LoginSignup
1
0

More than 3 years have passed since last update.

Db2 11.5.5 on OpenShift:GUIベースのデプロイ手順

Last updated at Posted at 2021-02-01

Db2 11.5.5 on OpenShift は、Operator対応されたことによって、OCP WebコンソールからGUIベースでインストールすることができるようになりました。
OCP WebコンソールからDb2をデプロイするための手順を試してみたので、手順・ポイントなどメモとしてまとめておこうと思います。

  • 前提となるDb2 Operator導入まで実施完了していることを前提とします
  • Db2 Operator導入などの、前提となる手順はこちらに書いています
      → Db2 11.5.5 on OpenShift デプロイ手順
  • すべての作業をGUIだけで行うことができるわけではなく、一部の手順はコマンドラインから実行します

導入環境

今回は、以下のような環境に Db2 11.5.5 on OpenShift をデプロイしました。

項目 バージョン
OS(bastion) RHEL 7.7
OS(worker) RHEL 7.7
OCP(Client) ※ 4.5.0-202007240519.p0-b66f2d3
OCP(Server) ※ 4.5.7
Kubernetes v1.18.3+2cf11e2
NFS 4.2
Db2 OLTP 11.5.5

構成

今回は、以下のような構成のOCP環境にDb2をデプロイします。
Db2はStatefulSetとしてデプロイされます。

  • Bastion Node x1
  • Master Node x3
  • Worker Node x3

image.png

ストレージには、当該環境では最も準備が容易だったNFS-静的プロビジョニング構成を選択しています。
今回はBastionサーバをNFSサーバとして構築し、Bastionサーバのローカルファイルシステムの1つをNFSボリュームとしてexportする単純な構成としています。
ストレージ構成は今回の導入検証のための簡易テスト環境であり、実際の本番環境での利用にあたっては技術的な構成確認の場をメーカー(IBM)側にとるようにお願いします。

作業を行うノード / ユーザ

ここから先で実行するコマンドはすべてBastionノードから実行しています。
また、ユーザは以下の用途で使い分けています。

ユーザ 用途/補足
rootユーザ NFSサーバのセットアップ用
OCPユーザ ocコマンド実行
(cluster-admin権限付与)

コマンド実行ノード・ユーザについてはご使用の環境に応じて決めてください。
また、ocコマンド実行前には、oc login が必要となります。

導入の流れ

  1. ストレージ構成
  2. Db2uCluster(≒シングル構成Db2)導入
  3. 動作確認

(補足)導入の全体としての流れは以下の通りで、ここから先の手順はグレーの作業(新規プロジェクト作成、Db2 Operator導入)までは完了していることを前提とします
image.png

Step1. ストレージ構成

Db2uCluster(Db2本体)導入時は、メタデータ/ユーザデータを配置するためのストレージとして、ストレージクラス、もしくは作成済のPVを指定します。
ここでは、作成済PVを指定してDb2uClusterを導入する手順を想定しています。

Step1-1. NFSサーバの構成

今回は検証環境であるため、セットアップの容易なNFSをストレージとして利用します。
(※本番稼働環境であれば、性能/可用性/バックアップ取得要件等を考慮した上でストレージ構成を検討することが望ましい)
NFSサーバ(=bastion) へログインし、root ユーザ にて以下の手順を実行します。

① 空のディレクトリを作成

メタデータ、ユーザデータ用に2つのディレクトリを作成します

# mkdir -p /work/nfsdir/Db2NFS_Data2
# mkdir -p /work/nfsdir/Db2NFS_Meta2

② NFSサーバ上で、エクスポートオプションを指定

Db2U 11.5.5 におけるNFS利用のための前提条件は、Db2製品マニュアルに記載されます。
Db2 11.5 KnowledgeCenter[NFS storage requirements for Db2]

  • Db2 のPersistent Volume として NFS を利用する場合、NFSサーバ側で以下のエクスポートオプションを指定
    rw,sync,no_root_squash,no_all_squash

  • IPアドレスは環境に応じて書き換える(db2_openshiftworkerN_IP_address の箇所)

# echo "/work/nfsdir/Db2NFS_Data2 10.1.1.1/27(rw,sync,no_wdelay,no_root_squash,insecure)" >> /etc/exports
# echo "/work/nfsdir/Db2NFS_Meta2 10.1.1.1/27(rw,sync,no_wdelay,no_root_squash,insecure)" >> /etc/exports

