Scala開発でZIOを利用する機会があるのですが、公式ドキュメントが英語しかないので自分の理解促進も含めて概要部の和訳をしました。ほとんど直訳です。
以下はhttps://zio.dev/docs/overview/overview_index の和訳です。
Summary
ZIOは純粋な関数型プログラミングに基づく非同期及び並列プログラミング用のライブラリです。
ZIOの中核となるのはHaskellのIOモナドから影響を受けた強力なエフェクトタイプ、ZIOです。
ZIOの型はシンプル・タイプセーフな上、テストしたり全体の構成をしやすいコードで複雑な問題の解決を可能にします。
ZIO
ZIO[R,E,A]
の型には3つのパラメータがあります。
R - Environment型。処理には R 型 の環境が必要です。この型パラメータがAnyの場合、処理は任意の値で実行できるため、その処理に必須の環境要件がないことを意味します(例:uniti値 ())。
E - Failure型。処理が E 型 で失敗する場合があります。一部のアプリケーションではThrowableを使います。この型パラメータがNothingの場合、Nothing型の値がないため、その処理は失敗しないことを意味します。
A - Success型。処理が A 型で成功する場合があります。型パラメータがUnit型の場合、その処理は有用な情報を生成しないことを意味する。Nothing型の場合、効果は永久に(または失敗するまで)実行されることを意味します。
例として、ZIO[Any, IOException, Byte]型で実行された処理は必須の環境型はなく、IOException型で失敗するか、成功時はByte型を返すことを意味します。
ZIO[R, E, A]型の値は下記の関数型のより効果的なバージョンのようです。
R => Either[E, A]
Rを必要とするこの関数は、失敗を表すE、または成功を表すAを生成します。もちろん、ZIO処理は、非同期処理や同時処理などの複雑な処理をモデル化するため、実際には関数ではありません。
Type Aliases
ZIO型はZIOでの唯一の型です。ただし、一般的なケースを簡略化するタイプエイリアスとコンパニオンオブジェクトのファミリーがあります。
-
UIO[A]
- ZIOの[Any, Nothing, A]
のタイプエイリアス。環境要件はなく、失敗することはすることはませんがAで成功することができることを表します。 -
URIO[R,A]
- ZIOの[R, Nothing, A]
のタイプエイリアス。実行にはRを必要とし、失敗することができませんが、Aで成功することができることを表します。 -
Task[A]
- ZIOの[Any, Throwable, A]
のタイプエイリアス。環境要件はなく、Throwableで失敗するかAで成功することを表します。 -
RIO[R,A]
- ZIOの[R, Throwable, A]
のタイプエイリアス。実行にはRを必要とし、Throwableで失敗するかAで成功することを表します。 -
IO[E,A]
- ZIOの[Any, E, A]
のタイプエイリアス。環境要件はなく、Eで失敗するかAで成功することを表します。
これらの型エイリアスにはすべてコンパニオンオブジェクトがあり、これらのコンパニオンオブジェクトには適切な型の値を作成するために使用できるメソッドがあります。
関数型に馴染みがない場合はTask型から始めることを勧めます。Task型は型パラメータを一つだけ扱いかつScalaの標準ライブラリに組み込まれているFuture型に最もよく対応します。
もしCats Effectライブラリを使用している場合は、RIO型を使用すると便利です。RIO型を使用すると、サードパーティのライブラリとアプリケーションを介して環境をスレッドかできるためです。
自分のアプリケーションで使用しているタイプエイリアスに関係なく、UIO型は失敗しない実行処理を書く場合に便利です。(例外エラーの結果も含め)
最後に、経験豊富な関数型プログラマーの場合は、ZIO型を直接使用することをおすすめします。ただし、アプリケーションの様々な部分で独自の型エイリアスを作成すると便利な場合があります。