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クリスマス前夜の配送センターを救ったEVPNの話

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:santa: 目次

  1. はじめに
  2. ある年のクリスマス、配送センターは静かに限界を迎えた
  3. 物語と技術の対応表
  4. 最後に
  5. 免責事項

:santa: はじめに

本記事はCiscoの有志による Cisco Systems Japan Advent Calendar 2025 カレンダー2の19日目として投稿しています:christmas_tree::sparkles:

:santa: ある年のクリスマス、配送センターは静かに限界を迎えた

1. クリスマス前夜、街は浮かれていた

十二月二十四日。

イルミネーションで輝く街は、浮かれ気分の人々が行き交っていた。

街の中心にある配送センターの前には小さな行列。

手には大切な人のために用意したクリスマスプレゼント。

「明日までに届きますよね?」

窓口の人は笑顔でうなずく。

「はい、大丈夫ですよ」

誰も疑わない。

毎年そうだったし、今年もそうだと思っている。

だがその頃――

その裏側で、配送センターはすでに限界に近づいていた。

2. ベルトコンベアの音だけが、絶えず鳴っている

床を走る黒い帯。

その上を、箱、箱、箱。

低く唸る機械の音。

「ピッ」という読み取り音。

台車が床を転がるゴロゴロ音。

壁の時計は、すでに夜七時を回っている。

現場の人間は、誰も走らない。走るほど事故につながるからだ。

彼らはただ、速く、正確に、淡々と動く。

3. 仕組みは、昔から変わっていない

配送の仕組みは単純だ。

  • 送り主は、近くの配送センターに荷物を預ける
  • 配送センター同士が連携して、宛先まで届ける

利用者はどこを通るかも、誰が運ぶかも知らない。

知る必要もない。

だが配送センターは、常にこう考えている。

この荷物は、どの配送センターに渡すべきか?

