はじめに
人は情報構造で出来ていると言っても、信じる人は多くないでしょう。
肉体は完全に物理構造なのですから。
しかし、例えば人が自己紹介をするとします。
そこで紹介される内容は肉体の物理構造の説明ですか?違いますよね。
人が自己紹介で説明するのは名前や住所や年齢といった自己の持つ情報構造です。
つまり何が言いたいのかと言うと
人の本質は物理構造を基にした情報構造だということです。
名前を名乗るということは、実は高度な情報構造の提示なのですが、
人はそのことが当たり前すぎて気づいていません。
肉体(物理)をパソコンだとするならばOSに当たるのが人の持つ自我(情報)の部分です。
自己紹介でもわかるように、人は無意識のうちに自分が情報構造だと言うことを
知っています。ですがその理解が曖昧なままなのです。
情報構造を理解することで、より高度なセキュリティ設計が可能になります。
情報構造の仕組みを応用することで、今までにはないセキュリティ上の
防御力を出すことが出来るのです。
人が情報構造で成り立っているならば、やり取りは全て情報を扱っているということになります。そこに矛盾は無いのでしょうか?
人と人とかコミュニケーションを取るのは、情報の交換だと言えます。
人が本を目で読んで内容を理解し、その情報を実行に移す。
これらはいずれも、情報を受け取り解釈され行動に移される過程です。
以上の事から人は情報で成り立っていると言えるのではないでしょうか。
情報構造のない物質はありません
もっと言うならば、物質には必ず情報構造がついています。
情報のない物質は存在しません。
私たちは太陽の光が届くときも熱を感じる前に太陽という情報(構造)
を光で受け取っています。物理で私たちが認識するのは、まず情報が先に光で届いて、
遅れて太陽が生み出す熱や力が届くのです。
その受け取った情報構造を解析すれば太陽の持つ構造も理解できる仕組みです。
ポイントは熱や力よりも情報(光)のほうが速く届くということです。
リンゴを例に考えてみましょう。
リンゴが1つあったとします。それを半分に割ったとしましょう。
リンゴが2つになったのは物理構造が先か情報構造としてが先かどちらだと思いますか?
言葉で遊んでいるように見えますが実は、
2つに分かれたとなるのは、情報として2つに分かれた状態になり、
リンゴの本人性(名前)が2つに分かれた時に決まるのです。
情報が2つに分かれたと成立しない限りは、
それは分割状態になった1つのリンゴままなのです。
情報構造は物理よりも先にリンゴが2つになったと成立できているのです。
2つになったリンゴは最早よほどの事がない限りは元の1個のリンゴには戻れません。
そして2つに割れたリンゴには割られた断面という隠しようのない情報が残るのです。
例えば、物理現象を解析したとするでしょう。そこであがってくるデータは一見すると物理データにみえるかもしれません。しかし、そのデータが持つ情報の本質は情報構造のデータなのです。
つまり、物理と思っていた現象を数値化した時点でその物理がもつ情報構造にアクセスしたのです。
では、人は物質がもつ情報構造を扱えているのではないかと考えるかと思います。
しかし、人間が受け取る情報構造は人間の五感あるいは計測器によって抽象化された上で、
その情報を受け取っているだけです。
情報構造を正確に読み取るためのプロトコルを人はまだ持っていません。
物質が持っている情報構造の一部しか解析できていないのです。
なぜなら、人はまだ物質が情報構造を持っているという定義に至っていないからです。
本人性とはなにか
では情報構造とはいったい何なのでしょうか。詳しく分析してみます。
情報構造には「本人性」というものがあります。
本人性とは情報構造が誰のものであるかを決める大事なものです。
誰のものかわからない情報構造は存在しないので特に重要なものであると言えます。
名札のついてない情報構造は成立しないのです。
運転免許証を例に本人性とそれに付属する権限と認証の3つの役割を説明してみます。
本人性 = 氏名・生年月日・顔写真 といった本人を表すもののことです。
権限 = どんな車なら運転してもいいよ という運転する資格を表すものです。
認証 = 警察官などに免許の提示をする行為。これだけが外部的とも言えます。
大事なのは、どれか1つだけでは意味がないという事です。
3つを組み合わせると運転免許になるのです。
運転免許は本来は1つのものと扱われますが本当は3つの構造の集合体なわけです。
本人性も本人を表すものですが、他の要素と組み合わせなければ、
ただの名札でしかありません。
