先日過去問道場に対峙していたところ、『液晶ディスプレイ』に関する問題の選択肢で、『電子銃』というものが出てきてぎょっとしました。(理科の時間ででてきたかもしれませんが忘れました。)
ディスプレイに関する問題は出題頻度は低いそうですが電子媒体にとってディスプレイは宝(小並感)。
理解していく手がかりとして本記事では『ブラウン管』に焦点を当て、下記のような疑問点を解決したいと思います。
FE対策用:一息でブラウン管を理解!
※出題頻度低い+ブラウン管はメインではないので選択肢の一つが消えるだけの知識量です。
説明:とりあえず電子銃が電子ビームを飛ばして、赤・緑・青の蛍光体に当てる。
当たったところだけ光って、それを組み合わせて色になる。
ここでストップ!
このあとも一応藻掻きながら記事を書きましたが、結果から言うと『この科学の事象はDr.STONEによって既に解き明かされているのではないか』と。
Dr.STONE 1期#23 科学の波--by©米スタジオ・Boichi/集英社・Dr.STONE製作委員会 ↓

なんと作者のBoichi先生は三角フラスコブラウン管を自作したことがあるそうです。。
ブラウン管は科学の集大成的存在でした。
蛍光体とは?
まずここから沼の始まりです。
電子銃からだされた電子ビームが蛍光体に当たって発光→蛍光体がなぜ光るのだ?という謎のドツボにはまってしまいました。
| 色 | 主な蛍光体材料(代表例) | 特徴・備考 |
|---|---|---|
| 赤 (R) | ユロピウム等 | ユウロピウム化合物を赤色蛍光体に応用したのはアメリカのA.レヴァインとF.パリラによる。 『ユウロピウム(Eu)-ブラウン管カラーテレビを彩った元素』 --by 高純度科学研究所 |
| 緑 (G) | ZnS:Cu,Al(硫化亜鉛:銅、アルミニウム) ※旧来:(ZnCd)S:Ag |
一時(ZnCd)S:Agが用いられていたが、カドミウム汚染懸念で現在はZnS:Au,Cu,Alに移行。 足立吟也『カラー テレビブラウン管に用いられている蛍光体』 ZnS:Cu,Alは一般の蛍光体用途にも広く使われる。 "Synthesis and characterization of ZnS:Cu,Al phosphor prepared by a chemical solution method" --Journal of Luminescence |
| 青 (B) | ZnS:Ag,Cl(またはZnS:Ag,Al) BaMgAl₁₀O₁₇:Eu²⁺(BAM:Eu) |
青色蛍光体は初期から現在まで硫化亜鉛+銀ドープ(ZnS:Ag)が主流。 足立吟也『カラー テレビブラウン管に用いられている蛍光体』 |
この「蛍光体」には「蛍光インク」としてユーロ紙幣などにも使われたりしていたようです。
ユウロピウム錯体は,ほかの希土類元素の錯体とともにユーロ紙幣の認証に使われている。50ユーロ紙幣に紫外光を当てると特定部分が赤,黄,緑などに発光する
米澤宣行、永澤明『郵便の見えない消印~認識に用いる印刷』 --by 科学と教育
また、空港での手荷物検査やX線撮影にも蛍光体が使われているそうです。
花火vs 蛍光体
金属や化学物質で光る=花火みたいだなと感じて調べてみましたが、科学は深すぎて、この記事では追いきれません。
花火: 炎色反応
メモ:花火に関しては、金属が熱せられることにより、原子れべるでエネルギッシュになり、それが電磁波となり可視光線になる。。。
高温の炎中に、ある種の金属粉末や金属化合物を置くと、試料が熱エネルギーによって解離し、原子化される。それぞれの原子は熱エネルギーによって電子が励起され、外側に存在する高エネルギーの電子軌道へと移動する。励起された電子が、安定な基底状態に戻ろうとする際に、余分なエネルギーを電磁波として放出する。電磁波のエネルギーは、その周波数で決まるわけだが、この際に放出するエネルギーが、ちょうどヒトの可視光線の範囲に入る場合が有る。これが、炎色反応を示す原理である。
『炎色反応』 --by Wikipedia
ブラウン管: 固体中の蛍光体の電子状態遷移
「光る仕組み」にばかり気を取られてしまっていましたが、そもそもとして、『蛍光体』が光る素養をもっており、エネルギー(電子銃等)がきっかけとして光る、という仕組みになっているようでした。
蛍光体という物質は、何らかのエネルギーを与えると電子にわずかな変化が生じ、それが光を発するのです。
『第37回「蛍光体 電子の変化で発光」 物質創成科学研究科 柳田健之教授〔2016年5月17日〕』--by 奈良先端科学技術大学院大学
光の強さによって色の濃さを調整しているとのこと。
電子の量(つまり電流)が多いほど蛍光体は明るく光ります.電子の量はカソードを包み込むようにして設けられているグリッド(図2)に加わる電圧により制御されます.この電圧が輝度信号です.
柳川 誠介『進化するディスプレイ,表示のしくみと制御信号』 --by トランジスタ技術
なぜブラウン管なのか?(not 茶色)
ここまで書いているうちによくわからなくなってきてしまい、単純に一言で済ませたいと思います。
ドイツ人のカール・フェルディナント・ブラウン(Karl Ferdinand Braun)さんが考えたから。です。
ブラウン管の英名は『Cathode Ray Tube』と言うそうです。
A cathode ray tube (CRT) is the glass video display component of an electronic device
米国の”有害廃棄物”のページ。--by EPA
英名では「CRT」が使われていますが、直訳すると『陰極線管』といった風になるそうです。
『陰極線管テレビ』というのは言いにくそうなので、ノーベル賞受賞者でもあるブラウン博士の『ブラウン管』のほうが伝わりやすかったのかも知れません。
外部回路から電子が流れ込む電極。ギリシャ語で「下り口」を意味します。
『カソードとアノードの違いを徹底解説:電気回路の基礎知識。』 --byAGUS
電子銃とは?
電子銃については、もう、調べる元気がないのですが、『とりあえず電子をビビっとビームとして出す存在』という認識で良さそうです。
高純度科学研究所のページによると、”電子銃”には三色に対応するそれぞれの電子銃があったそうです。
カラーテレビのブラウン管には,赤・緑・青(RGB)の三色に対応する三つの電子銃があり,RGBの各蛍光体は一つ一つが発光し,画像が作り出されます。各電子銃は送られてきた映像用信号によって制御され,方向と強弱が調整された電子ビームを出して画面上に軌跡(走査線)を描きます。
『ユウロピウム(Eu)-ブラウン管カラーテレビを彩った元素』 --by 高純度科学研究所
仕組み
昔のテレビに奥行きがあるのは電子銃がビームを出す必要性があったから、という理由があることで納得感が増しますね。

画像参照:『1601-1-A、JPEG 静止画、76 KB』 --by 情報機器と情報社会のしくみ素材集
感想
ブラウン管や電子銃を深堀りしようとしたところ、『蛍光体』の比率が高くなってしまいました。
参考
『ブラウン管の仕組みとテレビの進化の歴史』 --bytecmag/TDK
