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DatabricksでAI・MLをどう評価する?MLflow 3・Mosaic AI・RAG・Feature ServingのPoCポイント

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6-6 AI  ML対応(MLflow・Mosaic AIとRAG構成.png

📚 参考書籍

※この記事は書籍の一部をベースに再構成しています。もう少し踏み込んだ内容(設計や具体例)は書籍の中でまとめているので、気になる方はそちらもどうぞ。

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DatabricksでAI・MLをどう評価する?MLflow 3・Mosaic AI・RAG・Feature ServingのPoCポイント

6-6 AI / ML対応(MLflow・Mosaic AIとRAG構成の検証)

AI時代のデータ基盤では、BIや分析だけでなく機械学習や生成AIをどれだけ自然に組み込めるかが重要な評価ポイントになります。

従来のDWHでは、データ基盤とAI基盤が分離していることが多く、データ移動や環境管理が大きな負担になっていました。

DatabricksのLakehouseでは、データ処理・機械学習・生成AI開発が同一プラットフォームで実行できます。

そのためPoCでは、単なるデータ分析だけでなく、AIワークロードをどれだけスムーズに構築できるかを検証します。

本節では、PoCで確認するAI機能として次の要素を取り上げます。

  • MLflowによる機械学習ライフサイクル管理
  • Mosaic AIによる生成AI開発
  • RAG(Retrieval Augmented Generation)の構築
  • Unity CatalogによるAIガバナンス
  • MLflow 3による生成AI評価
  • Feature Servingによるリアルタイム推論

MLflowによる機械学習ライフサイクル管理

DatabricksではMLflowが標準統合されており、機械学習モデルのライフサイクルを一元管理できます。

MLflowは次の機能を提供します。

  • 実験管理(Experiment Tracking)
  • モデル管理(Model Registry)
  • モデルデプロイ(Model Serving)
  • GenAI Tracing
  • Evaluation
  • Production Monitoring

PoCでは、次のような一連のMLワークフローを検証します。

  • Silver / Goldテーブルから学習データを作成
  • 特徴量生成(Feature Engineering)
  • モデル学習
  • モデル登録
  • 推論API公開

Lakehouse環境では、データパイプラインと機械学習パイプラインが自然に接続されます。

そのため以下のメリットがあります。

  • データ移動が不要
  • 特徴量生成が簡単
  • 再現性の高いML実験

PoCではMLflowの実験管理機能を利用し、モデル開発の再現性や管理性を確認します。

2026年のDatabricksでは、MLflow 3によって従来の機械学習モデル管理だけでなく、生成AIアプリケーションやAI AgentのTracing・評価・本番監視まで扱えるようになっています。

つまり、MLflowは「モデルを記録するための仕組み」から、

「ML・生成AI・Agentを開発から本番まで観測・評価するための基盤」

へと役割が広がっています。


Mosaic AIによる生成AI開発

Databricksでは生成AI開発環境としてMosaic AIが提供されています。

Mosaic AIでは以下の機能が利用できます。

  • LLM推論環境
  • Vector Search
  • モデルファインチューニング
  • RAGアプリケーション開発
  • AI Agent開発
  • Model Serving

PoCでは企業データを利用した生成AIアプリケーションを構築し、実用性を検証します。

例えば以下のようなユースケースがあります。

  • 社内ナレッジ検索
  • データ分析アシスタント
  • レポート自動生成

これらのアプリケーションでは、LLM単体ではなくRAG構成を利用することが一般的です。

また2026年では、単純なRAGだけでなく、検索・Tool Calling・AI Agentを組み合わせる設計も重要になっています。

「企業データを検索して回答する」

だけではなく、

「企業データを検索し、必要に応じてToolを利用し、業務処理まで進める」

というAI活用まで検証対象が広がっています。


RAG(Retrieval Augmented Generation)の構築

RAGは企業データとLLMを組み合わせた生成AIアーキテクチャです。

基本構成は以下の通りです。

  • ドキュメントのベクトル化
  • ベクトル検索
  • 検索結果をLLMに入力
  • 回答生成

Databricksでは次の構成でRAGを構築できます。

  • Delta Lake(データ保存)
  • Embeddingモデル
  • Mosaic AI Vector Search
  • LLM推論

PoCでは次のステップを検証します。

  • ドキュメントデータのベクトル化
  • ベクトルインデックス生成
  • 検索精度評価
  • LLM回答生成

RAGのPoCでは、「回答が生成できたか」だけでは十分ではありません。

2026年のDatabricksでは、Mosaic AI Vector Searchに検索品質を評価する機能も提供されており、検索戦略ごとの関連性を比較できます。

そのため、

  • 正しい文書が検索できているか
  • 上位何件に必要な文書が入っているか
  • 検索方式を変えると品質がどう変わるか
  • Rerankingによって品質が改善するか