4. 昔は「分からなければ聞けばいい」で回っていた

拠点が少なかった頃は、

どこに送れば良いか分からない荷物が来ても、たいした問題ではなかった。

無線で全拠点に聞く。

「この宛先、どこに送れば良い?」

「ああ、それなら こっちに送ってくれ」

「了解!」

少しうるさいが、コーヒーを飲む余裕はあった。

5. 今年のクリスマス、限界は突然やってきた

その年は違った。

クリスマスギフトだけでなく、

ネット通販のタイムセールや「今日中に必要!」という緊急注文、

届けなければいけない荷物が、次から次へと降ってくる。

送るべき配送センターが分からない荷物も増えた。

「これ、どこに送れば良い?!」

「こっちはどこに送れば良い?!」

「これもどこに送るべきか分からないんだけど、、」

「いいかげんにしてくれ、何回目だよ!!」

無線が鳴り止まず、仕事が全然前に進まない

誰もがその時思っていた。

「……もう限界だ」

6. 新しい運用責任者が言った

その夜、判断を下したのは、
最近この配送センターに着任した聡明な運用責任者だった。

現場を歩き、無線を聞いた上で、彼は言った。

「荷物が来てから宛先を探すのをやめよう」

「荷物が来る前に、どの配送センターが、どの宛先を担当しているかを伝え合おう」

7. 叫ぶ前に、知らせることにした

彼の号令ですぐにルールが変わった。

新しい担当顧客が増えたら、

「この人宛の荷物は、うちが届けるよ」

それを、あらかじめ全拠点に伝える。

すると、現場が見違えるように穏やかになった。

「あ、この宛先知ってる!この配送センターに送ればいいね!」

荷物は迷わず流れる。無線も静かになった。

8. 人気店の物流を絶対に止めない

そんな中、特別な存在が現れる。

さくら坂洋菓子店

街で最も人気の洋菓子店で、

クリスマスケーキの予約は毎年即完売。

この店の荷物は特別だ。

  • 生クリーム、フルーツ、チョコレートなどの材料
  • クリスマス用の包装資材
  • そして完成したケーキの出荷

入ってくる量も、出ていく量も桁違い。

そしてクリスマスにこのお店の物流を絶対に止めてはいけない。

1つの配送センターで請け負うのは心配だ。

そこで決めた。

東京と千葉、2つの配送センターで同時に受け持とう。

  • 片方が混んでも、もう片方が助ける
  • 片方が止まっても、もう片方が動く

9. 送り元は、荷物ごとに配送センターを選ぶ

送り主から荷物を受け取った配送センターは、伝票を見る。

  • 送り元
  • 宛先
  • 荷物の種類

そして決める。

「この材料は千葉へ」

「この包装資材は東京へ」

同じ店宛でも、荷物ごとに配送センターを分けるのだ。

1つの配送センターへの負担が集中しないように。

10. 代表者がいないチームは崩壊する

度々、宛先が不明な荷物がやってくる。

東京の配送センターが、店に電話をかける。

「すみません、この宛先ですが――」

その直後に、千葉の担当者も電話をかけてしまった。

「こちら千葉ですが、この件で――」

電話の向こうで、店の担当者の声が荒くなる。

「それ、さっきも聞いたよ!」

「だからこの宛先は、うちじゃないって!」

「今、仕込みで一番忙しい時間なんです!」

さくら坂洋菓子店は、今が一番の山場だ。

材料の受け取り、仕込み、焼き上げ、すべて同時に進んでいる。

その夜、決めた。

「店への連絡は、一か所だけから」

「このお店は東京が連絡係をしよう」

代表者が決まると、重複した連絡がなくなり、

店も、現場も、落ち着きを取り戻した。

11. さくら坂洋菓子店へ向かう道が、突然ふさがれた夜

クリスマスイブの夜。

都心で大きなイベントが始まった。

イルミネーション、ステージ、屋台。

人、人、人。

東京の配送センターから、さくら坂洋菓子店へ向かう主要ルートが、

人混みで完全に通れなくなった。

「この道、トラック無理だ…」

「別ルートも全部詰まってる」

東京の配送センター長は判断する。

「この店の荷物、今は送らないで!」

この合図で、

  • 「さくら坂洋菓子店は東京が担当」という情報が全配送センターから削除される

  • 千葉が、即座にその店の担当分を引き継ぐ

送り元の配送センターも迷わない。

「了解。これからさくら坂洋菓子店宛は、全部千葉へ送るよ」

荷物への影響も最小限だ。突然のトラブルにも、現場はさほど荒れなかった。

12. クリスマスの朝、何も起きていないように見えた

クリスマスの朝。

ツリーの下で、箱を開ける家族。

「ケーキ、ちゃんと届いた!」

「間に合ってよかったね」

別の家では、

タイムセールで安く買えた商品が届く。

「もう来た!」

「昨日頼んだのにすごい!」

さくら坂洋菓子店では、

材料が途切れず、

ショーケースにケーキが並んだ。

誰も、配送センターの夜の出来事を知らない。

知る必要もない。

:santa: 物語と技術の対応

物語の要素 技術
事前に担当を伝え合う MP-BGP による MAC 学習
(Control-plane learning)
さくら坂洋菓子店を複数の配送センターで受け持つ All-Active Multihoming
荷物ごとに配送センターを選ぶ Per-flow Load Balancing
店への連絡は代表拠点のみ DF Election
道が使えず店の担当から降りる Mass Withdraw /
Fast Convergence

:santa: 最後に

今回は、複雑なEVPNの仕組みを物語形式にしたら楽しく理解できるのではと思って、ChatGPTと相談しながらストーリーを作成してみました。色々とツッコミどころがあると思いますが、息抜きがてら楽しんで頂けたら嬉しいです。

宣伝ですが、来年2月3日(月)に第6回 NSO ユーザ会を実施します!

Cisco NSO をご利用頂くユーザ様からのご発表や、意見交換会、初のキャプチャーザフラグイベントも実施しますので、ぜひご参加ください!
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:santa: 免責事項

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