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RTX PRO 6000 BlackwellでAITuberを作りたい

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Last updated at Posted at 2026-07-26

概要

こちらの記事は「MEDLEY Summer Tech Blog Relay」の10日目の記事です。

RTX PRO 6000 Blackwellの実用的な使い方を探るべく、ローカルAI配信者を実装しました。本記事では、技術選定の背景、システム構成、および実測した性能をもとにしたクラウドAPIとのコスト比較を紹介します。


はじめに

株式会社メドレーのmatsudaiです。
2026年4月に入社、クラウド歯科業務支援システム「DENTIS」を開発しています。

さて先日、車を買い替えたのですが下取りが予想外に高く、せっかくなのでいわゆるAIパソコンというものを買ってみました。

普段はクラウドのAI製品を使っているのですが、従量課金では使えば使うほど青天井に請求されます。一方でローカルAIは無限に使うことで実質ゼロ円とされている1ので、今回は自律してトークンを消費しつづける「AI配信者」がこのパソコンで作れるかどうか試してみました。

Gemini_Generated_Image_4uhjy44uhjy44uhjの_sukasi.png

RTX PRO 6000 Blackwell について

これはなに

NVIDIA社のウルトラハイエンドGPUです。ゲーム用途ではなくグラフィックレンダリングやAI用途に位置付けられています。VRAM容量が96GB、AI処理性能2が約3.5PFLOPS、メモリ帯域が約1.8TB/s。少し前ならデータセンターでしか見なかった水準の性能が、2スロットのカード1枚で提供されます。

当該GPUには消費電力・冷却方式が異なる3種類があります。

  • Workstation Edition(600W)
  • Max-Q Workstation Edition(300W)
  • Server Edition(ファンレス)

今回は、BTOパソコンの消費電力・冷却の都合でMax-Q版を購入しました。

購入したBTOパソコン

マシン全体の構成は下記の通りです。

  • マザーボード: ASRock X870E Taichi
  • CPU: AMD Ryzen 9 9950X3D
  • メモリ: DDR5 128GB(4,800 MT/s)
  • GPU: NVIDIA RTX PRO 6000 Blackwell Max-Q
  • 電源: 1,300W

image.png
s1.png

GPUの性能比較

ローカルでLLMなどのいわゆるAIを動かすとき、GPUのVRAM容量・処理性能・メモリ帯域の3つが性能を左右すると言われています。
VRAM容量は載せられるモデルの上限、処理性能は初回応答までの速さ、メモリ帯域は生成速度につながるためです。

これらを基準に主要な選択肢3を並べると下記となります。

機種 VRAM容量 AI処理性能 メモリ帯域
RTX PRO 6000 Blackwell Max-Q 96GB 3.5 PFLOPS2 1,792 GB/s
RTX 5090 32GB 3.35 PFLOPS2 1,792 GB/s
DGX Spark 128GB 1 PFLOPS2 273 GB/s
Mac Studio (M3 Ultra) 96〜512GB -4 819 GB/s
MacBook Pro (M5 Max) 48〜128GB -5 614 GB/s

これは容量と処理性能・帯域にトレードオフがあることを示します。
RTX 5090は帯域こそRTX PRO 6000と同速ですが、容量が32GBのため巨大なモデルが載りません6。一方DGX SparkやMacは100GBを超える容量を持ちますが、処理性能・帯域はRTXの半分以下で応答性・生成速度に不安があります。モデル性能と速度の両方を満たすのがRTX PRO 6000となります。

何をさせるか

ここまでの話から、今回の環境には次の特性があることが分かります。

  • ローカルAIはクラウドに比べて、使えば使うほど安くなる
  • RTX PRO 6000 Blackwellは他の機種に比べて、性能の良いモデルが高速に動く

そこで考えたのが「AI配信者」です。

AI配信者(AITuber)とは

AIにキャラクター性を持たせ、YouTuberのようなストリーミング活動をすることと言われています。
例↓

なぜAITuber?

「配信」という形態から高速なレスポンスが必要であり、ゲームプレイでは視覚(画像)が必要です。画像はテキストに比べて桁違いにトークンが大きく、フルHDの画像10枚で3万トークン程度7になります。

これをひたすら繰り返すわけですから、コストパフォーマンスの観点からローカルAIが有利になると考えました。

設計

image.png

普段はWebアプリケーションの開発をしているため、Webシステム中心にまとめることにしました。
Ruby on Railsで進行管理、AIの入出力や音声生成の管理を行います。
キャラクターは3Dモデルとして表示し、ブラウザ上で動かすためにThree.jsおよび@pixiv/three-vrmのサンプルモデルを利用します。また、AI用APIとしてOllamaを利用しQwen3.6モデルをホスト(画像・テキスト入力が可能なため)、キャラクターの音声にはVOICEVOXの「ずんだもん」を利用します。

