TL;DR
- 使い慣れたJetBrains IDEはやっぱりサイコー!
- JetBrains IDEのAI機能も堅実に改善されていてちゃんと使える (メインコンテンツ)
- 無料でこの記事の内容は試せるのでぜひこの機会にJetBrainsデビューしてほしい
はじめに
この記事は「AI エージェント機能で進化した JetBrains の開発体験をシェアしよう by JetBrains Advent Calendar 2025」の12/25の記事です。
初めまして、@miketako3と申します。一応データエンジニアという職ですが、内容的にはバックエンド中心で実質フルスタックとなっております。今回のAdvent Calendarの参考記事で紹介されている (!!) 以下の記事を書いたりしています。
新卒入社した会社でIntelliJが標準的だったこともあり、そこから7年ほどJetBrains製品を愛用しています。途中からは個人でAll Products Packを購入し、現在でも私用で使っています。
ここ最近はAIコーディングの流行でVisual Studio Codeおよびそのフォークを中心としたエディタを使うのが多数派となっています。Cursorなどは私も使っていて、AI主流のコーディングを行うのであれば優れた選択肢だと感じています。
一方で、IntelliJのショートカットキーなどのUXが手に馴染んでいる私のような人間にとっては手枷を嵌めてコーディングしているようなものです。AIに全てを任せるまではいかない現状において、自分でコードを見る、書く、管理する際の動作の節々で「あぁ…VS Code系だとこれできないのか…」という負の体験が積み重なっていきます。
もしVS Code系が完全に覇権を取ってしまったら、業務でIntelliJを使わせてもらえなくなるかもしれません。そしてかつてのAtomのように開発が止まってしまうかもしれません。それは私が困ります。とても困ります。
したがって、この記事では次のようなことをアピールしたいです。
この記事で言いたいこと
- JetBrains IDEのAI機能は過不足なくエディタ含め無料から使える
- JetBrainsと言えば有料、という時代は終わっています
- しかもちゃんと使える
- この記事のメインとして個人ツールを作ることを通してお伝えします
- この記事の内容は無料分のAIクレジットで十分動作します
JetBrains IDEの料金
JetBrainsのIDEの大半について、非商用の開発については無料で使用可能となっています。
さらに、AIエージェント機能についても無料枠が用意されており、気軽に試すことが可能になっています。
昔はIntelliJの無料版しかなかったのでその印象が強い人も多いかもしれません。試してみることをオススメします。
有料版についてはAIのProが付いてくるAll Products Packだと継続するほど安くなる料金体系です。
初年度は少し高いですが、2年目以降は概ね月換算3000円程度なので、AI系のサブスクと似たような金額感になっています。ただし、AIクレジットは$10分なので、バイブコーディングを大量に行う場合は別途AI分だけを追加購入するのが良いでしょう。
AI機能のみを使う場合はこちらになります。
逆に言えばAI Proの値段を差し引くと、IDE自体は3年目からは実質年間で1万円ちょっとです。
結構安く感じないでしょうか?
JetBrains IDEのAI機能の実力
さてメインコンテンツです。ここからはJunieを使って試しにWEBアプリケーションを作ってみます。ローカルで動く自分だけのツールをサクッと作れるのがAI
の強みですよね。
しかしただ作るだけでは面白くありません。以下の制限を加えます。
- 事前準備以外は自分でコードを編集しない
- 無料枠の1ヶ月分のクレジットで開発する
これでJunie自体の能力は測れるはずです。
作ったもの
#TODO: ここに作ったものを書く
技術スタック
PyCharm + Python + FastAPIで作ることにします。
おそらく同じくJetBrainsが開発しているKotlinを使うのが最も相性が良いのですが、JetBrains IDEを使っていない人はおそらくKotlinのコードのイメージが湧かないだろうと思い、広く使われているPythonを使うこととしました。
事前準備
Junieに動いてもらうべく事前準備をしていきます。
uv init
uv add --dev uv ruff pyright pre-commit
uv add fastapi[standard]
uv run pre-commit sample-config > .pre-commit-config.yaml
uv run pre-commit install
などを実行しつつ、AGENTS.md を整えます。
