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S3に置きっぱにされやすいログとかのデータは、ついGlacierに移行したくなりますよね?

でもGlacierには最低保持期間だったりの縛りの他、
いくつかの追加料金も発生します(移行イベント、ヘッダ、最低保持サイズ)

じゃあ一体いくらからGlacierに移行するのがお得なのか・・・?

具体的には、

S3にオブジェクトファイルをばーっといっぱい上げて、サイズ条件で適切なストレージクラスに変更したいが、一体いくつに設定すればよいのか

という疑問が有りまして、
これに答えられるよう計算してみました。


結論

  • 東京リージョンで
  • S3のオブジェクトをライフサイクルで移行して
  • 6ヶ月保存した

の条件下で比較すると、損益分岐点は次のようになりました。

  • 標準 VS Glacier Instant Retrieval (新 Glacier) ... 約40KBで損益分岐点を迎える
  • 標準 VS Glacier Flexible Retrieval (旧 Glacier) ... 約300KBで損益分岐点を迎える
  • 標準 VS Glacier Deep Archive ... 約480KBで損益分岐点を迎える

ひとつずつ見ていきます


発生するコスト

  1. まずはストレージ料金が発生します。ファイルサイズ(オブジェクトサイズ)によって課金されます
  2. 次にライフサイクルの移行リクエストに課金されます
  3. 最小オブジェクトサイズを考慮します。これより小さいオブジェクトサイズはこの最小オブジェクトサイズとして課金計算されます
  4. 最後にメタデータ追加分の課金が有ります。旧GlacierとDeepArchiveは、オブジェクトサイズとは別に40KB分の課金が発生します。

特に、3と4については下記のように記載が有ります。

S3 Glacier Instant Retrieval の課金対象となる最小オブジェクトサイズは 128 KB です。128 KB より小さいサイズのオブジェクトを保存することもできますが、適切なストレージクラス料金で 128 KB のストレージとして課金されます。

S3 Glacier Flexible Retrieval または S3 Glacier Deep Archive に保存されている各オブジェクトの場合、Amazon S3 はメタデータに対する課金可能な 40 KB のオーバーヘッドを追加し、それは、S3 標準レートで請求される 8 KB と S3 Glacier Flexible Retrieval または S3 Deep Archive レートで請求される 32 KB から構成されます。

この辺が単純に何でもGlacierにしても逆に高くついてしまう理由ですね。


式にしてみた

式で書くと、次の用になります。

(東京リージョン)

S3標準

S3標準 = オブジェクトサイズ * 0.025[USD/GB/月]

Glacier Instant Retrieval (新 Glacier)

新Glacier = max(オブジェクトサイズ, 128KB) * 0.005[USD/GB/月] + 0.000002[USD](ライフサイクルリクエスト)

ここまではわかりやすいです。

Glacier Flexible Retrieval (旧 Glacier)

32KB分のサイズ追加と、8KBのS3標準分の追加があります。

新Glacier = (オブジェクトサイズ + 32KB) * 0.0045[USD/GB/月] + 0.000003426 [USD](ライフサイクルリクエスト) + 8KB * 0.025[USD/GB/月]

Glacier Deep Archive

ライフサイクルのリクエストコストが高めです。

DeepArchive = (オブジェクトサイズ + 32KB) * 0.002[USD/GB/月] + 0.0000065 [USD](ライフサイクルリクエスト) + 8KB * 0.025[USD/GB/月]

この設定でグラフを書いたところ、下記のようになりました。
※ ライフサイクルコストはストレージ最低保持期間の180日=6ヶ月で割って、1月当たりのコストに換算して計算しました。

Screenshot 2024-06-21 at 22-55-42 S3ストレージクラス損益分岐点.png

メタデータとライフサイクルリスクエストのコストが効いて、
なかなか小さいサイズをGlacierにできなかったのですが、
新Glacierが、そのへんの空いているレンジをカバーしていますね。えらい。


そんなわけで、東京リージョンにおいては、40KBまでは標準で良くて、
そこからは先はGlacierにしてコストを浮かせる検討をしてみるのが良さそうです。

もちろんGlacierにはいろんな制限があるので、S3標準クラスでもありだし、標準〜Glacierの中間にいるクラスへの移行も検討範囲です。

それでは皆様、よいAWS節約ライフを!(何

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