/etc/exportsファイルでのNFSの設定を反映する (exportfs -a または exportfs -r)

# exportfs -a

補足:

Knowledge Center には、/etc/fstab ファイルを編集するよう指示があるが、設定するよう指示される hard オプションは後で Persistent Volume の属性に設定するため、この手順はスキップする。

抜粋:

各 Db2OpenShiftワーカー・ノードで、マウント・オプションを/etc/fstabに追加します。
NFS ソフト・マウントは NFS タイムアウトの超過後に停止し、呼び出し元に正しくエラーを返さない可能性があります。
この問題によって、クラスター・アプリケーションでデータ破損が生じることがあります。これが、hard オプションを使用する理由です。

例えば、以下のシェル・スニペットを使用して更新を行うことができます。
cat <<'EOF' > /etc/fstab
hostname_OR_IP_address_of_NAS/NFS_server:NAS/NFS_share_exported /nfsmount/ nfs
rw,relatime,vers=3,rsize=1048576,wsize=1048576,namlen=255,hard,intr,proto=tcp,port=0,timeo=600,retrans=2,sec=sys,nolock 0 0
EOF


Step1-2. Persistent Volume(PV) 作成

OCP Webコンソールから、メタデータ用とユーザーデータ用の2つのPVを作成します。
左のメニューから [Storage] -> [Persistent Volumes]を選択します。
image.png

右上の [Create Persistent Volume] ボタンを押下します。
image.png

Yaml編集画面が開くので、環境に応じた定義内容を記載し、[Create]ボタンを押下しPVを作成します
image.png

以下①、②に、今回使用したNFSのPVの定義サンプルを添付します。

①メタデータ用PVのYamlサンプル

apiVersion: v1
kind: PersistentVolume
metadata:
  name: pv-nfs-db2meta2
  labels:
    type: nfs-meta2
spec:
  capacity:
    storage: 10Gi
  accessModes:
    - ReadWriteMany
  persistentVolumeReclaimPolicy: Retain
  storageClassName: slow
  mountOptions:
    - v4.2
    - context="system_u:object_r:container_file_t:s0"
    - hard
  nfs:
    path: /work/nfsdir/Db2NFS_Meta2
    server: 10.1.1.1

②ユーザデータ用PVのYamlサンプル

apiVersion: v1
kind: PersistentVolume
metadata:
  name: pv-nfs-db2data2
  labels:
    type: nfs-data2
spec:
  capacity:
    storage: 10Gi
  accessModes:
    - ReadWriteOnce
  persistentVolumeReclaimPolicy: Retain
  storageClassName: slow
  mountOptions:
    - v4.2
    - context="system_u:object_r:container_file_t:s0"
    - hard
  nfs:
    path: /work/nfsdir/Db2NFS_Data2
    server: 10.1.1.1

Step2. Db2uCluster デプロイ(Db2 on OpenShiftの導入)

OCP Webコンソールにログインし、[Operators] -> [Installed Operators] の画面を開き、「IBM Db2」を選択します。
※Db2 Operatorが表示されない場合は、「all project」もしくは、作業対象のプロジェクト(ネームスペース)が選択されていることを確認してください
image.png

「Provided APIs」の一覧に並ぶアイコン「Db2u Cluster」の下にある「Create Instance」ボタンを押下します。
image.png

Db2インスタンスのデプロイ画面が表示され、各種設定項目と[Create]ボタンが表示されます。

  • ライセンス承諾設定等が必要となります。設定の編集を行った後に[Create]します
  • OCP Webコンソールでは、設定項目の一部がGUI入力画面にて設定できるようになっています
  • GUIはすべての設定項目を網羅していないため、GUIベースのデプロイを行う際、設定項目が無い項目についてはYamlファイルビューで直接Yamlファイルの編集を行います

image.png

下記項目を順次編集していきます。

①名称、ライセンス

image.png

②Image Pull Secret指定

Acount > Image Pull Secrets 下の「Add imagePullSecret」を押下し、[ibm-registry]を指定します
(ibm-registryは既に作成済の前提。作成手順はこちらに記載 -> Link)

image.png

(imagePullSecret入力後の画面例)
image.png

③インスタンスのパスワード情報

image.png

④ストレージ構成 (一部はYaml編集が必要)

