こんにちは。今回は、Data Engineering Podcastの中でもとくに興味深かった回をご紹介します。
ゲストは、データガバナンスとメタデータ管理のプロフェッショナル、Select StarのCEO・Shinji Kimさん。テーマは「セマンティックレイヤーの現在地とAI時代の役割」について。
セマンティックレイヤーとは?——売上の“意味”を統一する仕組み
Shinjiさんが何度も強調していたのは、「セマンティックレイヤー(Semantic Layer)」の重要性です。
例えば、ある部署では「売上」とは税込の合計金額を指していて、別の部署では割引後の金額を指している…そんな食い違い、データ活用の現場ではよくある話ですよね。
そこでセマンティックレイヤーを使えば、「売上=このテーブルのこのカラム、こういう条件付き」といった意味をコードやモデルで統一できます。AIに正確なSQLを生成させたいなら、この“意味の定義”こそが土台になるんだなと納得しました。
AIアナリスト時代に必須の“ガードレール”
最近話題の「AIアナリスト」。自然言語で「今月の解約率は?」と聞いたら、AIがSQLを書いて答えてくれるというやつです。
でも、Shinjiさん曰く、こうしたAIは**「セマンティックモデル」がちゃんとあるかどうかで精度が大きく変わる**とのこと。
なぜなら、AIが自動で選ぶテーブルやカラムには「微妙な間違い」が混ざりやすく、セマンティックレイヤーが“ガイド”になってくれることで、精度が80%→98%まで上がるという話も。これはすごく実践的な示唆でした。
Semantic Layerは「ファイル」から「システム」へ
面白かったのは、セマンティックレイヤーがまだYAMLファイルとして定義されることが多い、という話。でもそれだと管理が大変で、モデルが更新されなくなって使われなくなることも…。
将来的にはもっと動的に、システムとしてAIと連携してアップデートされていく方向へ進むべきという指摘も印象的でした。
こんな人におすすめのエピソードです
AIを導入して「自然言語でデータ分析」がしたい人
チームごとにバラバラな指標定義にモヤモヤしている人
dbt, Looker, Snowflakeなどを使っているエンジニア・PM
セマンティックレイヤーの実装に悩んでいるBIチーム
💡 専門用語・キーワードまとめ
用語 | 意味 |
---|---|
セマンティックレイヤー | ビジネス用語(例:売上、アクティブユーザーなど)を明示的に定義した中間レイヤー。 |
メトリックレイヤー | KPIなど集計指標に特化したセマンティックモデル。 |
AIアナリスト | ChatGPTのように自然言語からSQLを生成してくれるAI。 |
RAG(Retrieval-Augmented Generation) | AIが質問に答える際、関連する情報を検索・補完して答える手法。 |
YAML定義ファイル | セマンティックレイヤーを記述するフォーマット。 |
Snowflake Semantic View | セマンティックモデルをSQL Viewとして扱えるSnowflakeの新機能。 |
LookML / dbt semantic layer / Cube | 各社が提供するセマンティックモデリングの実装方法。 |
参考
21 May 2025
From Data Discovery to AI: The Evolution of Semantic Layers - E465