概要
本稿では、サービス停止、重大なセキュリティホール、本番データの欠損、機能欠損クレームなど、緊急事態発生時のマネジメントについて解説します。迅速な復旧と組織の成長を両立させるためのポイントをまとめました。
緊急時におけるマイクロマネジメントの重要性
緊急事態発生時のマネジメントは、平時のマネジメントとは大きく異なります。迅速な意思決定と行動が求められるため、トップダウンでの意思決定とマイクロマネジメントが不可欠となります。これは、問題解決に一刻一秒を争う場合や、経営危機に発展する可能性があるためです。現場任せにして問題が先送りされ、経営危機に陥る事態は避けなければなりません。
このような状況における効果的なマネジメント手法、意識すべきポイントを記載します。
緊急事態におけるゴール
緊急事態のゴールは、今起きている問題を暫定的に除去し、一刻も早くサービスを機能・復活させることです。抜本解決や恒久解決を絶対に混ぜてはいけません。よくありがちなのですが、サービスが停止しているのに、
マネージャー「何故こんな事が起きたのか?」
部下「ダブルチェックを怠りました」
マネージャー「どうしたら防げた?」
みたいな議論はしてはいけません。目的の為に必要十分な事だけに集中しましょう。
緊急事態の対応手順
1. 報告:迅速かつ的確な情報共有
上位マネージャーへの報告
緊急事態発生時には、速やかに上位マネージャーに報告することが重要です。事業的な観点からの対応、部署横断での連携、自チームの業務優先順位などを判断するためにも、包括的な情報が必要です。現場レベルでの判断や独断による対応は避け、全体像を把握した迅速な報告を心がけましょう。
上位マネージャーへの報告のポイント
- 問題発生を認識したら、速やかに報告する
- 危機状況が確信できない場合でも、疑惑段階で報告する
- 発生場所、状況を明確に伝える
- 原因究明や影響調査は後回しにし、迅速な復旧を優先する
緊急事態は時間との戦い。原因や影響を調べるよりも、まずは報告を第一に行いましょう。貴方が適任だと判断されたら、上位マネージャーから「復旧作業を進めながら、原因や影響範囲も調査するよう」指示が来ます。
作業進捗の定期報告
報告後も、定期的に上位マネージャーへ作業進捗を報告しましょう。状況変化や課題なども共有し、迅速な意思決定を促します。
2. 危機意識の共有:チーム全体で取り組む体制構築
チーム全体への共有
対応を自チームで行う場合、真っ先にやるべきことは、チーム全体に「危機的な状況にある」ことを共有することです。
共有の理由
- 緊急事態への対応を最優先事項と認識してもらう
- 不急の業務(定例ミーティングや他部署からの相談)をキャンセルしてもらう
- 細かい指示や状況確認への迅速な対応を促す
- 作業進捗や状況変化を逐次報告してもらう
共有を怠ると、現場のメンバーが別の業務を優先したり、進捗状況が不明確になり、復旧が遅れる可能性もあります。
3. タスクの優先度と人的リソースの振り分け
タスクと担当者の選定
以下の表を参考に、タスクの優先度と担当者を決定します。
| タスク | スキル | 経験 | 緊急度 | 担当者 |
|---|---|---|---|---|
| 初期対応 | 低 | 高 | 特急 | サーバ/プロダクト管理者 |
| 原因究明(不明) | 高 | 高 | 急 | 経験豊富なエンジニア |
| 原因究明(あたりがつく) | 中 | 中 | 急 | 該当箇所を担当したエンジニア+補佐 |
| 暫定処置 | 中 | 低 | 急 | 原因究明の中心となったエンジニア |
| 影響範囲の調査 | 低〜中 | 低 | 緩 | 開発ディレクター、経験の浅いエンジニア |
- 影響範囲の調査は、開発ディレクター、経験の浅いエンジニア等をアサイン
外部への協力依頼
自チームだけで人選が不足する場合は、上位マネージャー経由で他部署に応援をお願いしましょう。
4.実作業中に注意すべきポイント
定期的な訓練の重要性
緊急事態が発生した時に、パニックになったり、暫定処置が遅れたりするリスクを減らすため、常日頃から非常事態を想定した防災訓練を開発環境などを利用して、チームでしておくことをオススメします。
詳しくは、別途防災訓練について書いたコチラをご覧ください。
具体作業時の心がけ
緊急事態の基本は、「ミス無く、安全に、最速で暫定処置まで終わらせる」ことです。それを意識した上で、以下のことを心がけると良いと思われます。
-
人を責めない
- 原因になった人を責めても、問題は解決しません!
- 指導や反省会とかも後回し
-
余分な事をしない、させない
- 緊急事態の解消だけに留める
- バグのあった機能改修や、恒久対応や関連機能のリリースなどを混ぜ込まない
- 暫定処置に恒久対応を混ぜ込まない事を担当者に念を押す
-
密なコミュニケーションを取る
- 何か事態が進展したらすぐ報告してもらう
- 報告が無くても、適宜進捗確認
- 暫定解消以外の事をしていないか確認
-
進展があった場合の上位マネージャーへの報告
- 初期対応で何をしたか
- 解消までの目処
- 影響範囲や規模の定期的な報告
-
本番操作はダブルチェックを基本に慎重に
- 声出しすることも重要
その他
上記はあくまでも、私が意識している事を網羅的にまとめたに過ぎません。もし他にも重要な事や、不足していること、実際に役立った/問題に発展したことなどあれば、コメント等いただけると幸いです。