##KiCadでPCBレイアウトを行う
kiCadを使って電子回路図作成、ネットリストの生成を行ってきました。
今回はPCBレイアウトを行って、基板データを作ってみたいと思います。
前回までの行程について
##PCBレイアウトエディター Pcbnew
KiCad付属のPCBレイアウトエディターを使います。
こんな画面です。
まず簡単な設定を行いたいと思います。基板セットアップをクリックします。
###基板セットアップ
レイヤーの設定を確認します。
重要なものはパターンレイヤです。F.cuが表面(部品面)パターン B.cuが裏面(ハンダ面)パターンとなります。
次に配線とビアの設定をします。
ビア(VIA)とは、表面と裏面を電気的につなげるための小さなスルーホールのことです。バイアスルーホールともいいます。
配線の太さとビアの大きさについては、製造要件に係わりますので、製造元の仕様を確認します。配線が細かったり、ビアが小さすぎないように注意します。
セットアップ情報は、エディタに反映されるので確認しましょう。
##ネットリストの展開
ネットリストをロードします。
作成済みのネットリストを選択します。
基板の更新を押すと割り当てられているフットプリント(パーツデータ)が展開されます。
編集画面の適当なところに一旦配置します。
##フットプリントの配置
フットプリントには既にネット情報からラッツネストと呼ばれる線が出ています。この線が各端子の接続先を繋いでいます。
このラッツネストを参考に配置を行います。
配置方法は様々ですが、位置の指定があるものを優先します。
①取付穴 (ファンなど他の部品が乗る場合)
②コネクタ
③放熱を考慮する部品
④LEDなどの表示部品
っといったものでしょうか。
今回は、と特別な条件は考慮しませんので、単純にLEDとバッテリー(ホルダ)の位置を優先して配置します。他の部品は、見栄え(揃っていて)を優先して配置しました。
※グリッドは0.635か1.27に設定すると便利です。
うーん こんな感じでしょうか。
ちなみに今回は、バッテリーホルダーを裏面に配置します。
バッテリーホルダーのみ裏返しのデータにします。
裏返すと180°反転するので、「R」キーを使ってもとに戻します。
シルクの色も変わりました.
※この先編集の都合で、バッテリーホルダーが表になっていますが、気にしないでください。
####レイヤについて
必要なレイヤを説明します。
チャックはそれぞれのレイヤの表示非表示を切り替えます。
詳しくはKicadリファレンスを参照してください。
##配線
配線です。
配線モードで結線します。先に配線幅を選択しておきます。今回は0.5mmにします。
配線レイヤはB.CUです。基本的に裏面に配線していきます。
ラッツネスト表示に従いながら、配線します。
ランドをクリックすると接続先がハイライトされるので大変わかりやすいです。
※GND端子は、配線を行いません。
###配線のポイント
両面基板を配線するときのコツとして、配線方向によって配線する面を変えると交差が回避できます。今回は、縦方向の配線を裏面(B.CU)に横方向の配線を表(F.CU)に行います。
先に裏面を配線していきます。
こんな感じでしょうか。
ここでバッテリーホルダのPAD2とトランジスタのエミッタ端子が配線されていないことにお気づきでしょうか。これらの端子はGNDです。
この後GND端子を塗りつぶし(ベタ)で接続しますので、あえて配線していません。
##基板外形を描く
レイヤを変更し、図形モードで外形線を引きます。
外形線は、プロパティ変更で微調整できますが、ちょっと面倒です。
この部分はこれからの進化に来たいです。
ピッタリ一周させました。
##塗りつぶしゾーンの追加
先に触れたように塗りつぶし(ベタ)を作ってGND端子を接続します。
手順は簡単で、B.CUかF.CUの面を選択し、塗りつぶしゾーンを囲んで追加します。
このときに外形よりもわざと大きく指定すると自動的に外形線の内側のみを塗りつぶしてくれます。
始点をクリックするとメニューが出てきます。
今回はバッテリーホルダーのPAD2に接続されているパッドをベタでつなぎます。
外形の外側をぐるっと一周させます。
一周させ終わると、ベタが生成させます。
サーマルランドが生成されて、ベタで接続されていることが分かります。
F.CUも同様にベタ化します。
###ビア打ち
今回は必要ありませんが、表と裏のベタを接続したいとき(浮きベタがある場合)は、ビアを打ちます。ビアの大きさに注意します。
これでPCBレイアウトは終了です。
##製造ファイルの生成
作成したPCBレイアウトから基板製造用のガーバーデータを生成します。
※レイヤごとにガーバーデータが作られるので、ガーバー用のフォルダを作っておいた方がよいです。