ですが、権限も認証も本人性を基点として成立するものであるのは間違いないのです。
運転免許証というものは情報構造を良く表しているものの代表例だと言えます。
運転免許証というものが存在する時点で、情報構造を人は社会的な基盤に組み込んで
無自覚で使っていることの証明でもあるとも言えます。
先ほど、情報構造はセキュリティにも使えると言いましたが、仕組みは簡単です。
これはイメージですが、
1つにまとまってる本人性と権限を物理的に切り離せばいいのです。
物理的に分離してしまえば、もはや使いものにならないと普通は考えますが、
使いたい時だけ瞬間的に繋いで使えばいいのです。
繋いだ時を狙われない工夫や、今はゼロトラスト的な、どれも信用しないといった仕組みが
必要にはなりますが、本人性と権限を物理的に切り離すのはかなり有効な手段です。
物理的に切り離してしまえば計算量をどれだけ上げようがほぼ無意味ですから、
量子コンピューター時代にも対応ができていると言えると思います。
あとは分離して繋いでもユーザーが不便を感じなくて済む仕組みが必要になるだけです。
これがトラストアーキテクチャへの道だと思います。
実は、本人性は情報構造では物理における電子に似た性質を持ちます。
本人性は電子と同じように瞬間的に変わることはあっても、
その固有の構造を失わずに同一性を維持するという性質を持ちます。
つまり、電子と同じように情報構造の構造的な性質が本人性の同一性を保つのです。
逆に言えば本人性と言う性質を好きなように変化させて使うことも出来ないのです。
電子と本人性は似た性質を持ちますが、電子は多数が存在しても成立するのに対して、
本人性は一つの情報構造に対して1個で足ります。
複数作ると構造の違う、つまり情報構造が何個もできてしまい単一の構造としては
破綻するのです。
物理構造に本人性が1つなのではなく、
情報構造に対して1つだけ本人性が成立する性質です。
この性質を利用すればコピー不可能な情報構造をも作れるのではないでしょうか。
電子が特定の軌道(場)を持つように、本人性もまた『権限』という軌道を持つことで、初めて具体的な認証という現象として現れます。この場合の認証の役目は外部に現象を提示することです。
情報は常に動的に変化しますが、本人性は瞬間的に変わっても本人性である本質を維持します。
本人性・権限・認証の3つの関係は物理の電子・軌道・観測に近いものと考えられます。
本人性と権限の関係は、合意あるいは最小単位での認証に近い状態ではないかと
考えられます。
情報構造はブラックホールの中でもない限り単独では存在できないものと思われます。
そのために必ず必要になるのが物理構造つまりハードウェアです。
紙であれ肉体であれ、器が無ければ情報構造は存在できないと言うことになります。
ですが、物理から分離された情報構造が光に載って飛んでくる例外はあります。
このことから情報の伝達における情報を運搬できる
最小単位は光(光子)なのかもしれません。
最後に
情報構造とは存在するのをまだ認められていない存在です。
ですが、人の五感の全ての感知は情報としてのやりとりなのですから、
人が無意識の内に使っているのも確かです。
情報構造は目には見えませんが、我々の行動や会話といったところに常に現れます。
逆に情報構造が存在しないと証明することもできません。
探しても「見つからない」という事実自体が、「何もない」という情報になるからです。
このことが、情報構造の存在を示す最も基本的な証明といえます。
起こっている現象が見えなくても感じることはできるのです。
情報構造とは、実体ではなく起こっている事のルールそのものです。
各分野で情報構造があることは薄々気づかれ始めてはいます。
そう考えるとこれはまだ広く認知されていない
最先端の話題だったと言えるかもしれません。
しかし、物理には情報構造が伴うという定義にすると大問題になるのも事実です。
情報が先か物理が先かは正直どちらが先でも構わないのです。
大事なのは、だとすれば無意識に我々が使っているこの構造は
いったい何なのか?という事ではないでしょうか。
我々が進化するための基礎の基礎の部分として
情報構造とはなんなのかを掘り下げる価値はあるのではないでしょうか?
以下は、この情報構造を使った認証システムの概要です。
認証という具体的な応用例を通して、本文で説明した情報構造を使ったセキュリティ設計で、どのように攻撃を無効化するのかなどを書いています。
https://qiita.com/milnuma/items/638b95758f9406ef2bac
※この記事はZENNにも同内容を掲載しています。