配信の題材としては「2048」というゲームを選びました。
数字が表示された4×4のタイルを上下左右で操作し、同じ数字がぶつかると合計の数字1つにまとまります。この操作を繰り返して「2048」を目指すゲームとなります。

ゲーム実況内の処理サイクルは次の通りです。

  1. JavaScriptでゲーム画面のキャプチャをRailsに送る
  2. Railsで画像と会話履歴等をOllamaに送り、次の発話内容・画面の操作を生成する
  3. Railsで発話内容をVOICEVOXに送り、口パク(モーラ列)と音声を生成する
  4. Railsから画面に通知、JavaScriptで発話内容・音声・操作を受け取って再生する

リポジトリは https://github.com/matsudai/aituber-poc です。

デモ

盤面を読みつつ自分で手を決めて進めていく様子です。
(画像認識や思考を挟むため、最初・手の合間では10〜30秒程度沈黙することがあります)

動かしている間のリソースは下記の通りです。
GPU使用率は生成中で約90%、消費電力は300W未満、VRAM使用量は約44GB(モデル本体約40GB+キャッシュ)で96GBの半分にも届いていません。別途試した画像生成では300Wに張り付いたため、電力的にも今回はフル稼働はしていないと言えます。
また、そもそもGPUが遊んでいる時間もあり稼働率はおよそ3割程度でした。画面の再生中は何も生成していないためです。

s.png

クラウドAIとのコスト比較

この配信をクラウドAPIで賄うといくらかかるか概算します。

今回は1ターンあたり512pxの画像1枚と入力約1,000トークン、出力約2,100トークンを消費し、ペースは平均35秒に1ターン(100ターン/時)でした。これをクラウドAI製品のAPI利用料に換算すると以下の通りです8

モデル 入力 / 1MTok 出力 / 1MTok 今回の消費量換算
時間あたり
OpenAI GPT-5.6-sol 5.00 USD 30.00 USD 980円
Claude Opus 4.8 5.00 USD 25.00 USD 830円
Claude Sonnet 5 3.00 USD 15.00 USD 500円
OpenAI GPT-5.6-terra 2.50 USD 15.00 USD 490円
Gemini 3.1 Pro 2.00 USD 12.00 USD 390円
Gemini 3.5 Flash 1.50 USD 9.00 USD 290円
OpenAI GPT-5.6-luna 1.00 USD 6.00 USD 200円
Claude Haiku 4.5 1.00 USD 5.00 USD 170円

今回のパソコンを200万円として比較すると、API利用料を回収するのに必要な時間がわかります。

Claude Sonnet 5では約4,000時間、さらに安価なGemini 3.5 Flashでは約6,800時間と、現行では回収はなかなか厳しいものがあります。強みとして押し出すのであれば金銭的なコストパフォーマンスではなく、品質面ではモデルを固定することによるキャラクター性の安定、業務で使うならセキュリティ(機密性)向上を目的とするのが良さそうです。

また、今回はGPUの稼働率が30%でVRAM容量に余裕があったので、再生中に別のタスクを行う(例:今までの話の要約やコメントへの反応の並列化など)ことでこの差を縮めることも可能でしょう。

おわりに

今回はローカルAIの使い道として、自律してゲーム実況をする仕組みが作れるかどうか試してみました。ローカルLLMは遅くて低品質のイメージがありましたが、最新のモデル・良いハードウェアがあれば思ったより自然に受け答えができるように見えました。

課題としてはGPU稼働率の改善、インターネット検索や長期記憶などの「道具」を使わせることなど多くありますので、今後も改善していきたいと思います。


MEDLEY Summer Tech Blog Relay 11日目の記事は、同じくDENTIS開発グループの @avaice さんです!
明日もお楽しみに!✨

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追記

入出力性能について

本記事のポストに対して入出力性能についてのご質問をいただきましたので計測しました。結果としては入力処理(prefill)は10,000tok/s程度、生成(decode)は180~200tok/s程度でした。

ただし画像を入力した場合は、そのサイズ・枚数にもよりますが約100ms/枚程度の遅延が固定で生じると思います。

これはなに

prompt eval (prefill) は入力を解析する性能で、返答を開始するまでの時間に関わります。生成速度(decode)は、出力を開始してからどれだけの速度で返答が生成されるかを示します。

さて、今回利用したOllamaでは下記のような入出力トークン量や時間を計測することができます。

{
  "prompt_eval_count":    1025,       // 入力トークン数
  "prompt_eval_duration": 201326000,  // 入力評価の所要時間 [ns]
  "eval_count":           1925,       // 出力トークン数
  "eval_duration":        9479971000, // 出力生成の所要時間 [ns]
  "total_duration":       9912276729, // 実時間 [ns]
  "load_duration":        180928153   // モデルのロード(初回など)
}

これを利用すると、次の式でprefill、decodeの性能が分かります。

prompt eval (prefill) [tok/s] = prompt_eval_count / (prompt_eval_duration / 10^9)
generation  (decode)  [tok/s] = eval_count        / (eval_duration        / 10^9)

