概要
AWSのロードバランサー(ELB)を使用している際に、ヘルスチェックの設定で詰まった経験があります。ヘルスチェックは、ロードバランサーが正常なインスタンスを識別し、リクエストを効率的に振り分けるために必要不可欠な機能です。この記事では、ヘルスチェックの設定で直面した問題と解決方法について備忘録としてまとめます。
1. ヘルスチェックの役割
ヘルスチェックとは、ロードバランサーがバックエンドのインスタンス(EC2インスタンスやコンテナ)が正常に動作しているかを確認するための仕組みです。AWS ELBでは、ターゲットグループに属するインスタンスに対して定期的にリクエストを送り、その応答を基にインスタンスが正常かどうかを判断します。
- 正常なインスタンスはリクエストを受け続け、不正なインスタンスはロードバランサーの対象から外されます。
2. 直面した問題
ヘルスチェックの設定で以下のような問題が発生しました:
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ヘルスチェックが頻繁に失敗する
- 正常に稼働しているインスタンスにもかかわらず、ヘルスチェックが失敗し続けました。このため、ロードバランサーがインスタンスを「不健康」と判断し、トラフィックを振り分けなくなりました。
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不適切なヘルスチェック設定
- デフォルトのヘルスチェック設定のままでは、特定のシナリオで誤ってインスタンスが「不健康」と判断されることがありました。
3. 解決方法
(1) ヘルスチェックのパスを適切に設定する
ヘルスチェックのパスは、ロードバランサーが健康状態を確認するために使用するURLパスです。デフォルトではルート(/
)が指定されていましたが、これが問題を引き起こしていました。特定のアプリケーションやサービスのエンドポイントが必要な場合、それに合わせてパスを設定する必要があります。
/health-check
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備忘ポイント
ヘルスチェックのパスは、アプリケーションの稼働状況を正しく反映するエンドポイントを選択することが重要です。たとえば、/health-check
のようなエンドポイントをアプリケーションに実装し、そのレスポンスが200ステータスコードを返すようにします。
(2) ヘルスチェックの間隔とタイムアウトを調整する
デフォルトのヘルスチェック設定では、チェックの間隔(インターバル)やタイムアウト時間が短すぎるため、ネットワークの遅延やサーバーの応答時間がわずかに遅れるだけで失敗と判断されることがありました。これを調整することで、意図しない失敗を防ぎました。
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設定例:
- ヘルスチェックの間隔: 30秒
- タイムアウト: 5秒
- 成功のしきい値: 5回連続成功
- 失敗のしきい値: 2回連続失敗
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備忘ポイント
ヘルスチェックの間隔とタイムアウトを適切に設定することで、ネットワーク遅延や一時的なサーバー応答の遅延に対する柔軟性を持たせることができます。
(3) 正常なHTTPステータスコードを設定する
ヘルスチェックの成功基準として、どのHTTPステータスコードを「正常」とみなすかを設定します。デフォルトでは200のみが成功と見なされますが、場合によってはその他のステータスコード(たとえば、301リダイレクトや302リダイレクト)を許容する必要がある場合もあります。
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設定例:
200-299
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備忘ポイント
アプリケーションの構成やヘルスチェックの目的に応じて、許容するHTTPステータスコードの範囲を柔軟に設定することで、誤検出を防止できます。
4. トラブルシューティングの結果
上記の設定を見直すことで、ヘルスチェックが安定し、ロードバランサーが正常にインスタンスを健康と判断できるようになりました。結果として、ユーザーからのトラフィックが正しく分散されるようになり、サービスの安定性も向上しました。
5. 今後の改善点
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定期的な設定の見直し
- サービスのスケールや負荷に応じて、ヘルスチェックの設定を定期的に見直す必要があります。
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モニタリングの強化
- ヘルスチェックの失敗率を継続的に監視し、異常が発生した際には迅速に対応できる体制を整えることが重要です。
結論
AWSのロードバランサーでヘルスチェックを適切に設定することは、サービスの安定運用において非常に重要です。ヘルスチェックのパス、間隔、タイムアウト、およびHTTPステータスコードの設定を正確に行うことで、意図しないエラーを防ぎ、サービスの信頼性を高めることができます。