GUI画面のデフォルトでは1つのストレージにメタデータ/ユーザデータを共存させる設定となっています。
また、無指定の状態ではストレージサイズは100Giとなります。
その他、ユーザ要件/環境に沿って、GUIで設定できる項目はGUIで、GUIでは指定できない条件についてはYamlビューにて編集していきます。

  • メタデータ、ユーザデータそれぞれのPVを指定
    (Step1.で作成しておいたPVに指定したラベル値をmatchExpressionで指定)
  • ユーザデータについてデフォルト100GiB確保される定義を、テスト環境では10GiBへ変更
  • アクセスモードをマニュアルの推奨(※)に合わせて変更

(※)Db2 11.5 KnowledgeCenter[Configuring database storage for Db2] より引用

When provisioning the database, for user data (the main database data), select ReadWriteOnce (RWO) access mode for your storage.

以下はメタデータ用ストレージの定義画面。
1つめのストレージについて、アクセスモードはデフォルトでReadWriteManyとなっているため変更不要です。
Step1.で作成済PVに定義したラベル(nfs-meta2)を指定するため、Selector > MatchExpressions の下の「Add matchExpression]を押下します。
image.png

Step1.でPVに定義したラベルは、キー(type)とバリュー(nfs-meta2)のペアで構成されます。
Db2uClusterでのストレージ定義にmatchExpressionsでセレクター要件(→PVのラベルのキー値とバリュー値)を記述することによって、作成済のPVをDb2uClusterのPodに使わせることができます。
Valueは、「Add value]ボタン押下により入力可能となります。
image.png

(key - operator - value 入力イメージ)
image.png

つづいて、[Add Storage] を押下し、ユーザデータ用ストレージの定義を追加します。

1つ目のメタデータ用ストレージと同様に、name, selector(match expressions)値を入力します。
また、1つ目のストレージと異なり、Access Mode / type の値が空白値となるため、明示的に指定します。

  • Access Mode : ReadWriteOnce
  • type : create

image.png

ここまで編集できたら、Yaml Viewに切り替えます。
image.png

デフォルトでは、メタデータ用ストレージサイズは下記抜粋のように100GiBが指定されるため、環境に応じて変更します。
(編集前:100GiB)
image.png
(編集後:10GiB)
image.png

ユーザデータ用領域も同様に編集します。
 *ユーザデータ用領域については、[resources]の定義文自体が無いため、meta用の定義をコピーする。

(メタデータ、ユーザデータ用のストレージ定義)
image.png

⑤podConfig (オプション)(要Yaml編集)

想定リソースについて記述できるpodConfig定義についても、GUI画面には登場しないため、
変更したい場合はYamlビューで記述します。
記述する位置はユーザが意識する必要はなく、Yaml末尾に記述しておくとビュー切替時などに自動的に配置変更されます。

podConfig定義(デフォルト内容):


  podConfig:
    db2u:
      resource:
        db2u:
          requests:
            cpu: 2
            memory: 4Gi
          limits:
            cpu: 2
            memory: 4Gi

podConfig定義を手動で追記すると、Formビューにも項目として登場し、GUIベースで編集できるようになります。

⑥ インストール

[Create]ボタンを押下し、Db2uCluster導入を行います。

image.png

[Create]押下後の応答は即時に戻り、作成済Db2uClusterの一覧が表示され、「Status」列で状況がリアルタイムに更新されます。
Db2uClusterデプロイは裏で進行していて、環境によりますが、完了までには数分~十数分程度かかります。

image.png

⑦ Db2 on OpenShift デプロイ完了確認

デプロイが完了すると、Statusが「Ready」に変更されます。
image.png

Step3. 動作確認

Db2 の Pod「c-[name]-db2u-0」 にログインし、データベースに接続できることを確認する。
Podには以下のコマンドでログインする。

 $ oc rsh c-db2u-nfs1-db2u-0 /bin/bash

【動作確認例】
ログイン時のユーザは Db2コマンド実行権限を持たないdb2uadm であるため、Podへのログインが成功したらdb2inst1 ユーザに su します。
db2 list db directory コマンドにより、この環境に作成されるデータベース名がBLUDBであると確認できます。
以下は、DBに接続しテスト用テーブルを作成し、データを挿入することで動作確認を行う例。