結果

下記シーンに分けて計測して、平均の入出力トークン数・時間とprefill、decodeを計算しました。

  • ゲームプレイ中の実況 : テキスト+画像(スクリーンショット)を入力
  • トーク : テキストのみ入力
ターンの種類 見かけ上のprefill [tok/s] decode [tok/s]
実況(15ターン) 約5,100 tok/s(193ms/ターン※) 202.4 tok/s
トーク(35ターン) 約10,400 tok/s 183.0 tok/s
生成ごとの計測結果詳細は長いため畳みます
シーン # prompt_eval_count prompt_eval_duration [ms] eval_count eval_duration [ms] 思考文字数 発話文字数
実況 1 970 191.2 876 4318.8 1381 153
実況 2 971 190.6 589 2908.5 1586 112
実況 3 945 186.7 1096 5420.0 1681 134
実況 4 962 189.7 2061 10205.5 3499 123
実況 5 960 189.6 2030 10000.8 3543 125
実況 6 968 190.8 853 4204.4 1302 112
実況 7 976 190.7 1032 5087.9 1479 102
実況 8 975 191.0 3419 16934.4 8993 256
実況 9 991 194.2 911 4498.0 1488 204
実況 10 987 14.6 1402 6928.9 2129 160
実況 11 1025 201.3 1925 9480.0 3039 118
実況 12 1010 196.8 3929 19441.4 9078 128
実況 13 1009 197.2 5844 29089.9 9825 294
実況 14 1062 198.0 2861 14145.7 7333 198
実況 15 1047 200.3 2225 10967.7 3751 125
トーク 1 2713 272.4 49 266.4
トーク 2 2412 218.7 56 301.6
トーク 3 2744 268.6 78 427.8
トーク 4 2366 230.7 29 166.6 6724 61
トーク 5 2461 251.8 38 210.7 6854 71
トーク 6 2833 280.9 51 277.8 8243 92
トーク 7 2631 261.9 75 408.8 6975 146
トーク 8 2299 212.9 40 225.4 6343 86
トーク 9 2180 203.8 55 282.6 5866 99
トーク 10 2730 274.0 48 251.1 7247 82
トーク 11 2924 295.8 83 451.1 8111 158
トーク 12 2719 271.6 34 192.6 7171 61
トーク 13 3121 309.7 33 187.8 9061 74
トーク 14 2459 235.8 52 282.1 6668 109
トーク 15 2933 294.4 97 510.6 8000 182
トーク 16 2133 195.1 35 196.9 5710 66
トーク 17 2305 213.7 38 224.8 6357 82
トーク 18 2218 203.6 55 308.9 6025 99
トーク 19 2744 272.2 87 460.2 7677 170
トーク 20 2874 290.5 47 260.5 7758 96
トーク 21 2362 216.8 39 218.5 6603 85
トーク 22 3528 339.7 66 371.5 9951 132
トーク 23 2617 256.0 61 313.6 6958 112
トーク 24 2402 222.2 42 217.9 6516 85
トーク 25 2641 268.9 45 250.3 7543 93
トーク 26 2397 218.8 66 351.2 6803 139
トーク 27 3342 327.0 84 432.5 8840 158
トーク 28 3767 360.3 36 194.7 10246 74
トーク 29 2355 215.7 40 221.6 6430 84
トーク 30 2304 207.2 69 366.4 6278 138
トーク 31 3128 303.3 80 423.9 8147 145
トーク 32 2344 220.8 34 207.3 6475 74
トーク 33 3256 324.3 38 224.5 9856 81
トーク 34 2159 199.4 61 312.0 5821 106
トーク 35 3315 329.5 79 421.7 9329 162

※計測結果詳細より、実況・トークシーンともにprompt_eval_countに対してprompt_eval_durationが比例しますが、実況シーンには固定で100ms程度の切片が入っているように見えます。
トークン処理速度自体が画像・テキストの由来によって2倍も変わるとは思えないため、入力画像をトークンに変換するエンコーディング処理などでこの差が発生したと推測します。
つまり画像変換+トークン処理がprompt_eval_durationになる(余計な時間を含んでしまう)ため、prefillの参考値はトークシーンの10,400tok/sを見たほうが正確と考えた次第です。

  1. 諸説あります。

  2. FP4・スパースな(ひとつひとつが軽くて並列度の高い)処理の場合。 2 3 4

  3. サーバー用途まで含むとNVIDIA H100 GPU(1枚あたりVRAM容量80〜94GB)なども対象になりますが、金額・設備的に現実的ではないので除きます。

  4. 公称値なし。

  5. 「M4の4倍」とされています。

  6. 性能の良いローカルLLMでは、VRAM容量にモデル40GB以上+キャッシュ領域が要求されます。

  7. 日本語のテキストに換算すると、約3万文字に相当します。

  8. 単価は2026年7月時点の各社公表値、為替は1ドル150円で換算しています。

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