この記事は何か
pythonのモジュールであるmiepythonを動かしながら、光の散乱の理論とmiepythonの使い方を学ぼうとしています。
誤りなどあれば指摘ください。
今回は複素屈折率について。
複素屈折率とは
- 光がある媒質(真空、空気、水 など)を通った時の変化を複素数で示したもの
$$
m = m_{real} - m_{imag}j
$$
- $m_{real}$ は実部を、$m_{imag}$は虚部を示す
- 複素数の実部は光の位相、虚部は光の振幅に影響
- 真空においては、$1+0j$になる
- 実部が1より大きいときには、一定の距離を進んだときの位相の進みが真空より多くなる
- 光がz進んだ時の位相の進みは実部に等しくなる→光が実部の割合だけ遅くなる
- 虚部が0でないときには、光が減衰する
複素波数とは
-
波数を複素数で表現したもの
$$
k = k_{real} - k_{imag}j
$$ -
複素屈折率と同様に、位相と減衰を実部と虚部で表現する
-
下式で波(光を電磁界と見た時の電界)を表現した時に、3行目の真ん中の部分で示される通り、波が進むにしたがって、$k_{imag}$により減衰していく
$ε_{0}e^{(j(ωt-kz))}$
$ = ε_{0}e^{(j(ωt-(k_{real} - k_{imag}j)z))}$
$ = ε_{0} × e^{(-k_{imag}z)} × e^{(ωt-k_{real}z)}$
$ε_{0}$: 初期振幅
ω:角周波数
z:進行距離
複素波数と複素屈折率の関係
複素波数と複素屈折率は互いに変換可能
$$
k =\frac{2π}{λ_{vac}} m
$$
$$
k_{real} - k_{imag}j = \frac{2π}{λ_{vac}}(m_{real} - m_{imag}j)
$$
vac:真空中の波長
※$\frac{2π}{λ_{vac}}$は真空中の波数
真空中の波数に屈折率をかけると媒質中の波数になる
複素屈折率と複素波数の関係においてもこれは同じ
光エネルギの距離による減衰はどうなる?
- 光エネルギの距離減衰を示す式は以下の通り
- $E_{0}(e^{(-k_{imag}z)})^{2} = E_{0}(e^{(-2k_{imag}z)})$
- このため、距離に対して$2k_{imag}$の速さで減衰するといえる
- $μ_{a} = 2k_{imag} = 2\frac{2π}{λ_{vac}}m_{imag} = \frac{4π}{λ_{vac}}m_{imag} $
$μ_{a}$: 距離減衰率。これがAbsorption Coefficient(吸収係数)
つまり、エネルギ次元で、$E = E_{0}e^{(-μ_{a}z)}$となる
距離減衰の例
参考には、水の吸収係数を波長と複素屈折率の虚部から計算するコードの例がある
以下はちょっとアレンジして5um以下の部分を表示したもの
2.9umあたりに吸収体があることがわかる

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参考