といったRetrievalそのものの品質も検証する必要があります。

RAGでは、

Retrieval品質

Context品質

LLM回答品質

という関係があるため、回答だけを評価するのではなく、検索部分を分離して確認することが重要です。


Unity CatalogによるAIガバナンス

DatabricksでAIを運用する最大の特徴の一つが、Unity Catalogによる統合ガバナンスです。

Unity Catalogはデータだけでなく、AI / MLで利用するさまざまな資産を管理できます。

例えば、

  • 機械学習モデル
  • Feature
  • Vector Searchで利用するデータ
  • AIアプリケーションが利用するデータ資産

などを、データと同じガバナンスの考え方で管理できます。

RAG構成では、次のような要素が関係します。

  • 検索対象データ
  • Vector Search
  • LLMモデル
  • AIアプリケーション

これにより以下のようなガバナンスが可能になります。

  • 誰がどのデータにアクセスできるか
  • 誰がどのモデルを利用できるか
  • AIがどのデータを利用しているか
  • データやモデルのリネージをどこまで追跡できるか

企業にとって「AIの利用権限」をデータと同じポリシーで管理できることは大きな安心材料になります。

PoCでは、Unity CatalogによるAI資産管理とアクセス制御も検証します。

AI活用が広がるほど、

「AIが高性能か」

だけでなく、

「AIが利用してよいデータを正しく制御できるか」

が本番導入における重要な評価項目になります。


Agent EvaluationからMLflow 3 Evaluationへ

RAGは構築するだけでは十分ではありません。

生成AIシステムでは、回答品質をどう評価するかが最大の課題になります。

従来DatabricksではAgent Evaluationという名称で提供されていた評価機能は、2026年ではMLflow 3へ統合されています。

現在はmlflow.genaiを中心に、

  • Evaluation Dataset
  • Scorer
  • LLM Judge
  • Trace
  • Feedback
  • Production Monitoring

を組み合わせて生成AIやAgentを評価できます。

PoCでは以下の観点で評価を行います。

  • 回答の関連性
  • 回答の正確性
  • Groundedness
  • Safety
  • Task Completion
  • Tool利用の妥当性

MLflow 3では、Evaluation Datasetを使って複数の入力に対してAIアプリケーションを実行し、Scorerで品質を評価できます。

例えば、

mlflow.genai.evaluate()

を利用して同じ評価データに対してPromptやModel、RAG構成の変更前後を比較できます。

さらに2026年では、本番環境のTraceに対してScorerを継続的に適用するProduction Monitoringも提供されています。

これにより、

開発時の評価

本番Trace

継続的なScoring

品質劣化の検知

という流れまで構築できます。

PoCでは、「一度テストして終わり」ではなく、

「本番でも品質を測り続けられるか」

まで確認することが重要です。


Feature Servingによるリアルタイム推論

機械学習モデルを業務で利用する場合、リアルタイム推論が必要になるケースがあります。

DatabricksではFeature Serving機能を利用することで、Featureを低レイテンシでアプリケーションやモデルへ提供できます。

具体的には次のような構成になります。

  • GoldテーブルやFeature Tableに顧客状態を保持
  • Online Feature Storeへ同期
  • Feature Servingで特徴量を提供
  • Model Servingでリアルタイム推論

2026年のDatabricksでは、Online Feature StoreはLakebaseを基盤として提供されており、リアルタイムアプリケーション向けに低レイテンシでFeatureを提供できます。

またModel ServingでFeatureを利用して学習したモデルを公開すると、推論時に必要なFeatureを自動取得する構成も可能です。

Feature Servingは機械学習だけでなく、RAGアプリケーションなどからUnity Catalog上の構造化データを低レイテンシで取得する用途にも利用できます。

PoCでは以下の観点も検証します。

  • リアルタイム推論のレイテンシ
  • 特徴量更新の反映速度
  • APIスケーラビリティ
  • Online Feature Storeとの同期
  • Model Servingとの統合

「モデルが速いか」だけではなく、

最新のFeatureが

正しく同期され

低レイテンシで取得され

推論に利用される

というEnd-to-Endの処理時間を確認することが重要です。


PoCで確認すべきAI評価ポイント

AI / MLのPoCでは、単にモデルが動くかどうかではなく、次の観点を評価します。

  • モデル開発の容易性
  • 生成AIアプリの実装難易度
  • RAGの検索品質
  • AI資産のガバナンス管理
  • 回答品質の定量評価
  • AI AgentのTracing
  • 本番環境での継続的な品質監視
  • リアルタイム推論の実現性
  • Feature Servingのレイテンシ
  • AIワークロード全体の運用性

2026年のDatabricksでは、PoCで見るべき範囲は従来より広がっています。

従来は、

「モデルを学習できるか」

「RAGが動くか」

が中心でした。

現在は、

「AIを継続的に評価できるか」

「本番Traceから品質を監視できるか」

「データ・モデル・Featureを統合的にガバナンスできるか」

「リアルタイムで最新データをAIへ届けられるか」

まで確認する必要があります。

これらを検証することで、LakehouseがAI時代のデータ基盤として適しているかを判断できます。

次節では、PoCで構築したデータパイプラインの運用性について整理し、本番環境を想定した運用評価を行います。

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