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JavaScript 最新トレンドの肝は“イミュータブル”!?

Last updated at Posted at 2025-12-01

JavaScript/TypeScript実力強化書 ―― 関数・非同期処理・型システム完全攻略』という本の執筆者が登壇したセミナーを受講した際、各セッションで繰り返し登場したのが "イミュータブル(Immutable)" というキーワード。

なぜ現代の JavaScript/TypeScript でイミュータブルが重要視されているのか?
そして、2025年のトレンドとどう関連するのか?

最新のフロントエンド技術、非同期処理、リアクティブプログラミングなどを横断しながら、イミュータビリティがなぜ注目されているのかを(AIさんにご協力いただきながら)整理していきます!


1. イミュータブルとは何か?

イミュータブルとは、状態(データ)を変更しないという設計思想のこと。
JavaScriptでは次のような書き方がイミュータブルな操作になります。

// ミュータブル(元の配列を書き換える)
arr.push(3);

// イミュータブル(新しい配列を返す)
const newArr = [...arr, 3];

昔のJSでは pushspliceのような破壊的操作、オブジェクトへの直接代入が一般的でしたが、近年のJSでは 「元の値を破壊しない」ほうが安全かつ扱いやすい 場面が増えています。

React・Redux ではイミュータブル前提の API が多く、Redux Toolkit でも Immer が採用され、イミュータブルな操作が広まりました。


2. JavaScriptでイミュータブルが重要になる理由

理由①:React などの“再レンダリング最適化”と相性が良い

React には、 UI の差分を効率的に検知するための仕組み(並行レンダリング、浅い比較(shallow comparison)など) がいくつも用意されています。

イミュータブルであれば、

  • 参照が変わった = 値が変わった
  • 差分検知がシンプルで高速
  • 不要な再レンダリングを防ぎやすい

といったメリットがあります。

※ 補足
Vue・Solid・Svelte などのリアクティブフレームワークでは、Proxy や Signals により 値をミュータブルに扱っても安全に変化を検知できる 場面が多いため、必ずしもイミュータブルが前提ではありません。


理由②:非同期・並行処理で安全に扱いやすい

JavaScript は単一スレッドですが、以下のようなケースでは状態共有のリスクが高まります。

  • Web Worker 間の共有メモリ
  • Deno/Bun の Worker pool
  • React の 並行レンダリング(読み取りフェーズの複製)

こうした “複数の処理が同じデータを参照しうる状況” では、 ミュータブルな値は思わぬ競合を生む ことがあります。

イミュータブルであれば、基本的に

  • 読み取り専用のため競合が起きにくい
  • データを扱うロジックを単純にできる

といったメリットがあります。


理由③:TypeScriptの型安全性が向上する

TypeScriptでは、as constReadonly<T> などの「不変」を前提とした構造が強化されています。

イミュータブルが型安全性を向上させる理由として以下があげられます:

  • 状態変更が追跡しやすい
  • 破壊的変更による型崩壊を防げる
  • 副作用の範囲が小さくなり、型推論がより強く働く
  • 再帰的 readonly など複雑なデータ構造の安全性が高まる

理由④:サーバー側で状態を管理する流れが強まっている

近年増えている以下のアーキテクチャは、状態管理の透明性が重要です:

  • React Server Components
  • Next.js Server Actions
  • Remix / SvelteKit の loader / action

これらは

  • クライアントに複雑な状態を持たせない
  • サーバーから返る値が“そのまま状態”になる

という流れが強まっています。

その結果、 状態遷移がより明確であることが価値になり、イミュータブルが役立つ場面が増える というわけです。


3. イミュータブルは“思想”

2025年のJavaScriptでは、イミュータブルは単なるテクニックではなく、アーキテクチャ的な価値観として扱われつつあります。

  • React(コンカレンシー)
  • Zustand / Recoil / Jotai などの状態管理
  • Immer(構造的共有)
  • Signals
  • 関数型プログラミング的アプローチ

これらを結びつけている共通点は 共有状態の複雑さを減らし、安全で予測可能なデータフローを維持すること です。


4. JavaScriptでイミュータブルを実現する実践パターン

パターン①:スプレッド構文で新しい値を作る

const newUser = { ...user, name: "Alice" };

パターン②:配列を非破壊で扱う

const updated = items.map(i => ({ ...i, done: true }));

パターン③:ECMAScript 2023の新メソッド

// toSorted() - ソート
const sorted = arr.toSorted((a, b) => a - b);

// toReversed() - 反転
const reversed = arr.toReversed();

// with() - 要素の変更
const newArr = arr.with(1, 'new value');

// toSpliced() - 挿入・削除
const spliced = arr.toSpliced(1, 1, 'inserted');

これらのメソッドは、 従来の破壊的メソッド(sort, reverse, splice)の "イミュータブル版" として追加され、 配列操作の副作用を避けるための標準手段 として広く推奨されつつあります。

パターン④:Immerで“破壊的に書けるのにイミュータブル”

import { produce } from "immer";

const next = produce(state, draft => {
  draft.count++;
});

Immerは構造的共有(Structural Sharing)を採用しており、部分的な変更でも全コピーを避けつつ効率的にイミュータブルを実現します。


5. ミュータブルが問題になるケース

function addItem(cart, item) {
  cart.push(item); // 元のオブジェクトを変更してしまう
}

このような関数を複数コンポーネントで共有すると…

  • "どこで値が変わったか" が不明になる
  • 不要な再レンダリング、予期しないタイミングの再レンダリングが起きやすい
  • 並行処理中にレースコンディションが起きうる

とはいえ、ローカルスコープの一時変数や計算途中のデータなど、ミュータブルのほうが実用的な場面もあります。

イミュータブルとミュータブルは “使い分け”が重要 です。


6. まとめ:イミュータブルは2025年のJSトレンドを読み解く鍵

React の進化、Signalsの普及、TypeScriptの型強化、Server-firstの潮流——
ここ数年のJavaScriptトレンドを振り返ると、背景には「状態をどう扱うか」という共通テーマが存在します。

イミュータブルは、そのテーマを理解する際のひとつの重要な視点だと思います。

もちろん、すべてのケースでイミュータブルを採用する必要はないですが、

  • どこを変え
  • どこを変えないのか

を意識することで、コードの見通しは良くなります。

そのため、昨今のJavaScript/TypeScriptを理解するうえで、イミュータブルはひとつの重要なキーワードになりそうです。


参考

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