# Oh-My-Junie開発ルール
このドキュメントではOh-My-Junieの開発ルールを定義する。
## 言語
成果物は日本語で作成すること。特にコード内のコメントなどについて日本語では違和感がある場合を除き常に日本語に統一すること。
## 命名
命名は英語スネークケースで統一する。変数名や関数名は可能な限り意味のある名前を付ける。
変数名は明確でなるべく意味が狭い名前を付ける。関数名は動詞で始まり、アクションを表す名前を付ける。
## 開発フロー
1. AGENTS.mdを全て読む
2. README.mdを全て読む
3. 依頼された要件を固め、docs以下に設計資料を作成する。
4. 設計資料のレビューを受ける
5. 設計資料に沿って開発を行う
6. 開発した内容のレビューを受ける
7. コミットする
## 設計資料
以下の内容を記載すること。
- 依頼内容の要約
- 依頼内容を実現する設計
- 変更するファイルとその内容
- 依頼内容を担保するテストの内容
- レビュー結果
## 実装
実装では以下の内容を遵守すること。
- テストコードはメインコードの近くに作成すること。例えばx.pyというファイルのテストは同じディレクトリのtest_x.pyに書くこと
- コードのフォーマットはpre-commit時に自動で整えられる。
- 適切なdocstringを記載すること。
- フロントエンドのリアクティブな動きはHTMXによって実現すること。
- CSSでは!importを使わないこと
- CSSで再利用可能なものはモジュール化し可読性が高い状態を保つこと。
- UIデザインは後述のUIデザイン原則に従うこと。
- コード全体の量を最小限にすること。
- 破壊的変更は入れても良い。コードを最小限にする方が優先される。
- テストは公開インターフェースを通してテストすること。内部の実装をテストしないこと。それらを満たすリファクタリング耐性の高いテストが望ましい。
- テストではなるべくParameterizeな形式で記述し、宣言的にテストケースを管理できるようにすること。
# UIデザイン原則
## 目的
- UIは装飾ではなく、情報設計と意思決定の補助である。
- 見た目の新しさよりも、理解しやすさ・予測可能性・誤操作の防止を優先する。
- 正しい操作が自然に選ばれ、誤った操作が起こりにくいUIを目指す。
## 1. 情報設計の原則
### 1.1 読まれる順番で設計する
- 人は基本的に「上から下」「左から右」に情報を読む。
- 画面上部には「この画面の目的」と「次に取るべき行動」を置く。
- 詳細情報、補足、ログ、履歴は下部に配置する。
### 1.2 1画面に1つの主目的
- 1つの画面には、明確な主目的を1つだけ持たせる。
- 副次的な操作は視覚的に目立たせない、または別画面に分離する。
- どの操作をすべきか迷わせるUIは失敗である。
### 1.3 流れを直線的に保つ
- UIは「入力 → 実行 → 結果 → 次の行動」という直線的な流れで構成する。
- 深い階層や複雑な分岐を避ける。
- 重要な機能を不必要に隠さない。
## 2. レイアウトと余白
### 2.1 余白は意味の区切り
- 余白は装飾ではなく、情報をグループ化するための手段である。
- 関連する要素は近く、関係のない要素は十分に離して配置する。
- 余白が不足すると、情報量以上に画面が騒がしく感じられる。
### 2.2 整列を最優先する
- 一貫した整列は、視覚的な秩序と安心感を生む。
- 理由のないズレや非対称配置を避ける。
- 整っているUIは、それだけで信頼性が高く見える。
## 3. 色の原則
### 3.1 色には役割を持たせる
- 色は意味を伝えるために使い、装飾目的では使わない。
- 使用する色の役割は最小限にする:
- 構造・背景・文字用のニュートラルカラー
- 主操作を示すアクセントカラー
- 状態を示す色(成功・警告・危険)
### 3.2 色だけに意味を持たせない
- 色だけで意味を伝えない(色覚差異への配慮)。
- テキスト、アイコン、配置などと組み合わせて意味を表現する。
- モノクロ表示でも理解できるUIを目指す。
## 4. 文字と表現
### 4.1 少ないフォントで階層を作る
- 基本は1つのフォントを使い、サイズや太さで情報の階層を表現する。
- 見出し・ラベル・本文は明確に区別する。
- タイポグラフィの不統一は可読性と信頼感を損なう。
### 4.2 文言はUIの一部
- ボタンやラベルは「動作」ではなく「結果」を表現する。
- 抽象的・曖昧な言葉を避け、具体的で予測可能な表現を使う。
- UIテキストは個性よりも明瞭さを優先する。
## 5. 操作設計の原則
### 5.1 次の行動を迷わせない
- 主操作は視覚的に最も目立たせる。
- 副操作や危険な操作は、意図的に目立たなくする。
