「冗長」であることの象徴的なものといえば学校の校長先生の朝礼の話でしょう。
自分の高校時代の校長も例に漏れず、朝礼の話が異常に長過ぎて、ご自身が貧血で倒れてしまうこともありました。
現代社会ではより簡潔であること、より迅速で時短であることの快適さが求められ、あらゆる冗長さを排除しているように思えます。(特にアニメや映画を倍速・3倍速で見られる機能ボタンの存在が象徴していると感じます。)
一方で、ITの(非UI・インフラや保守系の)文脈において、「冗長性」が歓迎されていることにとても興味深く思ったため、記事としてまとめたいと思います。
冗長性とは
冗長性とは、辞書的な意味だと「余分なものがある状態」とのこと。
必要最低限のものに加え、重複するもの、余分なものがある状態をあらわす言葉。
『冗長性』 --by ICT用語辞典
辞書的な「冗長」
[名・形動]文章・話などが、むだが多くて長いこと。また、そのさま。「話が冗長に流れる」「冗長な論文」
[派生]じょうちょうさ[名]
[類語]長たらしい・冗漫・長長しい・便便・長長・蜿蜒えんえん・長蛇の列
『冗長(読み)ジョウチョウ』 --by コトバンク
日本語的な意味の「冗長」の使い方だと、「冗長=省くべき無駄」的な意味のようで語られていることが大半でした。
例:冗長性を人間のコミュニケーション上のムダとして論じる研究
(苧阪良⼆「表現の冗⻑性 : Human Communicationの観点から」)
例:UI/UX的な観点からの「冗長性の原則」の記事(冗長な情報が認知的過負荷になってユーザーが大変といった内容)
(『冗長性の原則:画面上にナレーションテキストを配置すべきか?』 --by disce)
meaning of REDUNDANCY
英語で「Redundancy」と調べると、”Voluntary redundancy(希望退職)”という結果が出てきて、意外に思いました。
日本語の辞書的には「長々しい・無駄」というニュアンスが強いですが、英語的な意味は「余剰・余っている」というニュアンスが強そうです。
redundancy
名
余剰性、余剰が[過剰で]あること
《電気》〔回路の〕重複性、冗長性◆バックアップ用の回路を用意すること。
〔通信における情報の〕冗長性、冗長度
〔言語の〕冗長
〈英〉余剰人員の解雇
『redundancyとは』--by 英辞郎on the web
IT,システム関連の「冗長」
システムにおける「冗長性」は英語圏の語義に潮流があると感じました。
冗長性には、「重複している」といった意味があります。つまり、システムにおける冗長性とは、システムの構成要素が重複的に存在する性質のことです。
『システムにおける「冗長性」とは?意味・目的と冗長化を実施する際の注意点』 --by Qbook
「冗長」であることによって「信頼性」、「可用性」を向上できる。
冗長性は、情報技術や通信、データベース、システム設計などで信頼性や可用性を向上させる重要な概念です。システムやデータの重要な要素を重複させることで、障害や故障が発生した際にも機能を維持します。
『冗長性』 --by KDDIBusiness
「無駄で長々しい」コードや管理手法も障害につながりかねない要素ではあると思うので、システムにおける「冗長性」と辞書的な「冗長性」にだいぶ乖離があることがわかります。
肝はその"冗長性"が『意図されたものかどうか』
IBMの記事に下記の記載がありました。
意図しないデータの冗長性は、ストレージ・コストの増加やデータの不整合などの非効率性につながる可能性がありますが、意図的なデータの冗長性は、効果的なデータ管理の中核的要素です。
『データの冗長性とは』 --by IBM
「冗長性」というものは人間が「意図して」備えているものか、「意図せずに」携えているかどうかで役割が変わってくることがわかります。
さいごに
『冗長性』という言葉には
"無駄無駄無駄(-_-メ)"と"予備予備予備予備"の二面性があって、面白いと感じました。
参考
容量と可用性のトレードオフ
