捗が追えない」といった問題が出てきました

最初は普通にチャンネルで問い合わせを受けていたんですが、件数が増えるにつれて管理が破綻しかけたので、Slack のワークフローとリストを組み合わせてチケット管理システムを作りました

この記事では、Slack のワークフローの基本から、実際に 問い合わせをチケット化して管理する方法 まで、生徒会で運用してみて分かったことをまとめます

目次

  • ワークフローでできることを最初に全部俯瞰する

  • まず押さえる基本

    • ワークフローの構造
    • トリガー
    • ステップ
    • 変数
    • 権限と管理
  • 実務で詰まりやすいポイント

    • うまく動かない原因の切り分け
    • 設計で事故を防ぐ
  • 実践編

    • 問い合わせをチケット化する全体設計
    • Slack リストの設計
    • ワークフローを組み立てる
    • 運用ルール
    • 改善の回し方
  • 目的別レシピ集

ワークフローでできることを最初に全部俯瞰する

Slack のワークフローは、雑に言うと「Slack 内のイベントやクリックをきっかけに、決めた手順を毎回同じ形で実行する仕組み」です

できることの代表例

  • フォームを出して入力を集める

    • 企画申請、問い合わせ、レビュー依頼、欠席連絡、相談窓口など
  • 入力結果を、決まった場所に自動で流す

    • チャンネルに投稿
    • スレッドに投稿
    • DM で通知
  • 情報を「作業対象」として管理する

    • Slack のリストにアイテムを作る
    • リストのステータス更新に反応して通知する
  • 条件でルートを分岐させる

    • 緊急なら #urgent へ、通常なら #triage
    • 委員会ごとに通知先を変える
    • 相談内容の種類で担当を変える
  • 外部サービスとつなぐ

    • Google Sheets や Google Calendar、GitHub、Jira などのコネクターで開始したり、更新したり
    • Webhook で外部の出来事からワークフローを開始する

「フォーム + 通知」だけでも強いですが、リストと組み合わせる と「入力が流れて終わり」ではなく、管理できる状態 になります

まず押さえる基本

ワークフローの構造

ワークフローは基本的に次の 2 つでできています

  1. トリガー

    • 何をきっかけに開始するか
  2. ステップ

    • 開始したあとに何をするか

ここに 変数 が加わると一気に強くなります

  • フォームの回答
  • トリガーの情報
  • リストアイテムの情報

これらを「変数」として受け取って、次のステップに差し込めます

トリガーについて

Slack のワークフローは、開始方法が重要です
設計の 8 割は「どのトリガーを選ぶか」で決まると言っても過言ではありません

代表的なトリガー

1. リンクから開始

  • チャンネルに貼ったリンクや、ショートカットのボタンから開始
  • 使いどころ
    • 申請フォーム
    • 問い合わせフォーム
    • 毎回人が押す必要のある開始点

2. スケジュールで開始

  • 毎日、毎週など定期実行
  • 使いどころ
    • 週次の進捗リマインド
    • 締切前の催促
    • 定期レポート

3. 絵文字リアクションで開始

  • 特定の絵文字が付いたら開始
  • 使いどころ
    • :white_check_mark: が付いたらタスク化
    • :rotating_light: が付いたら緊急フローへ

4. キーワードで開始

  • 特定のキーワードに反応して開始
  • 使いどころ
    • よくある質問への自動回答
    • 「緊急」「至急」などの言葉が含まれる投稿でアラート
    • 特定ワードでサポート担当へ振り分け

5. チャンネル参加で開始

  • 誰かがチャンネルに入ったら開始
  • 使いどころ
    • オンボーディング
    • 自己紹介依頼
    • チャンネルの使い方案内

6. リストのアイテム更新で開始

  • リストのアイテムが更新されたら開始
  • 使いどころ
    • ステータスが変わったら通知
    • 担当が入ったら担当者へ DM
    • 期限が入ったらリマインドを組む

7. Webhookで開始

  • Slack 外部から HTTP リクエストで開始
  • 使いどころ
    • Web サイトの監視
    • 学内システムの更新通知
    • 自作ツールからの通知

8. コネクターのイベントで開始

  • 外部サービスのイベントで開始
  • 使いどころ
    • GitHub で Issue が立ったらチケット化
    • Google Forms の入力を Slack に流す