$ oc rsh c-db2ucluster-2-db2u-0 /bin/bash
[db2uadm@c-db2ucluster-2-db2u-0 /]$ whoami
db2uadm
[db2uadm@c-db2ucluster-2-db2u-0 /]$ su - db2inst1
Last login: Tue Dec 29 10:43:15 UTC 2020 on pts/4
[db2inst1@c-db2ucluster-2-db2u-0 - Db2U db2inst1]$ which db2
~/sqllib/bin/db2
[db2inst1@c-db2ucluster-2-db2u-0 - Db2U db2inst1]$ db2 list db directory

 System Database Directory

 Number of entries in the directory = 1

Database 1 entry:

 Database alias                       = BLUDB
 Database name                        = BLUDB
 Local database directory             = /mnt/blumeta0/db2/databases
 Database release level               = 15.00
 Comment                              =
 Directory entry type                 = Indirect
 Catalog database partition number    = 0
 Alternate server hostname            = c-db2u-cluster-1-db2u-engn-svc
 Alternate server port number         = 50000

[db2inst1@c-db2ucluster-2-db2u-0 - Db2U db2inst1]$ db2 connect to bludb

   Database Connection Information

 Database server        = DB2/LINUXX8664 11.5.5.0
 SQL authorization ID   = DB2INST1
 Local database alias   = BLUDB

[db2inst1@c-db2ucluster-2-db2u-0 - Db2U db2inst1]$ db2 list tables

Table/View                      Schema          Type  Creation time
------------------------------- --------------- ----- --------------------------

  0 record(s) selected.

[db2inst1@c-db2ucluster-2-db2u-0 - Db2U db2inst1]$ db2 "create table t1 (c1 integer,c2 char(8))"
DB20000I  The SQL command completed successfully.
[db2inst1@c-db2ucluster-2-db2u-0 - Db2U db2inst1]$ db2 "insert into t1 values(3,'c'),(4,'d')"
DB20000I  The SQL command completed successfully.

[db2inst1@c-db2ucluster-2-db2u-0 - Db2U db2inst1]$ db2 "select * from t1"

C1          C2
----------- --------
          3 c
          4 d

  2 record(s) selected.

[db2inst1@c-db2ucluster-2-db2u-0 - Db2U db2inst1]$ db2 terminate
DB20000I  The TERMINATE command completed successfully.
[db2inst1@c-db2ucluster-2-db2u-0 - Db2U db2inst1]$ exit

db2 terminate
DB20000I  The TERMINATE command completed successfully.

---> 導入したDb2は問題なく稼働していることが確認できました。

Step4. ライセンスの登録状況確認

Db2 V11.5では、ライセンスを適用しなくても Community Editionという無償版ライセンスが適用された状態となっている。旧バージョンのDb2試用版のように90日経過したらDb2が起動しなくなるということはありません。
この点はDb2 on OpenShiftも共通です。

導入したDb2のライセンス確認/更新を行うには、下記マニュアルに記載コマンドを実行します。

Db2 11.5 KnowledgeCenter[Upgrading your Db2 Community Edition license certificate key]

接続情報

Liberty など、OCPクラスタ内からのDB接続時に必要となる接続情報として、クラスターIPアドレスとポート番号を確認する。

① クラスターIPアドレス

プロジェクト名、リリース名は環境に応じて書き換えて実行する。

$ oc get svc -n <PROJECT> <RELEASE-NAME>-db2u-engn-svc -o jsonpath='{.spec.ports[?(@.name=="legacy-server")].nodePort}'

② ポート番号

プロジェクト名、リリース名は環境に応じて書き換えて実行する。

$ oc get svc -n <PROJECT> <RELEASE-NAME>-db2u-engn-svc -o jsonpath='{.spec.clusterIP}'

関連記事

◆Db2 11.5.5 on OpenShift デプロイ手順
https://qiita.com/mi-kana/items/6266fcdcdc3b71d8a0fb
◆OpenShift環境へのDb2 Operator導入手順
https://qiita.com/mi-kana/items/c3fb640d671caf624eb8
◆Db2 HADR on OpenShift かんたんデプロイ
https://qiita.com/mi-kana/items/7fb2fecc02067bc8386b


以上です。

1
0
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
1
0