この記事はSchoo Advent Calendar2024の6日目の記事です!
株式会社SchooでQAエンジニアを務めている目黒(@meguron)です。
今年、私は開発部門の新卒メンターやインターンのメンターという重要な役割にチャレンジさせていただきました。
メンター活動を通じて気づいたのは、新卒や若手エンジニアたちがフロントエンド、バックエンドやインフラに限らず、「品質」という観点にも非常に高い関心を持っているということです。
品質の重要性をキャリア初期段階から学び養うことは、エンジニアにとって価値のあることですし、プロダクト開発やチーム運営に良い影響を与えると期待しています。
そこで本記事では、若手エンジニアにぜひ押さえてほしい『QAの「これから」』に関する2つのトピックスを紹介します!
①広がるQAの仕事領域
そもそもQAってなんだろう?
この記事で「QA」という単語を初めて目にする人もいらっしゃるかもしれません。
まずは一般的な定義を確認してみましょう。
品質保証(ひんしつほしょう、英: quality assurance、QA)は、効率と品質が求められるあらゆる活動において、それらに保証を与えるのに必要な証拠を提供する活動一般を指す。
QA は設計・開発・製造・実装・サービス・文書といったあらゆる活動をカバーする。
「品質保証」 『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(一部抜粋) 2024/12/03 18:19
私たちの「活動」とは、主にソフトウェアシステムの開発です。
そのため、QAの仕事を簡単に表現すると「ソフトウェア開発における効率や品質を保証すること」と言えるでしょう。
では「保証する」とは具体的にどういうことでしょうか?
開発における最も代表的な保証手段は「テスト」です。
皆さんが学生時代に取り組んだテストと同じように、「ちゃんとこういうことができているかな?」と確認する作業を指します。
この確認作業がQAの「保証する」という仕事の一部です。
では、QAの仕事=開発物をテストすることなのでしょうか?
いえいえ、それだけではありません。
過程からも品質を保証する
『品質は工程で作り込む』
この言葉は、トヨタ生産方式を語る上で欠かせない有名な格言です。
この考え方はソフトウェア開発にも適用されてきました。
過程(=開発工程)で品質を保証することが重要だと広く認知されています。
例えば、「単体テスト」や「結合テスト」という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。
これらは開発工程の中で行われるテストで、完成前の各パーツが正しく動作するか確認するためのテストです。
(説明は割愛しますが、ぜひ皆さんで調べてみてください!)
これらを踏まえると、以下のようにまとめられるでしょう。
QAの仕事=開発物や開発工程でテストをすること
世間一般的なQAの認識も、おおむねこの範囲に収まると言えるでしょう。
しかし、ここ10年ほどでQAの役割や実際の業務内容に少しずつ変化が現れています。
いつでも、どこでも、誰とでも
「あらゆる活動をカバーする」、これもQAの仕事です。
- ある時は、インフラチームと協力してテスト環境を充実させ
- またある時は、テストを自動化し
- さらにある時は、品質の知識を社内に広める伝道師として
QAは開発に関わるあらゆるタイミングで品質面からアプローチします。
そのため、関係者もエンジニアだけでなく、デザイナー、プロダクトマネージャー、さらにはカスタマーサクセスなど多岐にわたります。
将来的には営業チームと共にお客様の悩みを直接ヒアリングするような役割も求められるかもしれません。
QAの可能性は、どこまでも広がっています。
まとめ
QAの仕事領域 | 今まで | これから |
---|---|---|
対象者 | 主にエンジニア | 開発に関わる全ての人 |
仕事内容 | 主にテスト | 品質向上のためのあらゆる取り組み |
QAの主戦場はテストだけでなく、開発に関わるあらゆる領域で品質向上に取り組む活動へ変化している
②QMファンネル
2つ目に紹介するのは『QMファンネル』です。
これは、多様化するQAの仕事領域を整理するために提唱された新しい考え方です。
2021年に発表された『品質を加速させるために、テスターを増やす前から考えるべきQMファンネルの話』から3年が経ち、Qiitaにも関連する投稿が少しずつ増えています。
QMファンネルとは?
QMファンネルは、QAエンジニアのロールを分かりやすくモデル化したものです。
一番のポイントは、これまで曖昧だったQAの役割を専門性と仕事領域という観点で明確化しているところにあります。
曖昧だったQAの解像度が上がってきた
QMファンネルのスライドでは「QAの職種と職務はゴチャゴチャになっている」と指摘されています。
実は2024年12月現在でもこの課題は完全には解消されていません。
しかし、QMファンネルの登場によってQAのロールが明確化され、キャリアプランとして捉えやすくなったことは大きな進歩です。
それはつまり、品質向上のための具体的な取り組みがより見えやすくなったということでもあります。
このモデルが業界のスタンダードになるかは未知数ですが、QAエンジニアという職種は、QMファンネルで定義されているような専門性を持つ形に進化していくと予想しています。
できるところから始めてみよう
若手エンジニアの皆さんにQMファンネルから学んでほしいことは、品質向上には多様なアプローチが必要だという気づきです。
テストだけでは品質が上がらないからこそ、QAの仕事領域は広がっていった背景があります。
この気づきをきっかけに、次のようなアクションをぜひ試してみてください!
- 自分たちのプロダクトをデータ化・見える化してみる
- テスト自動化をQAエンジニアと共に進める
- チームの振り返りミーティングにQAエンジニアを招待する
このような取り組みを一歩ずつ進めていくことで、チーム全体での品質向上が期待できます。
最後に
この記事では、若手エンジニアの皆さんに向けてQAの「これから」に関する2つのトピックスをお伝えしました。
- 広がるQAの仕事領域
- QAの役割は単なるテストだけにとどまらず、品質向上のためのあらゆる活動をカバーするものへと進化している
- QMファンネル
- QAエンジニアの役割を専門性と仕事領域で明確化し、キャリアプランとして捉えやすくする新しいモデル
どちらも、これからのエンジニアリングにおける品質の重要性を強調するとともに、プロダクト開発やチームの成長において欠かせない視点になってくると思います。
QAの「これから」は、開発現場に留まらず、組織一丸となって品質向上に真剣に取り組むことが当たり前になる、そんな未来です!
皆さんが「品質」に真剣に向き合い、エンジニアとしての一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
参考記事
- フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』品質保証
- 品質を加速させるために、テスターを増やす前から考えるべきQMファンネルの話(3D版)
- QMファンネルを使って自分の立ち位置/やりたいことを可視化しよう
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