トリガー選びのコツ

  • 申請・問い合わせ は「リンクから開始」

    • 誰がいつ押すか分かりやすい
  • 状態変化に反応 するなら「リスト更新」

    • チケット運用の核になる
  • 人が忘れるやつ は「スケジュール」

    • 週次レポートや締切
  • 現場のトリアージ は「リアクション」

    • 手触りが良い

ステップについて

ステップは「実行する動作」です
生徒会の運用でよく使っているのは次のカテゴリです

1. フォーム

  • フォームを表示して入力を集める
  • ここで集めた内容が 変数 になります

フォーム設計のコツ

  • 入力項目は「運用に必要なものだけ」に絞る
  • 迷う項目は選択式にする
  • 必須と任意をはっきり分ける

2. メッセージ

  • チャンネルに送る
  • DM で送る
  • スレッドに返信する

メッセージ設計のコツ

  • 受け手が次にやることを 1 行で書く
  • その場で押せるリンクを置く
  • 情報は「短く、でも不足しない」

3. リスト

  • リストにアイテムを追加する
  • 既存アイテムを選択する
  • アイテムを更新する

ここが「問い合わせ → チケット化」の主役です

4. Canvas

  • Canvas を作成する
  • Canvas を更新する
  • 他のユーザーに Canvas を共有する

運用ノートを自動で育てるのに向いています

5. 条件分岐

  • 条件に一致したときだけ、その先のステップを実行
  • 複数の条件を組み合わせられる

6. 外部アプリのステップ

  • Google Sheets に行を追加
  • GitHub で Issue を作る
  • Jira でチケットを作る

外部連携は強いですが、まずは Slack 内完結で設計するのが分かりやすいです

変数について

ワークフローが「自動化」になるか「ただの定型文」になるかは変数で決まります
ここが理解できると、ワークフローの設計がグッと楽になります

変数はどこから来るか

  • トリガー由来

    • 誰が開始したか
    • どのチャンネルからか
    • どのメッセージか
  • フォーム回答

    • テキスト
    • 選択肢
    • メンバー
    • 日付
  • リスト由来

    • アイテムのリンク
    • ステータス
    • 担当者
    • 期限

変数を使うと何が嬉しいか

  • フォームの「相談内容」を、そのままチケット本文に入れる
  • 申請者の名前を自動でメンションする
  • 期限や担当をメッセージに差し込んで取りこぼしを減らす

変数の設計で大事なこと

  • 「運用で必要な情報」は必ず変数として取れる形にしておく
  • 後から必要になる情報を見積もって、最初からフィールドを用意する
  • ただし、入力項目を増やし過ぎると提出率が落ちるので、迷ったら
    • 初期は少なく
    • 足りなくなったら足す

権限と管理について

ワークフローは「作って終わり」ではなく、運用で育てます
生徒会のように担当者が変わる組織では、この管理の仕組みが特に重要です

ワークフローマネージャー

  • 作成者以外にも編集権限を渡せる
  • 生徒会の運用だと「担当が変わる」ので必須

誰が使えるか

  • 実行できる人の範囲
  • コピーできる人の範囲

これを雑に広げると、同じ目的のワークフローが乱立して地獄になります

変更管理

  • トリガーは公開後に変えにくい
  • 大きく変えたいときは「コピーして新しい版」を作る

名前の付け方

  • 迷わない命名は運用コストを下げます

おすすめの形式

  • 【用途】 + 【対象】 + 【動作】

  • 問い合わせ 受付フォーム
  • 企画 申請フォーム
  • チケット ステータス更新通知
  • チケット 期限リマインド

実際に詰まったポイント

運用していて「あれ?動かない」となったことを共有します

うまく動かない原因あるある

  • 実行権限がない
  • トリガーの対象チャンネルが違う
  • フォームの項目が更新されて変数が消えた
  • リストのフィールド名を変えてマッピングが崩れた(これは何回かやらかしました)

設計で事故を防ぐ

最初に全部やろうとすると失敗します

  • まず「人がやりたくない作業」を 1 つだけ自動化する
  • その後で分岐や外部連携を足す
  • いきなり全部やると、誰も理解できない状態になる

実践編:問い合わせをチケット化する

ここからが本題です
「Slack で問い合わせを受ける」だけなら簡単なんですが、それだと

  • 返信漏れ
  • 担当不明
  • 進捗が追えない
  • いつ終わったか分からない

という問題が出てきました
生徒会で実際にこれで困ったので、Slack のリストワークフローを組み合わせてチケット管理の仕組みを作りました

全体設計

登場人物

  • 起票者

    • 問い合わせフォームを提出する
  • 起票共有者

    • 起票者が共有したいメンバー
  • 担当者

    • デジタル委員会代表(固定)

