経緯
2024年10月に Amazon Japanで中国製のLCDを購入 しました。
価格は6,000円、16桁×2行のバックライト付きLCDが2つ入ったものを2つ買いました。 届いてすぐに動作確認をしましたが、うまく点灯しませんでした。
しかし、この不良は、若干の手直しで、動作するようになりますので、
同じ症状でお悩みの方が居られましたら、皆さんに共有したいと思います。
どのような商品?
取扱説明書も、図面も、何もついていない、Amazon あるある商品。
パッケージにQRコードが付いていますので、製造メーカサイト からサンプルプログラムをダウンロードできます。
頒布されているサンプルには、以下のものが入っていました。
- LCDのデータシート
- PCF8574(I2C)インターフェイスチップのデータシート
- その他、おすすめ商品のデータシート
- USBドライバ(CH340、当商品とは全く関係なし)
- Arduino、C++、Pythonでのサンプルコード
- Arduino版(C++)のソースは他メーカー(Adafruit)のライブラリを使用
- C++のサンプルは、ライブラリが添付していないため使用できません
- Pythonのものは、RPi.GPIO を使用しており ラズパイ5 では動きませんでした
まずは動作確認
Arudino で簡単な サンプルコード を作って動作を確認していきます
上記の動画では、「12_」と出ていますが、実際には「12345」と出力しています。
「12_」も出たりでなかったりで、動作が非常に不安定でした。
サンプルコード
-
前記のLCDを動作させた仮コード(Arduino 用)は以下の通りです。
- lcd.init() を2回呼んでますが、2回呼ばないと動きません!
#include <Wire.h>
#include <LiquidCrystal_I2C.h>
LiquidCrystal_I2C lcd(0x27, 16, 2);
void setup() {
lcd.init();
lcd.init();
lcd.display();
lcd.backlight();
lcd.cursor();
lcd.setCursor(0,0);
lcd.print("12345");
}
void loop() {
// put your main code here, to run repeatedly:
}
商品の仕様・構成
まずデータシートから確認していきます。
LCDモジュールだけのデータシートと思われる、製造メーカーサンプル在中の LCD1602.pdf (商品名:TC1602B-01)から抜粋;
LCDバックライト最大定格 | 最大 150mA | |||
LCDバックライト定格 | 5.0V | |||
液晶モジュール定格 | 4V~ | 4.2V (typ値) | ~4.4V | 100mA |
LCDモジュール電源 | 5.0V | |||
外部接続 | GND / VCC / SDA / SCLの4線式(I2C) | |||
I2C制御IC | PCF8574T または PCF8574AT 8ビット・シフトレジスタにI2C機能が付いたような代物 |
|||
LCD制御IC | 恐らく日立の HD44780 (1999') と同等 | |||
その他 |
|
PCF8574 の接続ライン
次に I2C インターフェイスの PCF8574 ですが、チップ自体のデータシートであり、特段おかしいところはありませんでした。
本商品としてのデータシートは付属していないので、チップ間接続を調べることにします。
テスターと虫眼鏡で確認したところ、以下のような接続でした。
LCDを、4ビットモードで制御する仕様です
PCF8574の端子 | LCD側の端子(4ビットモード) | 備考 |
---|---|---|
D0 | RS | 0=コマンド/1=データ |
D1 | RW | 0=書き込み/1=読み込み |
D2 | E | 許可ライン(クロック的) |
D3 | Backlight | 0=オフ/1=オン |
D4 | D4 | 4bitモードでのD4ライン |
D5 | D5 | 4bitモードでのD5ライン |
D6 | D6 | 4bitモードでのD6ライン |
D7 | D7 | 4bitモードでのD7ライン |
PCF8574 の I2Cアドレス選択
I2Cアドレス選択は、以下のようになっています
(PCF8574 のデータシートから抜粋)
動作させるための修正
対策その1) 電源電圧を下げる
データシートからの観点で、液晶モジュールに、typ値の 4.2V でなく 5V が供給されている点が気になるので、まずここから改善します。LCDに直接手を加えるのではなく、電源ラインに抵抗を入れて降圧させることにしました。

画ずらが汚いですが、赤丸 の箇所が電源ラインに挿入した抵抗です。
色々やってみて41オームに落ち着きました。
電圧は、typ値より若干低い 4.1V 弱になりました。
対策その2) バックライトの電流制限抵抗を交換
次は液晶の文字色が黒くなる現象の対策です。
動作症状
-
症状としては以下のものが挙げられます。
バックライト 状態 正常性 消灯時 明るい光にかざすと、液晶部分が白く抜けている 正常 点灯時 じわじわと、でもほぼ瞬時に黒く変色する 異常
不良原因
-
前記の症状から、考えられる原因は、以下の通りです。
- バックライトの消費電力が大きい
- ゆえに液晶部で著しい電圧降下が発生
- 電圧降下により液晶色が白から黒に変色する
修正
- 次のように修正して行きます
修正箇所(添付写真)の説明 |
---|
1. 左端赤枠のところにLEDの A(アノード), K(カソード)が見えます |
2. 赤矢印(ハイライト部分)のところに LED のラインが通っています |
3. 橙色の箇所に「101」と書かれたチップ抵抗 100オーム があります。 これを 220オーム 1/4W のチップ抵抗(「221」表示)に交換します。 ※ 抵抗の交換には、元の抵抗の取り外しと、ハンダ付け作業が必要です。 |
![]() |
修正後の動作確認
これですべての手順は終わりです。修正後の様子を撮影しました。
青地のバックライトに、白抜きの字がちゃんと表示されています!
最後に
如何だったでしょうか?
では、また!