2025年、MySQLは30周年を迎えました。長い歴史を持つRDBMSであるMySQLに 「AI を内包する」 という大きな変化が起きました!
本記事では、Oracle AI World 2025 で発表されたMySQL AI、MySQL Studioについてざっくり整理します![]()
なぜ今「MySQLにAI」なのか
各業界で生成AIの活用が進む一方で、現場では次の課題に直面しています。
- AI が参照すべき 企業内データが散在している
- ベクトルDB、外部ストレージ、ML 基盤など複数ツールの組み合わせによる運用負荷
- セキュリティ・権限・データをパブリッククラウドに持ち出すことへの懸念
結果として、
「PoCはやったけど本番運用に耐えられない…」
というケースを見てきた方もいらっしゃるかもしれません。
MySQL AI は、このような課題に対して
「データ管理の中心である MySQL にインテリジェンスを組み込む」
というアプローチを取っています。
MySQL AI とは何か
MySQL AI は、
- MySQL Enterprise Edition の追加オプション
- プラグインとして MySQL Server に組み込まれる
- GenAI / ベクトル検索 / AutoML / NL2SQL を DB 内で提供
という位置付けです。
重要なのは、「外部 AI サービスの単なるバックエンドではない」という点です。
MySQL AI が提供する「DB 内完結型インテリジェンス」
MySQL AI は、VECTOR型、RAG、AutoML、NL2SQL といった複数のAI/ML 機能を提供していますが、重要なのは、「MySQLの中でどこまで完結できるか」 という点です。
MySQL AIは、ドキュメントのロード、ベクトル生成、類似検索、生成 AI へのコンテキスト提供、さらには予測分析や自然言語による問い合わせまでを、MySQL 内に集約できます。
その結果、次のような運用上のメリットが生まれます。
- データを外部サービスに持ち出さずに AI 活用が可能
- 既存の MySQL 権限・監査モデルをそのまま適用できる
- 障害発生時の切り分けや責任範囲が明確
AutoML × GenAI:予測結果を“説明できる”形にする
MySQL AIのML機能(AutoML) は、予測分析向けの ML モデルを MySQL上のデータを使用してトレーニングさせることができます。このモデルにGenAIを組み合わせることで、AutoML が抽出・予測した結果をGenAI が文章として説明・要約・レポート化するといった活用が可能になります。
例えばログ分析では、
MySQL Studio:MySQL AIの実行GUI
MySQL AI の多くの機能は、ブラウザベースのGUI 「MySQL Studio」 から利用できます。
- AI Chat
- SQL Workshop
- ドキュメントのロードと問合せ
- AutoML / Python ノートブック
2025年11月にセミナーで実施したデモが動画 になっていますので、よろしければご覧ください。このGUIは開発ツールとしても利用できるツールだと思いますので、今後深掘りしてみたいと思います。
なお、デモ動画の中で実施しているアヤメの分類モデルを作成する手順についてはGitHubで公開しています。
もちろんMySQL Studioだけでなく、MySQL ShellやMySQL Shell for VS Codeといった既存ツールからも実行可能ですし、プロシージャを利用することも可能です。また、Claudeデスクトップ等のMCPクライアントからMySQL AIを呼び出せるMCPサーバーも公開されていますので、既存のAIアプリと連携も可能となっています。
MySQL AIの動作要件
現在は以下が前提条件となりますが、OSやLLMは今後拡張してほしいところです。
バージョン
- MySQL 9.4.1 以降
OS
- Oracle Linux 8
- RHEL 8(x86_64)
最小ハードウェア構成 (推奨)
- CPU:32コア
- RAM:128GB
- ストレージ:512GB
現在サポートされているLLM
- llama3.2-3b-instruct-v1
MySQL AIを利用するためには、有償の年間サブスクリプションライセンスが必要ですが、パブリッククラウド上でのサービスではないため、MLモデルのトレーニングや生成AIへの問い合わせといった操作回数に上限はありません。クラウド上に出せないデータを利用して持続性のある生成AI/ML活用を検討しているシステムでのMySQL AIが活用できると期待しています!
実際に試してみたい!!という方は教えてください![]()