流れ

実際に運用している流れです

  1. 起票者がフォームを提出
  2. 自動でリストにチケットが作られる
  3. チャンネルに通知が投稿される
  4. スレッドに詳細が投稿される(担当者がアサインされる)
  5. 起票者に受付完了 DM が送信される
  6. 担当者がスレッドで対応
  7. 担当者が「担当者による完了」ボタンを押す
  8. 完了報告フォームが表示される
  9. リストが更新される
  10. スレッドにクローズ通知が投稿される
  11. 通知メッセージに完了の絵文字リアクションが追加される

Slack リストの設計

リストは「問い合わせ台帳」として使います
デジタル委員会で実際に運用しているリストを例に紹介します

リスト名の例

  • デジタル委員会 問い合わせチケット

実際に運用しているフィールド

実際に運用してみて設計したフィールドです

  • ケース番号

    • 自動採番される ID
  • タイトル

    • 一瞬で判断できる短いタイトル
  • カテゴリ

    • 対応依頼
    • 確認依頼
    • 操作依頼
    • 質問
    • その他
  • 詳細

    • フォームの本文(リッチテキスト対応)
  • 関連 URL

    • 関連資料などの URL
  • 優先度 / 回答期限

    • 低 - 1 週間以内
    • 中 - 3 日以内
    • 高 - 明日まで(至急)
  • 起票者

    • メンバー型(自動設定)
  • 起票共有者

    • 共有したいメンバーを複数選択可能
  • ステータス

    • 完了
    • 保留
    • 取消
  • 作業内容

    • 完了報告の内容

ビューを作る

  • トリアージ用

    • ステータスが新規だけ
  • 担当者別

    • 自分の担当だけ
  • 期限が近い

    • 7 日以内
  • 完了

    • 完了だけ

ビューが揃うと、管理が「気合」ではなく「仕組み」になります

ワークフロー1:受付フォーム → リストにチケット作成

目的

  • 申請者が迷わず問い合わせできる
  • 情報が不足しない
  • 自動でチケットになる

トリガー

  • リンクから開始
    • チャンネルに固定メッセージ
    • チャンネルのブックマーク
    • Canvas にリンク

ステップ構成

実際に運用しているステップです

  1. フォームを表示
  2. リストにアイテムを追加
  3. チャンネルに通知
  4. スレッドに詳細を投稿
  5. 起票者に受付完了 DM

1. フォームの項目例

実際に運用しているフォームの項目です

  • カテゴリ(必須)

    • 対応依頼 / 確認依頼 / 操作依頼 / 質問 / その他
  • タイトル(必須)

    • 短くわかりやすく
  • 詳細(必須)

    • できるだけ具体的に記述(リッチテキスト対応)
  • 関連 URL(任意)

    • 関連資料などがあれば URL を記入
  • 優先度 / 回答期限(必須)

    • 低 - 1 週間以内 / 中 - 3 日以内 / 高 - 明日まで(至急)
    • デフォルトは「低 - 1 週間以内」
  • 起票共有者(任意)

    • 共有したいメンバーがいれば指定

2. リストにアイテムを追加

  • カテゴリ → カテゴリ
  • タイトル → タイトル
  • 詳細 → 詳細
  • 関連 URL → 関連 URL
  • 優先度 / 回答期限 → 優先度 / 回答期限
  • 起票者 → 起票者(自動設定)
  • 起票共有者 → 起票共有者
  • ステータス →「完了」(初期値)

ポイント

  • フォームとリストのフィールド名を揃えるとマッピングが楽
  • フィールド名を後から変えると崩れやすいので慎重に

3. チャンネルへ通知

実際の通知メッセージ例

新しいお問い合わせが送信されました
カテゴリ:{カテゴリ}
ケース番号:{ケース番号}
優先度 / 回答期限:{優先度 / 回答期限}

起票者
{起票者} {起票共有者}

タイトル
{タイトル}

この通知を投稿することで、後から追いやすくなります

4. スレッドに詳細を投稿

スレッドに詳細情報を投稿します

タイトル
{タイトル}

詳細
{詳細}

関連 URL
{関連 URL}

アサイン担当者
{担当者}

優先度 / 回答期限
{優先度 / 回答期限}

ボタン:[担当者による完了]