- よく使う操作の近くに破壊的操作を置かない。
### 5.2 ミスは設計で防ぐ
- 可能な限り、確認ダイアログよりも事前の抑止を優先する。
- 取り消し可能な操作(Undo、ゴミ箱移動)を基本とする。
- 一度の操作で致命的な結果が出ない設計を心がける。
## 6. 一貫性と単純さ
### 6.1 一貫性は学習コストを下げる
- 同じ意味の要素は、同じ見た目・同じ挙動にする。
- 画面ごとにルールを変えない。
- 一貫性は機能追加よりも優先される。
### 6.2 単純さを疑わない
- 要素を追加する前に、削れないかを考える。
- 「説明が必要なUI」は、設計が複雑すぎる可能性が高い。
- 迷ったら、より単純な構成を選ぶ。
## 原則まとめ
- UIは「見せる」ものではなく「理解させる」ものである。
- 色・装飾・動きはすべて意味を持つべきである。
- 迷わせない、驚かせない、壊させない。
Junie始動
ここまでの準備をするとJunieは良い仕事をしてくれます。
とりあえず最近ずっと欲しかったツールをリクエストしてみます。私は基本的にクラウドにデータを置きたいので、Macの容量は最小限にしています。したがって大きい削除すべきファイルが知りたいのですが、ちゃんとしたツールは有料なことが多いです。BraveモードとThinkingモードをオンにして作ってもらいます。
ローカルのファイルの中で容量を多く占めていて削除すべきであるファイルを特定するツールを作成してください。
出来上がったのがこちらです。
結構良さげなのですが、自分が欲しかったのはMac全体で削除すべきファイルです。そのためルートディレクトリを入力してスキャンしてみたところ固まってしまいました。
ルートディレクトリを選択したら固まってしまいました。これを解決するために大きなディレクトリから優先して探索する枝刈りを導入したいです
次はうまくいきました。どうやら画像や動画の編集ソフトが大多数を占めているようです。
しかしそれらは消せません。もう少しカテゴリ分けされつつ、削除すべきファイルがわかること状態が望ましいです。
ルートでのスキャンはできました。ただこれだと大きな動画編集用などのアプリがトップに出てしまい、「削除すべきファイルがわかるツール」としてはまだ機能が不足しています。カテゴリ分けしたり、具体的にどのファイルを削除すれば良いかわかるようにしたり、カテゴリごとの比率がわかるようにしたりすることはできませんか?
結構使えそうな気がしてきました。ただ同じアプリの内容はひとまとめにして欲しい気がします。アプリの一部だけを消すことはあまり想定していないからです。また、100件しか検索していない現状だともっと重いファイルがどこかにありそうな気がしてしまいます。それらも頼んでみましょう。
スキャン途中が激重で全部スキャンしたら表示がなくなってしまいました。こういうバグはよくありますね。修正してもらいましょう
スキャン途中が激重で全部スキャンしたら表示がなくなってしまいました。おそらく全てのファイルを表示しているのが原因です。サーバー側で上位100件とカテゴリなどの統計情報だけに絞ってフロント側で表示してください。また、スキャンが終わった時に表示がされなくなる不具合も修正してください。スキャンし終わったら最後の状態をずっと表示していて欲しいです。
良さそうですね!どうやら直近でモバイルアプリを開発していたのでシミュレータ周りが重いようです。これは仕方ないですね。
(ちなみにこんなやつです)
ここまでくると結構使えるツールになったんじゃないかと思います。配布できるようにしてみましょう。
これをgithub actionsでインストール可能なバイナリにしてMacユーザーに配布することはできますか?
これで以下から実行ファイルを配布することができました。
chmod +x large-file-idenfitier
./large-file-identifier
open localhost:8000
で起動できます。
さて、ここまでで使ったAIクレジットは約1でした。無料枠は3もあるのでまだまだ全然使えますね。
終わりに
この記事ではJetBrains IDEの料金プランの現状をシェアするとともに、JetBrainsのAIコーディングエージェントであるJunieがどれくらい使えるのかを実際にアプリを作ってみることで示しました。
繰り返しになりますが、JetBrainsのIDEは非商用利用であれば無料です。AI機能についてもこの記事の約3倍を無料で使うことができます。
この冬休みに重い腰を上げてJetBrainsのIDEを試してみてはいかがでしょうか?
「AI エージェント機能で進化した JetBrains の開発体験をシェアしよう by JetBrains Advent Calendar 2025」には他にも色々な記事が公開されています。ぜひ他の記事も見てみてください。