このスレッドで担当者とやり取りができるようになります

5. 起票者へ受付完了 DM

DM 例

デジタル委員会代表への連絡を受け付けました!
ケース番号は「{ケース番号}」です
下記のリンクから起票内容をご確認ください
{チャンネル投稿へのリンク}

ここは意外と重要です
自分だったら「ちゃんと届いてるか不安」になると思い、受付完了の DM を追加しました
これだけで問い合わせの質が上がったと感じています

ワークフロー2:完了報告

担当者が「担当者による完了」ボタンを押したときに起動するワークフローです

トリガー

  • ボタンクリック(インタラクティブコンポーネント)
    • スレッドの「担当者による完了」ボタン

ステップ

1. 完了報告フォームを表示

  • 作業内容(必須)

    • リッチテキストで作業内容を記入
  • ステータス(必須)

    • 完了 / 保留 / 取消
    • デフォルトは「完了」

2. リストを更新

フォームの内容でリストアイテムを更新します

  • 作業内容 → 作業内容
  • ステータス → ステータス

3. スレッドにクローズ通知

本件はクローズされました
本件を再開することはできませんが、同様の会話をご希望の場合はケース番号「{ケース番号}」を添えて新規起票してください

4. 完了の絵文字リアクションを追加

チャンネルの通知メッセージに絵文字リアクション(:white_check_mark:)を追加して、完了したことを視覚的に分かりやすくします

ちなみに、完了絵文字には「いらすとや」の 「済」スタンプ を使うのも雰囲気が出ておすすめです!

リスト側の自動化も使う

リストには「リスト内で設定できる自動化」があります
最初は全部ワークフローで組もうとしたんですが、リスト側の自動化の方が簡単なケースも多いです

リスト側の自動化でできること:

  • フォーム回答をリストに追加
  • フィールド変更時の通知
  • 期限通知
    • 担当者へ
    • チャンネルへ
  • 期限サマリー

まずは

  • 期限通知
  • フィールド変更通知

この 2 つを入れるだけでも運用が安定しますワークフローを組む前に、リスト側の自動化を確認するのがおすすめです

運用ルール

仕組みができても、ルールがないと崩れます

最低限のルール

  • 新規は 24 時間以内に受付済みとする
  • 受付済みになったら担当が必ず入る
  • 対応中にしたら進捗コメントを残す
  • 完了にしたら完了理由を短く残す

運用ノートを Canvas に作る

  • ルール
  • よくある質問
  • 例外対応
  • 改善履歴

これを Canvas で育てると、属人化が減ります

改善の回し方

ワークフローは「最初から完璧」は無理です

おすすめの改善サイクル

  1. まず運用開始
  2. 週 1 で詰まりポイントを拾う
  3. フォームの項目を調整
  4. 通知の文章を直す
  5. 分岐を追加

「提出しやすい」と「管理しやすい」はトレードオフなので、運用しながらバランスを取ります

目的別レシピ集

1. 新メンバーのオンボーディング

  • トリガー

    • チャンネル参加
  • ステップ

    • 使い方案内
    • 自己紹介フォーム
    • まとめをチャンネル or スレッドに投稿

2. 週次の進捗回収

  • トリガー

    • スケジュール
  • ステップ

    • フォーム
    • リストに追加
    • サマリー投稿

3. 企画のレビュー依頼

  • トリガー

    • リンク
  • ステップ

    • 企画情報フォーム
    • 担当者へ DM
    • 期限設定

まとめ

Slack のワークフローは、使い方をちゃんと設計すると「連絡ツール」から「運用の OS」に変わります

生徒会で実際にこの仕組みを導入してから、返信漏れが減り、進捗が可視化され、担当者の負担も軽減されました

運用してみて学んだこと

  • まず「人がやりたくない作業」を 1 つだけ自動化する
  • その後で分岐や外部連携を足す
  • いきなり全部やると、誰も理解できない状態になる
  • リスト側の自動化とワークフローを使い分ける
  • 運用しながら改善していく

この記事のゴールは、ワークフローの機能紹介ではなく

  • どこをどう触れば
  • 何ができて
  • どう運用に落とし込めるか

を一気に繋げることでした

もし同じような問題を抱えている方がいれば、参考にしてみてください!

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